ドキドキDDR部! Act2 反省会

謝辞

 まずはじめに、『ドキドキDDR部! Act2』が成功に終わったことについて、改めてお礼申し上げます。BPLの選考などを間近に控えている時期に(間近ですよね?!)、ニュービーからトッププレイヤーまで等しく試されるような機会を設けられたこと、大きなトラブルに遭うことなく、大会のコンテンツを完遂できたことに満足しています。
 大会を終えて5日後くらいのタイミングで、来場者に個別に連絡した限りですと、大会をきっかけとした体調不良や発熱外来の受診なども無かったようです。今回も無事で済んだようで、ほっとしています。
 ひとえに、皆様のご協力があってこそだったと考えています。人数が増えたなりの「戦場の摩擦」があって、受付でお待たせしたり、場内ルールの遵守について注意をしたりの機会は増えてしまいました。しかしながら、受付を手伝ってくれた方々、撤収時の机・イスの並び替えを率先して手伝ってくれた方々がいて、非常に助かりました。参加者の協調性やボランティア精神に期待しすぎるのも危ういかもしれませんが、前回の倍以上の来場者があり、30分しか寝られなかったなかで(※夕方に寝落ちしてしまい、夜に眠れなくなってしまいました)、非常に助けていただきました。
 溝の口の常連のプレイヤーには、大会前にパネルメンテナンスについて率直な感想を述べてくれました。直前に総合メンテナンスをしていただけたのも、彼らのご意見あってのことだったと考えています。溝の口MEGARAGE、タイステのスタッフの方々にも、感謝を申し上げます。ステージユニットのセッティング、大液晶画面2枚へのライン出力を前回同様にしていただけましたし、パネルメンテナンスの問題が発生した際にも、迅速に対応いただけました。エキシビション中のみ会場隅のスピーカーをオンにし、さらなる爆音環境にしたのも面白い試みだったと思っています。

僕のスタンスについて

 前回の反省会では、僕のメインテーマを「みずから戦うDDRerの経験や成長の最大化」と書いていました。最近ではもう少し具体的に、「心技体の総合を要するDDR一発スコア勝負の場を提供することにより、身体・精神の健康の向上を図るともに、同好の士どうしの交流や素朴な共感・敬愛を促す」みたいなことを考えています。
 「勝負を楽しむには強さが必要だ」と、「いかなる強さにおいても勝負を楽しむことができる」は、どちらも正しいと考えていますが、重心がどのあたりになるかは、僕のなかでほどほどのブレがあります。今回は前回より「強さが必要だ」寄りだった気がします。
 肝心なところは、僕の思想信条が、BPLやKACなどKONAMI公式の理念や目標と必ずしも一致していないところです。KONAMIにとって、「自社ブランドに都合良く乗っかって、独自の主義主張をもとに自己顕示欲や承認欲求を満たし、公式の活動を妨げている厄介な個人」という印象を抱かれないよう、引き続き気をつけていきたいと思います。
 今回の大会に、僕が把握しているだけでも10名以上のBPLプロ志願者が来場していました。彼らが大会対策のため激鬼11-14の精度上げに労力を費やし、そのぶん足15-18新曲のスコアという生データが減ってしまったことについては、多少申し訳なく思っています。
 (※僕はDDR運営が、トッププレイヤーやコアプレイヤーが新曲をプレイした際のスコアなどを集計して、次回以降の譜面作成や難易度設定に活かしているという仮説を支持しています。もし運営と直接話す機会があったら、真っ先に聞くことは「ぶっちゃけ大会やったの邪魔でしたか?」になると思います)
 BPL DDR部門の選考が終わったあと、プロが弊大会のような、後ろ盾の無い個人の大会に出られるかについての予想は難しいです。DDRという競技の性質に加えて、すでにプロが存在しているIIDX, SDVXの界隈を一瞥しても、僕や僕の大会に相似する存在は見つかりませんでした。
 僕はBPL運営や、参加企業の目的意識や理念についてそこまで追えていないのですが、(プロになったら僕の大会に出られなくなる):(告知ツイートの拡散ができなくなる程度):(特に制限が無い) = 5: 3: 2くらいだと予想しています。
 出られなくなる理由としては、合同練習やファンイベントとの日程被りがありうるのと、1週間程度は大会対策にリソースを割くことになるせいで、「君の仕事は1巡目相手に足16-17で自選を取ったり、あわよくば他選も取ったり、3巡目のチームメイトを鍛えて自選を取らせたりすることだけど、大会出る余裕あるの?」的なお小言がありうるのとで。僕の見据えているものが、BPL運営や参加企業の目標とそこまで重なっていないというのも、「プロが参加するのは、良くわからない個人の活動にお墨付きを与えることになるのではないか」といった問題に繋がるかもしれません。
 自選ありきの大会に参加するのは、手の内を明かすことになるから良くない、というのだけは杞憂かもしれません。IIDXの選手や、応援している人たちを見た限りだと、BPLプロは冷酷無情な勝負師というよりは、模範的に努力し、戦略を練り、ひとつひとつの対戦に全力を尽くすような、「安心して推せる」集団であることを求められているようにみえます。
 大会参加や告知ツイートの拡散などが無くなっても、薄情とか無体とか罵るつもりは無くて、ただ達者でいてほしいなあ、と思います。(僕は自分の大会が、誰かの成長や楽しみのきっかけになるのはとても嬉しいですが、DDRライフ最大の目標みたいに扱われると、「もっと凄い世界があるはずだけどなあ」とむしろ思ってしまいます)

感染対策について

 (※以下、医学的な説明をするにあたって、伝わりやすさを優先して厳密に正確でない用語を使うことがあります)
 本大会は、前回同様に予選と本戦でのプレイはVERSUSを主体として、プレイ時のマスク着用は自由とし、非招待制・非紹介制としていました。
 その一方で、神奈川県のガイドラインに従った感染対策(不織布マスクの着用、アルコールや次亜塩素酸水による消毒、観客席の間隔の確保など)に追加して、ワクチン接種、4日前からの行動制限、当日会場での迅速抗原検査 をお願いしていました。BA.5が主流になるにつれ、世代周期がさらに短くなったという報告を見ていたので、行動制限期間は5→4日に短縮しました。
 オミクロン株対応ワクチン(※僕は多価ワクチンと表記することが多いです)の国内への普及が、夏の時点での予想よりかなり早かったのは驚きでした。政府のコロナ対策や広報について、不平不満がありうるのも理解できますが、ワクチンの確保についてはかなり善戦していると考えています。政府を支持できるかは置いて、ひとまず利用できるものは利用する、というのがスマートに思えます。
 今回大会でも、行動制限があるせいで来場を見送ったプレイヤーがいたのを確認しています。多価ワクチンにより、発症予防や重症化予防のみならず、感染予防の維持まで期待できるなら(2021年10月レベルの効果が期待できるなら)、直前の行動制限については撤廃しても良いかもしれません。ただし、新しい変異体の出現のペースが、ワクチンのアップデートの速さを上回っているのは懸念事項ですし、直近の報告を見ても、アルファ株・デルタ株に対する従来型ワクチン2回接種と同等の感染予防効果を期待するのはちょっと難しいように思えます。コロナ禍に手間暇かけてVERSUSでの大会を開くのなら、合計5日間もの日程調整をこなせる人達だけでやる、というのは仕方ないかもしれませんし、エビデンスを把握しつつ安全優先で行きたいところです。
 今後は春と秋の2回程度、多価ワクチンでブースターをかけ続ける状況が半年から2-3年くらい続くと予想していますが、人類側のさらなるゲームチェンジャーとして、経鼻ワクチンにより気道粘膜での免疫を強化し、mRNAワクチンを大幅に上回る感染予防効果を得るアプローチが待望されています。ネズミでの実験で上手くいったという報告(※Science)や、世界各国で治験が始まっているというのも期待が持てる点です。
 抗原検査キットは前回よりかなり簡単に入手できました。さらに安く仕入れられそうなところも見つかりましたし、次回以降があるとしても、ひとまず大丈夫そうです。

大会日程について

 前回ほど流行の底を見誤りはしませんでしたが、ふたたび感染者数が増加基調のなかでの大会開催になってしまいました。11月中旬まで流行状況が良くなり続けるなら、土日開催にして、日曜日は高難易度帯を仕切れる人に知恵を貸してもらって・・・のようなことも夢想していましたが、こだわらないで正解だったと思います。
 季節性の要因から11月中旬でも下がりつづけると予想していましたが、より強い免疫逃避性をもった変異体の上陸や、春~夏に接種されたワクチンによる感染予防効果の減弱や、経済活動の支援などの影響があってか、第7波のボトムは10月上旬でした。増加ペースが11月中旬に減速したことについては、経済活動の自重のせいで無ければ、多価ワクチンの感染予防効果が予想のほか大きいかもしれません。(※オミクロンの世代周期の短さから、1割程度感染しやすさが変化しただけでも、週単位では劇的な変化になりえます)
 年に3回程度のペースで大会を開き続けるとするなら、6月、10月、3月での開催を狙うのを基調としつつ、KACやBPLなど公式の動きや、ほか企業主催などの大会と動線が被りすぎないようにして、厄介な変異体の流行や、ワクチンの進歩による流行の急激な改善などがあればまた戦略を考え直す――――、というのが無難そうです。

大会内容について

 課題曲についてはAnthurium(激)を予選課題曲にしたいというのが最初にあって、本戦課題曲についても割とスムーズに決められました。花に関連していそうな曲の中から、課題曲としての「格」を持つような、誰かの戦いの物語にピリオドを打っても良いような譜面を選びつつ、難易度によって譜面傾向の被りが小さくなるようにしました。自選の投げ方などを見ていると、二人の時(激)で決着をつけたくないという意思をそこかしこで感じました。梅雪夜(激)が一切選ばれなかったのは意外でした。縦連に16分3連が混ざる部分や、12分から16分への繋がりなどは、体力の減ってきた終盤での一発勝負で選びにくかったのかもしれません。GARBERA(激)について、自分がまともに踏めない曲を課題曲にする葛藤もあったのですが、個人的に花と言えばガーベラをまず思い浮かべるくらい、ガーベラの形に「花」らしさを感じていたので(次点はラナンキュラス)、「花」をテーマにするなら欠かせないなと思いました。同点課題曲は、これ以上同点にならないようにという念を込めて、ホワイチ(激)にしました。本戦課題曲で同点になったことは、僕の大会で1度も無かったのですが、よりによって2回も出てしまいました。大会が終わった夜、いろいろな感情を込めて骨髄バンクに寄付をしました。
 本戦課題曲に共通点を持たせるというのは国分寺①からかれこれ8回続けています(火→風→大アルカナ→光→金属→女性、恋愛→花)。1つ消化するたびに2-3セットくらい新しく思いついているので、今のところネタが尽きることはなさそうです。予選課題曲も共通点に含ませると、選ぶのがかなり難しくなってしまうので、次回あたり妥協していると思います。(予選課題曲に適当な、足12.5-13.7くらいの譜面は決して多くないと考えています)
 本戦参加予定者は39名で、国分寺①以来の倍率の高さでした。予選を2曲設定にし、1曲目を足慣らしに、2曲目でスコア提出にしたいというこだわりがあったので、予選開始時間を30分前倒しにして、2時間半を予選に費やすことにしました。これでも本戦開始が最大30分ほど遅れることを覚悟していました。10時半に予選をするには、抗原検査などの関係で10時には来場している必要があり、大会当日に、そのような朝早くからプレイヤーが列をなすとは想像していなかったからです。それがそれが、全く途切れることなくスムーズに予選が進み、1組フリープレイをする時間が残るほどでした。改めて皆様のご協力に感謝申し上げます。
 予選結果を振り返ってみると、「予選の順位をおおむね本戦での地力順にしたい」という目的は、前回のDIGITAL LUVよりは果たされたように思えます。ロス17から20、3歩のあいだにシードを跨いで10人ものプレイヤーがいたことについては想定外でした。人数が増えたのもあり、コロナ前の大会で強豪扱いされていたようなプレイヤー層も厚くなったのだと思います。
 ウィナーズトーナメントのシードの仕様については、前回同様に2019年9月の宇都宮の大会(主催:白玉先生、後援:Team TAKASKE- JAPAN)のものに近くしました。1回戦が予選9-16位、2回戦が予選5-8位vs1回戦の勝者、3回戦が予選1-4位vs2回戦の勝者で、ほぼ予選の順位どおりに本戦の勝敗が決まっていたのが印象的でした。今大会ではシードの勝率4/8、スーパーシードの勝率が7/8でした。予選が強すぎる人は本戦も強い傾向にあるというのが支持されますが、それ以外については運要素が強いように思えます。1戦ごとの消耗や、スーパーシードが順当に強い人になりがちなことを考えると、「あえて予選下位を狙うことで足を温める」のような戦術は下策に思えますが、参加者目線でどう見えているかは気になるところです。
 予選のボーダーはロス43でした。本戦のレベルは相応に高かったと考えています。ずっと考えていることの一つとして、激鬼PFC埋め始めましたくらいのMA力の人に実戦の機会を、化けるきっかけを提供したいというのがありましたが、すでにMFCやSDPを何十個も出している人でも、1回戦で勝ったり勝てなかったりというのは、僕の想定したレベルよりかなり高くなってしまいました。予選結果の上下をもってトーナメントを2つに分けるというのは、成功するイメージが湧かなかったため、見送りました。
 メンテナンス中断のときに、ほとんど棒立ちに近かったのも大きな反省点のひとつです。Royzの動向を調べているヒマがあったら、トークテーマの1つ2つ仕入れておくのが良かったかもしれません。ただ、真剣勝負を観に来た人たち、同好の士と語らうために来た人たちの集中力を、雑談で削いでしまっていいのかなという葛藤はあります。もう少し考えていたら何か思いつくかもしれませんが。
 エキシビションの説明は、前回マイクだけでやっていたのを、会場の小液晶にスライドを提示することで補足しました。来場者の中で投票が無かったのは3人(まむる氏、よしみず氏、ぎんやす氏)だけで済みました。うちよしみず氏、ぎんやす氏については、エキシビ参加者に投票権があることが伝わっていなかった可能性があり、足元がお留守になっていた案件っぽいです。

今後のDDR大会について

 今後も開催させてもらえそうな会場のアテはありますし、可能であれば年に3回ペースで続け、場数を積みたい人、戦いを楽しみたい人のための場を提供したいと考えています。
 BPLやKAC、その他のイベントと動線があまり被らないように気を付けたいと思います。アリーナモード的なもの(複数筐体での完全同期+スコア比較)が実装されないなら、gahou氏の周辺視野頼りのBPLになってしまうと思いますし、さすがに実装されると予想しています。そうしたら、より大規模で、高難易度寄りの大会を企画する人たちも現れるのではないかと予想しています。
 僕の大会はそこまで変わり映えはないと思いますが、良ければお付き合いいただければと思います。今回大会は、BPLの選考が始まる直前だったであろうことと、オフラインイベントを求める人たちの受け皿がほとんど無かったことから、僕には過ぎた規模の大会になったと考えています。次回があるとすれば、先述の通りBPLプロが出場しにくくなるであろうこと、その頃には他のオフラインイベントが何かしら開催される期待があることから、今回ほどの熾烈さにはならないのではないかと思っています。
 もし僕の大会の勢いがあまり変わらないとするなら、お手伝いをちゃんと確保したり、当日トラブルが起きたときの対応をもう少し詰めたりしたほうが良さそうです。参加人数を減らすために、あえて大会内容をつまらなくしたり(モチーフリスペクトで主催vsその他参加者の逆シードとか)、僕が人を選ぶ発言や活動をするようになったりなどは、今のところ予定はありませんが、人数を分散させるために、土日開催にするのも人生で1回くらいチャレンジしてみても良いかもしれません。