なぜドラマーはワンタムにするのか

 みなさんはドラマーがワンタムにする理由、たまに気になったりすると思う。ツータムの方が叩く場所多いし、保険になるし、色々融通が効くし、わざわざ下級生にタム取らせる時間勿体無いやろ、ゴミ。て思うこともあるかも知れない。しかし、ツータムがワンタムに変貌する理由は確かに存在するし、ドラマーはゴミではない。なぜなら自分もワンタムにするし、他のドラマーもワンタムにするし、自分も彼らもゴミではなく人間だからである。今回の記事では、なぜドラマーはワンタムにするのかを二つの理由に分けて解説していく。

 一個ある理由として、ドラマーの姿が観客から見やすくなる、というものがある。英語の授業でお馴染みカーペンターズのボーカル、カレン・カーペンターは、もともとドラムを叩きながらボーカルをしていた。今で言うシシド・カフカスタイルである。しかし、彼女はタムの多いドラムセットを好んでいたので、観客からはボーカルがよく見えないという弊害があった。この逸話からも分かるように、タムはドラマーにバリエーションをもたらす反面、観客から見えにくくなるという要素をプラスしているのである。よってタムを一つ抜くことで、ライブの後女の子に自分のプレイの可否を聞くと「なんか見えづらくてよく分かんなかった〜☆」とか言われる可能性を最小限まで狭めているのだ。ちなみに前述のカレン・カーペンターはスティックをマイクに持ち替えピンボーカルになったが、ドラムもかなり実力があったので惜しまれたという。

 もう一つの理由が、かっこいいからである。理屈とかそういうの抜きに、シンプルなドラムセットで挑むドラマーはただただかっこいいのである。個人的にもタムは少なければ少ないほどスッキリしてる気がするし気分は良くなる。一回だけ、ノータムでドラムをやった。普段やってる叩き方ができなかったので苦しかった。でも死ぬほど楽しかったし、変則的なセッティングが唯一無二感があって非常に優越感があった。流石に毎回ノータムはきついが、やれる時にワンタムはやっておかないと気が済まなくなる気がする。この焦燥感こそワンタムの魅力、魔力なのである。ドラマーになった以上、この魔術をかけられたからには抵抗することはできない。

 以上がドラマーがワンタムにする理由2つである。自分でドラムセットを持ってく時に軽くなるとか、そういう理由もあるにはありそうだが自分は持ってないのでわからん。ライブでドラマーがロータムを外す時間にはこの記事を思い出して、ドラマーにも諸々事情があるということを思い出していただければ嬉しい。

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