重大発表があります。

技巧派のスリーピースバンドはよく「3人で出せる音じゃない」と評価されることがあります。ギター、ベース、ドラムという音楽における最小単位の構成で奏でられているとは到底思えない程の技量、または音量だという、一種の賛辞ですね。今回紹介するプライマスも3人では出せない音を出すバンドなのですが、彼らはその中でも少々異質な存在となります。スリーピースバンドの多くがギターサウンドを中心に置く中で、プライマスのサウンドの中核は明らかにベースだからです。

プライマスは1984年、レス・クレイプール(Ba,Vo)によって結成されます。メンバーチェンジを経て、1989年にラリー・ラロンデ(Gt)とティム・アレキサンダー(Dr)が加入したあたりでインディデビューとメジャーデビューを飾ります。まさにこの頃がプライマスの全盛期でした。

前述したようにこのバンドの特徴はアホみたいにうるさい「変態おじさん」ことレスのベースです。音楽の常識みたいなものを習ってこなかったような頭悪い感じの変態スラップとタッピングでリフを弾きまくる姿はどのバンドにも見られない、唯一無二の存在と言えます。さらにその非常識なベースラインを叩きながらこなすボーカルはボヨボヨのダミ声で、華やかさとは全くもって無縁なこのバンドの世界観を際立たせる要因ともなっています。彼の強大な存在感の前に他の楽器隊は添え物的な扱いを受けることも多く、メンバーチェンジが多い時点で実際そうなのですが、ベースラインにミッチリと絡みつくようなテクニック満載のティム・アレキサンダーのドラム、そしてメタル上がりのギタリスト、ラリー・ラロンデのキチガイじみたギターソロはレスに負けず劣らずの個性を見せています。彼ら無くしてプライマスは語れないのです。

その個性が爆発した一曲がアルバム「Pork Soda」からシングルカットされた「My name is mud」。ローテンポのまま陰鬱に進んでいくドラムとベースリフは、しかしギュイギュイに歪みまくりのギターの登場により盛り上がりを見せます。歌詞の内容は低賃金労働者が些細な喧嘩で同僚を殺し土に埋める話という、まさにプライマス・ワールド全開の一曲となっています。

ちなみに全盛期を過ぎた後はドラムが数人変わるなどして緩やかに下降線を辿り、2000年に解散してしまいます。しかし3年後にレス・ティム・ラリーの3人で再結成。そこからまたドラムが変わったりしますが、結局ティムに落ち着いたらしいですね。

他の代表曲(収録アルバム)

Tommy The Cat(Sailing the seas of cheese)

疾走感溢れるナンバー。ベース弾きながらラップするレスが強すぎる。

Wynona’s Big Brown Beaver(Tales from the punchbowl)

変幻自在のベースラインが気持ちいい名曲。題名は直訳すると「ウィノナという女が飼ってるデカいビーバー」ですが、ビーバーはスラングで女性器の意味があるので、そういうことですね。

この記事の題名なんですが、嘘です。

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