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砂の道 第7話 貴子

勘八の葬儀を終えて、恭平の家へ位牌を持って帰ってきた杏奈

杏奈「恭平、、、終わったよ、、、
やっと、終わった、、、」

恭平「ああ、お疲れさん、、、
色々、ありがとな、、、姉ちゃん」

杏奈「あんた、わたしがここ来て
初めて、"姉ちゃん" って言ったねw
ちょっとは落ち着いたかい❓」

恭平「ああ、まぁなぁ、、、」

杏奈「まぁ、気持ちは分かるけど、
もうお父さんも死んで償ったんだから
ある程度は許してやんなよ、、、
時間は掛かると思うけどさぁ」

恭平「今は無理、、、まだなんも
考えられんは、、、」

杏奈「そやろなぁ、でも、貴ちゃんは
もう、どうにもならんのかい❓」

恭平「そんなもん、当たり前やろ
ダメに決まっとるがな」

杏奈「でも、あの子は、ちゃんと反省しとるんよー、、、葬儀の時も式場のスタッフの人に教えてもらったけどな、
式場の隣の駐車場で、ひとり、
手合わせて、泣いとったんやよ」

恭平「アイツはいまだに、オヤジを好いとるんかぁ‼️」

杏奈「そりゃ違うって、、、
好いとるんじゃなくて、
申し訳ない、悲しみ、苦しみしかないぞ、そんなん、、、
元々好きであんな事した訳や無いからなぁ、あの子も、、、」

恭平「そうなんか、、、
寂しいのが可哀想やとか、、、
罪悪感で興奮してとか言っとったは」

杏奈「あの子、許してあげたら❓
あの子な、多分、今、お父さんの分まで、罪を背負って生きとるんやと思うんよ、、、自殺に追い込んだ責任も被ってるかもな、、、
あの子、今回は間違えたけど、心根は優しい、ええ子なんやよ、、、」

恭平「今のオレに、そんな事言われても、、、無理やは、、、無理」

杏奈「ふむ😕」

恭平の心は硬く閉ざされたまま、、、
しばらく月日が流れる

姉の杏奈もそうそうここに居続ける事も出来ないので、夫の元へ帰る事になった

杏奈は帰りがけに恭平に言った

杏奈「恭平、貴ちゃんのこと、
ちょっとは許す方向で考えなよ、それか
一言だけでも優しい言葉かけてあげなよ
でないとあの子、、、心配やは、、、」

恭平「はぁ❓なんのこっちゃ」

それで会話は終わってしまった


そして杏奈は帰って行った



その約1か月後

義父が杏奈に連絡を入れる

義父「もしもし、〇〇ですけど、
杏ちゃん❓」

杏奈「はい、そうですけど」

義父「貴子が死にました、、、
家の押入れの中で手首切ってしまって、発見が遅れて、間に合いませんでした、、、残念です」

杏奈「ええーーーッ‼️自殺ですか、、
もう、あの子、全部自分で背負ってましたからね、、、」

義父「悪いけど、恭平くんには連絡してもらえますかね❓」

杏奈「はい、連絡しておきます」

義父「とりあえず〇△病院に運ばれています、、、」


貴子の自殺、、、それは貴子が正常な人間としての観念を持っていたから尚更そうなってしまったのであろう

義父との情交は許さない事としても、
それ以外の事は、とても良い妻であり、
女であった貴子、、、

それに、その許されない情交も、
義父に対する哀れみや事故的に感じてしまった背徳感からで、決してそれだけで貴子の人間性を全否定する事は出来ない


貴子の回想、、、

貴子(わたしはもう、生きる価値がない人間なんだろう、、、
夫を廃人のようにしてしまい、
義父を自殺に追い込んだ、、、
ふたりの男の人生をめちゃくちゃにしてしまった最悪の女、、、)

貴子はそう思いながら生きていた

そして夜な夜な悪夢に襲われていた

「貴ちゃ〜ん、寂しいよぉ、、、
誰も居ないんだ、、、貴ちゃん、、、
寒いよぉ〜、、、着るものも無いんだ、、、」

そんな声にうなされながら
もがき苦しんでいると、
ふと、目が覚める、、、

腹這いになって窓の方を見ると

全裸の勘八が窓の外に浮いてこっちを見ている、、、

貴子「キャーッ」

貴子は布団を被って震える🥶

貴子(お父さんは死んでも、魂が苦しんでいる、何とかしなくては、、、
この世界に生きていても、もう何もすることはない、、、全てが手遅れ、、、)

そんな想いを募らせていき

貴子は遂に、手首に深く、刃を入れる

発見されて、救われない様に、

こっそり普段、使うことの無い
二階奥の部屋の押し入れの中で、、、

涙は枯れて、もう出ない、、、

遠退く意識の中で、
やっと少し安堵の笑みを浮かべたまま
貴子は息絶えていった、、、


貴子の両親が、貴子の不在に気づいて
探したが、見つからず、その晩、捜索願いを出そうかと相談していた時、義母が偶々開けた押し入れの中で、貴子が自殺を遂げている事を発見したのである


〇△病院の霊安室

貴子の亡骸に縋り泣く義母、、、

立ち尽くし泣く義父

そこへ訪れる杏奈と恭平、

義父「恭平くん、すまん、こんな事になってしまって、、、」

恭平「………も、もういいんです、、
もう、どうしようもない、、、」

義父「結局、君を傷付ける事になってしまって、、、すまん🙇‍♀️」


葬儀は恭平が離婚届けを放置していたので、籍は未だ恭平の妻、恭平を義実家がバックアップする形で執り行われた

勘八同様に、参列者無しで、家族で見送った、、、

そして貴子も骨になった、、、

後日、貴子の友人が、線香をあげに来た

蝋燭に火を灯し、線香をあげて、おりんを2回鳴らして手を合わす、、、

チンチーン

振り向いて話し始める彼女

友人「ホント寂しいですね、、、
こんな事言ったら叱られるかもだけど、、、
あの子、間違いは犯したけど、人柄は良い子でしたからね、やり直せると思ってたんだけどなぁ」

恭平「やり直せるなんて、、、
当事者でない貴方には分からないでしょう、、、目の前でやってたんですよ、、、大きな声出して、、、」

友人「そ、そうでしたか、ごめんなさい🙏、、、帰ります、ごめんなさい🙇‍♀️」


貴子は人柄が良かっただけに、
周りの人から好感を持たれている事が多分にあり、恭平が自殺に追い込んだような言われ方をする事も多く、
恭平も辛かった



全てを失った恭平、、、


これから、どう生きればいいのか




…つづく…



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