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ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ【コロス・オブリヴィオン】(第2版)



はじめに

 このシナリオは「ニンジャスレイヤーTRPG」第2版基本ルールブック環境用のもので、ニンジャスレイヤーTRPGのシナリオ・コンテスト「ゴールデン・ヌンチャク賞」への応募作品でもある。

 また、このシナリオは初版同名記事シナリオのコンバート版であり、初版記事ではRP内容などかなり細かく記載されているため、マスタリングの際の参考になるかもしれない。

 このシナリオはニンジャスレイヤー第1部第4巻『ネオサイタマ炎上4』収録のエピソード『コロス・オブリヴィオン』を元にし、一部文章の引用・改変を行っている。

NM向け記号解説

:「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
のような「:」から太字の文章が続く形になっている文は、シナリオの進行に合わせてNMが読み上げる文であることを意味する。「:」の前に発言者の名前や、読み上げるにあたっての条件が書かれていることもある。通常の太さの説明文の中に、太字の「セリフ」が挿入されることもあり、その場合は前後の文章を見てその「セリフ」を、いつ、だれが発するべきなのか判断されたし。

:「イヤーッ!」(命中判定)「グワーッ!」
のように、内部に判定や条件が書かれた()で文章が区切られている場合、判定が成功するか、シチュエーションが条件に合致していないと、それに続く文章は読み上げられない。

:<DKKが最も高いキャラクター>の前に、赤黒い影が現れた。
といった「条件」が<>で囲まれている箇所が出現した場合は、そこにその条件に適合するキャラクターの名前を入れる。

 これらの文にはNMの判断により、自由に修正を加えて構わないが、重要な情報が失われないよう注意されたし。

シナリオサマリー

◆シナリオサマリー
タダオ大僧正との関係を緊密にしたいラオモト・カンの意向に基き、テンプル襲撃を繰り返すアーマゲドンと信者のアンタイブディズム・ブラックメタリスト(ABBM)集団を殲滅せよ。

 対象:ソウカイヤから依頼を受けられる立場の壁超え前ニンジャ4人。
 難易度:イージー〜ノーマル程度
 キャラロスト:あり
 余暇:標準(4スロット)
 所要時間:3~4時間
 その他:一部戦闘にてサツバツボーナスあり。【DKK】大量獲得可。カルマロンダリング機会あり。
 参照エピソード:『コロス・オブリヴィオン』

1.導入/ダンゴウ

:◆
:ここはトコロザワ・ピラー中層部のブリーフィングルーム。高位ニンジャの招集を受けたニンジャ、つまり君達がミッションの開始を待っている。
:その中には見知った顔がいるかもしれないし、お互いに知らない顔ばかりかもしれない。
:何はともあれ、これから同じミッションを与えられる者同士、まずはアイサツを済ませておくべきだろう。

各人がアイサツを行い、ニンジャ同士の会話の区切りがいい所で、ソニックブームを登場させてダンゴウを開始する。

:「おう。揃ってるみてェだな。ドーモ、ソニックブームです」
:現れたるは赤地に金糸装束の大柄なニンジャ、ソニックブーム。強力なソニックカラテを武器とする、極めて高位のソウカイ・ニンジャである。

◆ソニックブーム (種別:ニンジャ)
カラテ    12  体力   17
ニューロン   6  精神力  12
ワザマエ   10  脚力   6/N
ジツ     5  万札   50

攻撃/射撃/機先/電脳  12/10/6/6
回避/精密/側転/発動  12/10/10/-

◇装備や特記事項
 『●連続攻撃2』、『●連射2』、『◉忠誠心:ソウカイヤ』、『★◉◉ソニックカラテ衝撃波』

 『★◉◉ソニックカラテ衝撃波』:
 手番攻撃フェイズ開始時に【体力】か【精神力】を1消費し、以下の戦闘スタイルを使用できる:

  射撃用の『戦闘スタイル』として使用:
   ・ソニックカラテ衝撃波(連発):連射5、ダメージ2
   ・ソニックカラテ衝撃波(収束):連射2、ダメージ3、時間差	
   ・ソニックカラテ衝撃波(乱打):連射10、ダメージ1

  素手攻撃用の『戦闘スタイル』として使用:
   『近接攻撃』に『痛打+1』と『リーチ+2』を得る。ただし、隣接している敵に対しては攻撃不能。

:「さて、ミッションの説明の前にだが、テメエら、『カナガワ』って知ってるか?」

 ソニックブームは以下のようなミッション内容を説明する。
 ロールプレイ重点で進行させたい場合は、太字の◎だけをまず伝え、PC側から質問があった場合のみ、他の情報を伝える。

◎アンタイブディズム・ブラックメタルバンド『カナガワ』がバンドメンバー同士で殺し合いを行い、その後、ヴォーカルのアーマゲドンが信者のアンタイブディズム・ブラックメタリスト(ABBM)に呼びかけて方々でブディズム・テンプル襲撃を行わせている。

◎被害は現代も拡大中であり、カスミガセキ教区のタダオ大僧正が個人的なコネクションを用いてラオモト・カンに迅速な解決を依頼。これに応じたラオモトは、ニンジャ四人(PC達)という過剰戦力の派遣を決定。

◎ABBM集団にはモータルしか所属していない。しかし、グレートソードやフランベルジュと言った大型近接武器の一撃はニンジャであっても小さくないダメージを受ける他、タフなスモトリメタリストの姿も確認されている。

◎リーダーのアーマゲドンを無慈悲に始末して、ABBM集団の暴走を食い止められれば任務成功。ラオモトの面子に関わる重要案件のため、万が一失敗した場合はPCたちは組織内での立場がかなり危うくなる。

◎ABBM集団に襲撃されたテンプルでの略奪などの狼藉行為は黙認されるが、民間人に現行犯を見咎められて通報されると、デッカーなどとの戦闘に陥って任務に支障をきたしかねないため要注意。また、近隣地域ではニンジャスレイヤーの痕跡も確認されている。

◎現在、マッポ無線の傍受やIRCネットワーク監視などによりアーマゲドンの目撃情報を捜索中。発見され次第、ASAPで駆けつけて叩き潰せ!

 出発前に、以下のRPを行う。

:「ああ、そうだ。出発前に渡しておくものがある」ソニックブームはクローンヤクザを呼び、黒漆塗りの重箱を持ってこさせる。
:重箱の中には、ハーケンクロイツめいた形状の黒と金のブッダシンボルのピンバッジが人数分入っていた。
:「これはタダオ大僧正が治めるカスミガセキ教区エージェントの証でな。教区に入るならこれを着けてからにしろとの、タダオ大僧正からのお達しだ」ソニックブームはピンバッジをニンジャ全員に受け取らせる。
:「……ム」ソニックブームは手元のIRC端末に目を落とす。
:「オウ、テメエら! 『トノサマ・ヤードのシゲルチ・テンプルを襲撃するABBM集団の中にアーマゲドンの姿あり』だとよ! 」
:「アーマゲドンのタマ取って、最高の報告を持ち帰って来いよ!」

2.シゲルチ・テンプル

スクリーンショット 2021-05-02 173255

:◆◆
:夜。ネオサイタマ北西部。オフィスが立ち並ぶ、灰色の高層ビル街トノサマ・ヤード。その谷間に奥ゆかしく建つシゲルチ・テンプル。敬虔なサラリマンたちがしばしば祈りを捧げる、二十四時間営業の小規模で腰の低いブディズム宗教施設だ。
:しかし、君たちが訪れた時には、テンプルはアンタイブディズム・ブラックメタリストの襲撃を受け、無残な有様だ!
:「平安時代の戦争から一時的な忘却により放逐された俺は/ブッダ軍団に再び戦いを挑む/我が手には聖人を殺すために悪魔に鍛えられし冷たい鉄のマサカリ!」燭台や掛け軸はブラックメタリストのフランベルジュによって打ち壊され、レッサーボンズの死体パーツと大仏の首が一緒くたにテンプル内に散乱している。
:「ARRRRG!ブッダの軍門に下った豚の首を刎ねよ!」スモトリメタリストはカナガワの楽曲を歌いながら仏像の首にグレートソードを叩きつける!
:「真の物語を歌う、三度呪われしオイランの声はキョート山脈の寂しい雨に消え……?」遅まきながら、テンプルの主アワモ僧正と二人の参拝サラリマンをフランベルジュ両断しようとしていたブラックメタリストが、テンプルへの侵入者に気づいたようだ。
:「ブッダの眷属か?」「アアアダブ!」「ブッダファックアンドサヨナラ!」「ドッソーイ!」ブラックメタリスト達は新たなる生贄へと武器を向ける。それが恐るべき半神的存在、ニンジャであるとも知らずに。
:ブラックメタリストの中に首謀者アーマゲドンの姿は見当たらない。既にこのテンプルを立ち去った後だろうか。速やかにブラックメタリストを無力化して情報収集を行い、改めて追跡を掛けるのだ!

 PC達が「初期配置」マスに自分のコマを配置し、ステータスを記入し終えたら戦闘開始。
 余程の例外がない限り(例:カナシバリ・ジツ使いPCの『☆◉操り人形』で攻撃させた)、ABBM集団はアワモ僧正やサラリマンを無視してPCのみを攻撃する。
 ABBM集団の全滅、もしくはPCの全滅か脱出。以上のいずれかが起きた時点で戦闘終了。

アンタイブディズム・ブラックメタリスト / ABBM

「コロセー! コロセー!」「殺戮の中に暗黒の橋が現れ俺たちをブッダの神殿へと導く!」「ブッダの使徒を殺す!」「首を撥ねる!」「反ブッダの祭壇に捧げる!」「暗黒の橋が現れる!」

◆アンタイブディズム・ブラックメタリスト  (種別:モータル)
カラテ    2  体力   2
ニューロン  2  精神力  2
ワザマエ   2  脚力   2
ジツ     –  万札   1

攻撃/射撃/機先/電脳  2/2/2/1

◇装備や特記事項
 フランベルジュやグレートソード: 近接武器、2ダメージ、攻撃難易度:HARD

 『◉血の狂乱』:
  体力が1になった場合、そのブラックメタリストは狂乱し、『突撃』を使用可能となる。
 『◉儀式的自傷』:
  自らの胸にナイフで逆さ鳥居や魔法陣などのパターンを刻み、異常興奮状態に入る。
  手番開始フェイズに「瞬時行動」として自分自身に1ダメージを与えることができる(自動的に成功する)。

スモトリ・ブラックメタリスト

◆スモトリ・ブラックメタリスト (種別:モータル)
カラテ		4	体力     4
ニューロン	1	精神力    1
ワザマエ		2	脚力     2
ジツ   	ー	万札     2
							
攻撃/射撃/機先/電脳  4/2/1/1

◇装備や特記事項
 フランベルジュやグレートソード: 近接武器、2ダメージ、攻撃難易度:HARD

 『◉血の狂乱』:
  体力が1になった場合、そのブラックメタリストは狂乱し、『突撃』を使用可能となる。
 『◉儀式的自傷』:
  自らの胸にナイフで逆さ鳥居や魔法陣などのパターンを刻み、異常興奮状態に入る。
  手番開始フェイズに「瞬時行動」として自分自身に1ダメージを与えることができる(自動的に成功する)。

ニンジャマスターへ:ブラックメタリスト達は火力の高い危険武器を持っている。また、通常のブラックメタリストとスモトリメタリストはイニシアチブが違っているため、ブラックメタリストの攻撃に全回避ダイスを使ってしまうとスモトリメタリストの攻撃を素通ししてしまうという点には要注意だ。

アワモ僧正

◆アワモ僧正 (種別:モータル) 【カルマ:善】
カラテ     1  体力    1
ニューロン   3  精神力   1
ワザマエ    3  脚力    2
ジツ      -  万札    1

攻撃/射撃/機先/電脳  1/3/3/3

◇装備や特記事項
 特になし

サラリマン

◆サラリマン (種別:モータル) 【カルマ:善】
カラテ     1  体力    1
ニューロン   2  精神力   1
ワザマエ    3  脚力    2
ジツ      -  万札    3

攻撃/射撃/機先/電脳  1/3/2/2

◇装備や特記事項
 「オーガニック・スシ」所持

戦闘後

:ニンジャの圧倒的戦闘力によってABBM集団は無力化された。しかし、首謀者のアーマゲドンはここにはいなかった。そこで、君たちはアーマゲドンの居場所についての情報収集を行わなくてはならない。
:テンプル内は大いに荒らされており、惨憺たる有様だ。しかし、ABBMは破壊と殺害だけが目的なため、金目のものなどは奪われていない。調査がてら物色してもいいかもしれない。
:テンプル内の被害者は、生存していたとしても拷問による消耗とニンジャリアリティ・ショック(NRS)によって全員意識朦朧としている。もし、ブッダシンボルのピンバッジを見せれば、彼らは君たちのことをタダオ大僧正が派遣した凄腕の傭兵とでも解釈して正気を取り戻し、すんなりとインタビューに応じてくれるだろう。
:あるいは、ABBMに死に損ないがいれば、被害者を放置してそちらから無理やり情報を引き出すことはできるだろう。手段はどうあれ、ミッション達成のためにアーマゲドンの情報を引き出すのだ!

 ABBMとの戦闘に勝利した後、PCはアーマゲドンを追跡するための情報収集を行い、およびに望むのならばテンプル内のトレジャーを獲得することができる。

情報収集
◇被害者への聞き込み

 もし、アワモ僧正やサラリマンといった被害者が戦闘に巻き込まれず生きている場合、PCのうち代表者1名が朦朧としている彼らを起こし、難易度EASYの『交渉判定』でアーマゲドンについての情報を聞き出すことができる(PC達は彼らの命の恩人なので、手荒な真似をしなければ素直に話してくれるのだ)。

◆被害者から情報を引き出すための交渉:

最も適した交渉スキル(+2):共感、超然
次に適した交渉スキル(+1):威圧、理路整然など
最も適した知識スキル(+2):宗教、サラリマンの流儀
次に適した知識スキル(+1〜2):伝統的アート、カチグミエリアなど

◆判定失敗時のペナルティ:
 心身に限界が来ていたためか、被害者は情報を口にする前に失神してしまった。ZBRアドレナリンを消費して蘇生させることで、成功数+1で再判定可能(すべてのダイスが失敗しても、アーマゲドンの目的地は最低保証される)。ZBRアドレナリンを消費せずとも無理やり叩き起こして同上の判定が可能だが、その場合対象は死亡してしまい、代表者は【DKK】+3される。

◆判定成功時に与えられる情報と報酬:
判定成功数ごとに、下記情報が1つずつ与えられる。

◎アーマゲドンはこのテンプルに数名のABBMを残し、カスミガセキ・カテドラル目掛けて進軍中。次に狙われるのは、ここからカテドラルへの直線上にあるバッサリ・テンプルだろう(シナリオ進行可能)
◎アーマゲドンは細身の上に隻腕だが、大きなマサカリを平然と振るう怪力の持ち主である(『緊急回避ダイス』+1)
◎アーマゲドンは蒼いジゴクの炎を操る、ニンジャめいて超人的なブッダ・エネミーだ(『即応ダイス』+1)

◇ABBMへの聞き込み
 また、もし被害者が全滅してしまった時などには、無力化したABBMの一人にまだ息があったものとして聞き込みを行ってもよい。
 ただし、 『交渉判定』の難易度はHARDであり、判定に有利な知識や交渉スキルも被害者らとは異なったものとなる。

◆ABBMから情報を引き出すための交渉:

最も適した交渉スキル(+2):威圧、煽り
次に適した交渉スキル(+1):欺き、超然など
最も適した知識スキル(+2):オカルト、現代的アート
次に適した知識スキル(+1〜2):ファッション、犯罪など

◆判定失敗時のペナルティ:
 素直に話そうとしなかったためネギトロになるまで痛めつけてしまったが、アーマゲドンの行方についての情報だけはどうにか聞き出せた。成功数1として扱う。【DKK】の獲得は特にない。

◆判定成功時に与えられる情報と報酬:
 被害者への聞き込みと同じ。

トレジャー獲得
 テンプル内は既にABBM集団によって荒らされているため、誰にも見咎められなければ、PCがトレジャーを拾得してもABBMに破壊されたものと考えられ、PCに疑いが及ぶことはなく、【DKK】も蓄積しない。
 ただし、被害者の意識回復後にトレジャーを拾得しようとした場合、彼らは君たちをハック・アンド・スラッシュの一味と考えて非常警報ボタンを押そうとするため、即座に始末する必要が生じる(NMはトレジャー拾得前にきちんとPLに警告すること)。
 この時、被害者を殺害したPCは、殺害人数につき【DKK】1を獲得する(殺害以外の方法で無力化すれば【DKK】の獲得は免れる)。
 もし、始末しようとしなかった場合、警報に応じて現れたボス級NSPDデッカーとチーフマッポ、レッサーマッポ複数(下記リンク参照。全員カルマ:【善】)をマップに適宜配置してPCと戦闘させよ。

部屋の隅のコモンランダム・トレジャー

◆コモンランダム・トレジャーの決定表◆
出目1−3:【万札】1 
出目4−5:良質なマッチャ
出目6:聖職者用拳銃ソード・オブ・ブッダ

良質なマッチャ:回復アイテム、【精神力】1回復、使い切り、【万札】2に換金可能
聖職者用拳銃ソード・オブ・ブッダ:
カスタム・チャカガン読み替え、売価【万札】5

オファリングボックス

大仏下に備え付けられたオファリングボックスは極めて重硬だ。しかし、ボックスを粉砕できる程の強力なカラテや物理錠を解錠する優れたワザマエがあれば、中身を無事に手に入れられるだろう。
代表者1名が【カラテ:ULTRA-HARD】【ワザマエ:ULTRA-HARD】のいずれかの判定に成功すれば、【万札】10獲得。

撤収
 PCが情報収集やトレジャー拾得を完了させたなら、PCをシゲルチ・テンプルから撤収させる。
 この時、アーマゲドンの行方についての情報を獲得していたならばバッサリ・テンプルに向かわせるが、情報を得られていない場合は、アーマゲドンの行方がわからずすごすごとトコロザワ・ピラーに帰還する。(評価D)
 ただし、その場合も、NM判断で『バッサリ・テンプルがアーマゲドンに襲われているとのマッポ通信を傍受した』、『ダイダロスがハッキングで居場所を割り出した』というIRC通信をソニックブームから受信したものとして、無事にバッサリ・テンプルに辿り着かせても構わない(この時、ペナルティとして、報酬を多少減額してもいいだろう)。
 もし、撤収までにアワモ僧正が正気を取り戻しており、PCがカルマ:【善】のモータルに危害を加えるような行動を行っておらず、かつトレジャーを拾得していなかった場合、アワモ僧正はPCを高潔なブッダウォリアーの降臨と崇めて全てのトレジャーを自ら差し出す、などというオプションを付けてもいいだろう。

3.バッサリ・テンプル

スクリーンショット 2021-05-02 173533

:◆◆◆
:風の強い夜だった。重金属酸性雨がフェイク檜造りのコンクリート寺院に荒々しく吹き付けられる。バッサリ・テンプルの守りは覚束ない。ネオサイタマ市警から提供されたマッポ軍団は、全てカスミガセキ・ジンジャカテドラルの防衛に充てられており、周囲の零細テンプルにはわずか数名の警官しか回されていないのだ。
:結果、バッサリ・テンプルはブラックメタリストの襲撃でブッダでさえも目を背けるほどのツキジ・ゴア。「嘘の舌!/巧妙に隠されたブッダが横行する」断ち切られた仏像の首にフランベルジュを叩きつけながらブラックメタリストが高らかに歌いあげる。
:「切断されし聖徳太子の首を見よ/俺は再び蘇りて忘却を殺す!/殺す!殺す!殺す!忘却を殺す!」「アイエエエ!」そして、今まさにテンプルの主、イロリ僧正に向けてマサカリを振り下ろさんとするは、不吉な逆さトリイが描かれた白塗りメイク顔面、裸の上半身に黒いハカマ・スカートを纏い、腕には錆び果てた重々しいガントレットを嵌めたブラックメタリスト。あれぞまさにアーマゲドン!
:アーマゲドンらが開け放ったシャッターを通り、君たちはテンプルにエントリーする。すべての窓は閉じ切られて、唯一の出入り口には君たちが立ちはだかる。つまり、ここはもはや仏敵を閉じ込めるネズミ袋だ。
:「ARRRRRGH!コロス!コロス・オブリヴィオン!」アーマゲドンは絶叫しながら君達の方を向き直る。その身から迸るは、強大なニンジャソウルの気配。そう、アーマゲドンはニンジャなのだ!
:「ドーモ、俺はアーマゲドン。この世界に死と炎をもたらす!」邪悪なブラックメタリストニンジャのアイサツだ!
:「アイエエエ!」反ブッダニンジャ! そしてそれを殺しに来たニンジャ達! 哀れなイロリ僧正は急性NRSを発症し、聖職者専用拳銃ソード・オブ・ブッダを手にしたまま震え上がっている。
:アーマゲドンがニンジャであろうとなかろうと、君たちがやることは変わらない。アーマゲドンとブラックメタリストを皆殺しにし、まとめてジゴクへ送ってやるのだ!

 PC達が「初期配置」マスに自分のコマを配置し、ステータスを記入し終えたら戦闘開始。
 アーマゲドンおよびにABBMの全滅、もしくはPCの全滅か脱出。以上のいずれかが起きた時点で戦闘終了。

戦闘開始前に以下のタダオ大僧正通信RPを行う。

:『フォホホホ、聞こえていますか、ソウカイ・ニンジャたちよ……』君たちが着けたブッダシンボル・ピンバッジから声が響く。
:『ドーモ。カスミガセキ教区のアークボンズ(大僧正)タダオです。ラオモト=サンにこのミッションを依頼した者と言った方がわかりやすいでしょうか?』
:『あなた方の着けているブッダシンボル・ピンバッジは通信機も兼ねています。そして、このテンプルの防犯カメラを通してこの光景を見せてもらっているのです』
:『フォホホホ、いいですか、ソウカイ・ニンジャたちよ。この罪人たちをできる限り惨たらしく殺すのです』
:『カルマの汚れは凄惨なる懲罰によって浄化される。故に、生前のうちに痛めつけられることが贖罪となり、死後のジゴクの苦しみを減ぜられる。これは他ならぬ彼ら自身のためなのです……』喜悦を隠さぬ声音!
:『フォホホホ、この神聖行為によってあなた方のカルマも浄化されますが、私は実際慈悲深い。カルマだけでなくマネーによっても報いて差し上げましょう……!』

 この戦闘では、タダオ大僧正からサツバツボーナスが贈与される。また、その他にもアーマゲドンへのソード・オブ・ブッダ弾丸命中、残虐なフィニッシュムーブ、その他NMが遥かに良いと思う残虐行為が発生したら、そのPCに気前よく臨時ボーナスをあげよう! ただし、タダオの言葉に反して【DKK】は特に減少しない。

:「ARRRRGH! 貴様ら、ブッダの代理戦士か! 奮い立て、反ブッダの尖兵たちよ!奴らを八つ裂きにして犬に食わせるのだ!」アーマゲドンは狂乱してブラックメタリストに号令を掛け、自らも君たちに襲いかかる!

マップ内ギミック等
シャッター制御UNIX

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 PCがシャッター制御UNIXに対する難易度NORMALの『ハッキング判定』に成功した場合、F13のマスにシャッターを出現させられる事を宣告せよ。

シャッター:【体力】5、『ダメージ軽減1』、【ワザマエ:UH】に成功すると『ダメージ軽減』消滅

 一度ハッキングに成功した後であれば、シャッター制御UNIXに接してその他の行動を消費することで、ハッキング者に限らずPCはシャッターを自由に出現ないし消滅させられる。
 なお、このシャッターは、主に後述のニンジャスレイヤー出現時に、PCの脱出を阻むために用いられる。

イロリ僧正への干渉
 イロリ僧正は特に何事もなければ震え上がったまま動かないが、PCは彼から聖職者専用拳銃ソード・オブ・ブッダを奪って自分で使ったり、あるいは彼を説得して戦闘に参加させたりすることができる。

◇聖職者専用拳銃ソード・オブ・ブッダ奪取
 PC1名は、イロリ僧正に隣接して「その他の行動」を消費することで、彼が装備している聖職者専用拳銃ソード・オブ・ブッダを奪うことができる。
 イロリ僧正は泣き喚くだけで目立った抵抗もできないため、判定不要の自動成功となる。
 また、後の展開のために、PCが武器を奪うついでにイロリ僧正を殺そうとした場合は、NMから制止しておいた方がいいだろう。

◇戦闘参加への呼びかけ
 PC1名は、イロリ僧正に隣接して「その他の行動」を消費した難易度HARDの『交渉判定』に成功した場合、聖職者専用拳銃ソード・オブ・ブッダによるアーマゲドンやABBMへの支援射撃を行わせることができる。

◆イロリ僧正を戦闘に参加させるための交渉:

最も適した交渉スキル(+2):鼓舞、煽り
次に適した交渉スキル(+1):共感、超然など
最も適した知識スキル(+2):宗教、オカルト
次に適した知識スキル(+1〜2):伝統的アート、カチグミエリアなど

◆判定失敗時のペナルティ:
 イロリ僧正は怯えきっていてしまっており、震え上がったまま動かない。交渉判定に再挑戦不可能なことと、戦闘中の手番浪費以上のペナルティは存在しない。

◆判定成功時に与えられる報酬:
 イロリ僧正は次の手番から即座に行動を開始し、移動せず集中状態で聖職者専用拳銃ソード・オブ・ブッダによる射撃を行う。ターゲットはPL側で指定可能。また、アーマゲドンやABBMにはイロリ僧正は狙わせず、PC達に攻撃させておいた方がいいだろう(「ボンズ。貴様は最後に誰より惨たらしく殺してやる!」というようなRPを挟んでもよい)。

NPCデータ:

アーマゲドン

「ARRRRRGH!コロス!コロス・オブリヴィオン!」///「ドーモ、俺はアーマゲドン。この世界に死と炎をもたらす!」///「……我が手には聖人を殺すためにアクマに鍛えられし冷たい鉄のマサカリ!」///「クアアアアアアーッ!」///「最終戦争の狼煙が……! 終わる!俺のカナガワが……!俺の栄光が……!」

◆アーマゲドン (種別:ニンジャ)
カラテ    5  体力   8
ニューロン  4  精神力  4
ワザマエ   4  脚力   2/UH
ジツ     3  万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  8/7/4/4
回避/精密/側転/発動  5/7/2/10

ブッダエネミー:『聖職者用拳銃ソード・オブ・ブッダ』による被ダメージ+1

ダークカラテ・エンハンスメント;近接攻撃・射撃時にダメージ+1(下記攻撃のダメージは適用済みのもの)
マサカリ:ノダチ(超大型近接武器)とみなす、攻撃難易度;U-HARD、4ダメージ
戦闘スタイル:回転斬撃:マサカリ装備時のみ、ワザマエ判定:HARD、周囲8マスに2ダメージ
戦闘スタイル:滅多打ち:素手装備時のみ、回避ダイス2個を消費し2ダメージ×2、サツバツ発生なし

◇装備や特記事項
マサカリ(超大型武器)
『☆カトン・ジツLV3』
『◉ニンジャソウルの闇』×3、『◉ダークカラテ・エンハンスメント』、『◉滅多打ち』、『◉ブッダエネミー』

『◉ブッダエネミー』
自身が反ブッダ存在であるとの自己暗示。
聖職者に対する近接攻撃ダイスが+2されるが、
『聖職者用拳銃ソード・オブ・ブッダ』による被ダメージが+1されてしまう。

ニンジャマスターへ:アーマゲドンには戦闘序盤は回転斬撃やカトン・ジツで複数のPCを攻撃させ、適当なタイミングで武器スロットを素手に切り替えて滅多打ちでの単体二回攻撃を行わせることを推奨する(回避ダイスコストにより自身の体力減少も加速する)。また、回転斬撃やカトン・ジツLv3などの範囲内にABBMがいた場合、本来の効果を無視して巻き込み殺してもいいだろう。なお、ダークカラテ・エンハンスメントのエンハンスは蒼い炎という形で描写される。

戦闘描写例

マサカリ攻撃
:アーマゲドンはその隻腕で蒼い炎を纏った長大な鋼鉄マサカリを<攻撃対象>に振り下ろす!「ブッダの代理戦士よ! 死ね!」

回転攻撃
:アーマゲドンはその隻腕で蒼い炎を纏った長大な鋼鉄マサカリを軽々と振り回す!「ARRRRG!ブッダの軍門に下った豚の首を刎ねよ!」

スリケン
:「イヤーッ!」アーマゲドンは鋭利なカマ・スリケンを<攻撃対象>に投擲!

素手カラテ:
:「ブッダの豚よ! ジゴクの炎を見るがいい! イヤーッ!」超自然の蒼い炎を宿した隻腕ガントレットが<攻撃対象>を襲う!

滅多打ち:
:「アアアダブ!」蒼い炎を纏う隻腕ガントレットの切り裂き連撃が<攻撃対象>を襲う!

カトン・ジツ
:「燃え尽きろ! ブッダ眷属!イイイヤアアアーッ!」アーマゲドンがカラテシャウトを発すると、超自然の蒼い炎が巻き起こり、一瞬にして<攻撃対象>を飲み込まんとする!

被弾
:「クアアアアアアーッ!」アーマゲドンの華奢な体に傷が刻まれる!
:「それでいい、懲罰鞭のごとく痛めつけよ。やつに生き地獄を味わわせてやれ。……フォホホホ、それにしても、嗜虐心を煽る白い肌よ……!」そして、通信機からはタダオ大僧正の下卑た声が届く!

ソード・オブ・ブッダ被弾
:「クアアアアアアーッ!」聖別されし重金属弾を撃ち込まれのけぞるアーマゲドン。被弾箇所から蒼い炎が上がる!
:聖別弾の霊験か? 否! 聖別弾を受けたアーマゲドンが自らを反ブッダ存在と信じるために、ジツの炎が彼自身を害しているのだ!

爆発四散
:「クアアアアアアーッ! 最終戦争の狼煙が……! 終わる!俺のカナガワが……!俺の栄光が……!」倒れゆくアーマゲドンの傷口から蒼い炎が止めどなく溢れる。
:「サヨナラ!」インガオホー! アーマゲドンは爆発四散! 

 依頼内容がアーマゲドンとABBM集団の殲滅であり、依頼人のタダオも観戦しているため、PLから格別の頼みがない限り、彼らは基本的に全員殺害するものとして扱う。
 また、アーマゲドンの爆発四散までに配下のABBMらが生存していた場合、そのまま最後まで戦わせてもいいし、PLの様子を見て消化試合は必要ないと状況判断したのなら、PC全員にサツバツ!ダイスを振らせてからRPで始末させたり、全員後追いセプクしたなどとして戦闘終了させてもよい。
 また、PCに爆発四散者が出たりした場合、インパルスやバーグラーなどを適宜増援として派遣してもいいだろう。
 アーマゲドンが爆発四散するとノダチ(描写上はマサカリ)をドロップする。

イロリ僧正

「アイエエエエエエエ!ニンジャ!? 反ブッダ存在!? 反ブッダニンジャ存在ナンデ!?」イロリ僧正は失禁しながら逃走!/「ブッダ……子らを……」イロリ僧正は、隣教区に避難させた孤児らを思いながら息絶える。

◆イロリ僧正 (種別:モータル) 【カルマ:善】
カラテ     1  体力    1
ニューロン   3  精神力   1
ワザマエ    3  脚力    2
ジツ      -  万札    1

攻撃/射撃/機先/電脳  1/3/3/3

◇装備や特記事項
 聖職者用拳銃ソード・オブ・ブッダ:カスタム・チャカガン読み替え、【万札:5】で売却可能

戦闘後

:戦闘は終了し、テンプル内はアビ・インフェルノジゴクめいて死屍累々。
:君たち以外で唯一の生存者、イロリ僧正は倒れたまま動かない。NRSで限界に達した彼のニューロンは、ついに意識を手放すことを選択したのだ。
:そんな折、君たちが着けたブッダシンボル・ピンバッジからザリザリと通信機がノイズ音が響く。
:『フゥー……。フォホホホ、よくやりましたソウカイ・ニンジャたちよ……』タダオからの音声通信だ。
:『仏敵が全滅してブッダも満足されたことだ。私はそろそろ憩うとしよう。ではオタッシャデー』一方的に通信が途絶する。タダオはカメラの前から立ち去ったようだ。

トレジャー獲得
 戦闘終了後の時点ではイロリ僧正は気絶しており、タダオ大僧正の目もないため、PCがトレジャーを拾得しても【DKK】は蓄積しない。

部屋の隅のコモンランダム・トレジャー

◆コモンランダム・トレジャーの決定表◆
出目1−2:良質なマッチャ
出目3−4:【万札】3
出目5:グレートソードやフランベルジュ、あるいは戦闘的ブッダ像が手にしていたカタナブレードツルギ(チェーンソー読み替え)

良質なマッチャ:回復アイテム、【精神力】1回復、使い切り、【万札】2に換金可能

撤収…?

:ザリザリザリ……無事に任務を終えて帰還しようとした君達のIRC端末に、タダオからの通信が入る。
:『ああ、そうそう。大事なことを忘れていました。このテンプルの主、イロリ僧正は殺されてしまっていませんか? フォホホホ……、私はもう、そのことが心配で心配で』言葉とは裏腹に、声音に心配の様子は感じられない。
:「ウーン」というイロリ僧正の呻き声がテンプルの奥から届く。意識を取り戻しつつあるのだ。
:「あなた、達は……?」NRSで朦朧とした意識のまま、生まれたての子鹿めいて無力なボンズが君たちに問いかける。
:『どうですか? イロリ僧正は殺されていますか?』タダオから返信の催促。ひとまず、何かしらの返事をしよう。

生存していると返事した場合

:『生きている、と」
:「フゥーム。近くに行って、もう一度よく『死亡確認』してきなさい』
:『きちんと『死亡確認』できたら報酬も出しますよ。……やってくれるでしょうね?』ナムサン。明言はしていないが、つまりは君たちにイロリ僧正を殺してこいということだ。

殺されていると返事した場合

:『おお、おお、 それはそれはなんたる悲劇!』言葉とは裏腹に喜色満面といった口ぶり。
:『ですが、本当に? 改めて『死亡確認』をお願いできますか?』

 『死亡確認』、つまりイロリ僧正殺害に参加した者は、タダオからの【万札】15と【DKK】6を獲得する(複数人で行った場合は全員がそれぞれ別個に獲得)。参加者にはサツバツダイスを振らせてサツバツボーナスを与えてもよいし、さらに、PLが望むならば任意の数の『◉ニンジャソウルの闇』を習得させてもよい。
 ただし、イロリ僧正殺害は本来の任務であるアーマゲドン・ABBM討伐とは関係ないタダオ大僧正の個人的依頼であり、受諾してもしなくてもソウカイヤからの評価には一切影響しないこと、そして、自由に断っても構わないことをPLにしっかり宣告しておくように。

『死亡確認』を行った場合

:『フォホホホ……! よくやりました、ニンジャ達よ。これは心ばかりですがお礼になります』キャバーン! 邪悪なニンジャにタダオから臨時ボーナスが支給される! おおブッダよ!寝ているのですか!
:『フォホホホ……。あなた達のカルマにブッダの加護があらんことを。では、改めておやすみなさい』

『死亡確認』を断った場合

:『なんと愚かな! ニンジャだからと図に乗りおって、必ずや後悔させてくれるわ!』タダオ大僧正の聖人面はあっさりと剥げ、怒声が君たちに叩きつけられる。
:なに、気にすることはない。当初のミッションはしっかり達成したのだ。ブッダシンボル・ピンバッジからはタダオの罵詈雑言が続いているが、ピンバッジを握りつぶすなり通信機部分を壊すなりしてしまえば、それも聞こえなくなることだろう。
:このテンプルですることはもう残っていない。これ以上の面倒事が起きる前にトコロザワ・ピラーへと帰還しよう。

 なお、『死亡確認』したふりをして実際にイロリ僧正を殺害することなく万札を手にしたいとPLが提案してきた場合、NMはそれを受け入れるべきである。
 ただし、タダオ大僧正に完全に殺したと思わせながら不殺に留めるのは通常のミネウチより困難なので、代表者が近接攻撃・射撃・ジツといった与ダメージ行動を判定難易度+2で成功させなければならない。
 ただし、ジツやスキルの活用などにより死を偽装できるような創意工夫を案出されたなら(例:カナシバリで心停止させたと見せかける、カトンでイロリ僧正の周囲を炎のドームで覆う、ハッキングでタダオが見ているカメラ画像を改竄する)、判定ダイスを増やしたり判定難易度を-1~2してもよい。
 成功した場合、【DKK】の獲得なしに【万札】15を入手できる。
 失敗した場合、殺せなかった(【DKK】も万札も獲得せず)か、あるいは勢い余って殺してしまった(【DKK】も万札も獲得)かは代表者のPLが任意に選択できる。
 単発セッションにおいてはタダオとの交流はこれで終わりだが、キャンペイグン下ならタダオとの関係の緊密化/険悪化を今後のシナリオフックにしてもいいかもしれない。
 また、アーマゲドン戦まででセッション時間が長引いている場合、タダオの追加通信は省略して評価と報酬に移行してもよい。

 タダオとの通信が終了したら、『Wasshoi!判定』を行った後に改めて撤収を行う。イロリ僧正殺害やそれ以前の悪行によって【DKK】を溜め込んでいた場合、低くない確率でニンジャスレイヤーが出現するだろう。

◆ニンジャスレイヤー (種別:ニンジャ)
カラテ    13  体力   13
ニューロン  7  精神力  9
ワザマエ   10  脚力   7/N
ジツ     0  万札   10

攻撃/射撃/機先/電脳  13/10/7/7
回避/精密/側転/発動  14/10/10/-

回避難易度修正: 対近接攻撃(難易度−1/ジュージツ)、対スリケン射撃(難易度−1/見切り)
ダメージ修正: 出目【6】を含んで成功した『近接攻撃』は、『痛打+1』を得る。

◇装備や特記事項
 家族の写真、パーソナルメンポ、伝統的ニンジャ装束、
 『●連続攻撃3』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、
 『◉ランスキック』、『◉◉憎悪:ニンジャソウルの闇』、
 『◉ヘルタツマキ』、『◉ツヨイ・スリケン』、『◉ナラク・ウィズイン』、『◉即死耐性』

描写例

:ギギギと金属のきしむ嫌な音と共にシャッターが閉ざされていく。
:何者かによる制御UNIXへの遠隔ハッキングだろうか。
:すべての窓は閉じ切られて、唯一の出入り口にも分厚いシャッターで閉ざされた。つまり、ここはもはや仏敵を閉じ込めるネズミ袋だ。
:「Wasshoi!」そして、ジゴクから響き渡るようなシャウトと共に、一人のニンジャがテンプルにエントリー!

:「……ドーモ、ニンジャスレイヤーです」赤黒装束のニンジャがアイサツする。
:「なぜ殺した」憤怒の炎を纏ってニンジャスレイヤーは問いかける。
:「……ソウカイヤと仏教界の癒着についてインタビューさせてもらう。そして、その後全員ジゴクに送る。ニンジャ殺すべし!」
カルマの汚れは凄惨なる懲罰によって浄化される。故に、生前のうちに痛めつけられることが贖罪となり、死後のジゴクの苦しみを減ぜられるタダオ大僧正の言葉が思い出されるが、こんなところで死んでなるものか!
:どうにかしてシャッターを突破し、トコロザワ・ピラーへと無事帰還せよ!

スクリーンショット 2021-05-30 164932

 ニンジャスレイヤーが出現した場合、『死亡確認』を行ったPCはイロリ僧正がいたマスの周囲に再配置を行う。
 そして、ニンジャスレイヤー出現と共に、ナンシー・リー(ハッキングダイス19個)が難易度NORMALの『ハッキング判定』を行い、成功した場合、出口のマスにシャッターが出現する。
 シャッターをこじ開けるための手段は基本的に上述の通りだが、制御UNIXハッキングで開く場合、解除条件は『PC側の累積ハッキング判定成功数(難易度HARD)がシャッター出現時のナンシー・リーの成功数を超えること』に変更される。
 ハッキング成功数がナンシー・リーの成功数に届かなかったり、そもそも判定に失敗した時のペナルティは特に存在しない(ニンジャスレイヤーから逃げられないことこそがペナルティなのだ)。フレーバー的には、ナンシーは自身を追って介入してきたダイダロスとの電脳戦に忙しく、PC達のニューロンを焼き切る余裕がないとでもしておくといいだろう。
 また、Wasshoi!判定前に制御UNIXへのハッキングを成功していた場合、その時の成功数を累積ハッキング成功数に加えてもよい。

◆評価と報酬

:◆◆◆◆
:ネオサイタマのネオンの海にそびえ立つトコロザワ・ピラーは、泣く子も黙るソウカイ・シンジケートの本拠地である。
:このフロアはラオモトのヘッドオフィスであり、ところどころに金箔を散らした黒漆塗りの床、中央には30畳ほどの見事な紫色のタタミが敷かれている。
:その上にはラオモト・カンが座し、後ろに控える四人の金髪オイランたちは、君たちに向けて嘲笑するような、あるいは誘惑するような眼差しを投げかける。
:「ムハハハハハハ! 今回のビズはイキのいい連中に任せていたとソニックブーム=サンから聞いているぞ。では、すみやかに今回の首尾を報告せよ。タイムイズマネーだ……」

◆報酬
A:バッサリ・テンプルの戦いでABBM集団を全滅させ、アーマゲドンも爆発四散させた。
:【万札】80を山分け。全員が【名声:ソウカイヤ】+1。カルマロンダリング可能。

B:バッサリ・テンプルの戦いでABBM集団を全滅させたが、アーマゲドンは爆発四散させられなかった。
:【万札】40を山分け。全員が【名声:ソウカイヤ】+0。

C:バッサリ・テンプルの戦いでABBM集団を全滅させられず、ブザマに逃げ出した。
:【万札】0。全員が【名声:ソウカイヤ】+0。

D:アーマゲドンのいるバッサリ・テンプルにたどり着けなかった。
:あまりのブザマさにケジメを強いられ、全員が【名声:ソウカイヤ】-1。

評価に関わらず余暇は4日。

 アーマゲドンがニンジャであったことはソウカイヤにとって想定外なため、爆発四散させた場合は不測の事態にも関わらず任務を全うしたことを、NMはラオモトの口から褒めてあげよう。
 逆にアーマゲドンを爆発四散させられなかったとしても、他のABBMを撃退していれば一応の報酬を与えられる(評価B)。
 この場合、NMはアーマゲドンはより手練のニンジャに討伐されたものとしてもいいし、なおも進軍や逃亡を続けているものとして、PCが雪辱を果たすためのリベンジマッチの機会を別途用意してもいいだろう。

 もし、PCが評価Aかつイロリ僧正を殺害しなかった場合、以下RPを付け加えても良い。

:「なぜ殺さなかった」上機嫌そのものだったラオモトのアトモスフィアが少し変化する。
:「誰を、などとは言わさん。イロリ僧正のことだ」ラオモトの口から出る詰問めいた言葉。しかし、咎めだてするような声音ではない。むしろ、彼はニヤニヤと面白がっているようだ。
:本来の任務は成功しているし、この様子ならば余程ふざけた返答をしない限り、おそらく即座のケジメはあるまい。
:ラオモトの気分が変わる前に、殺さなかった理由を説明しておくべきだろう。

 イロリ僧正を殺さなかった理由をラオモトに釈明し、代表者は難易度ULTRA-HARDの『交渉判定』を行う。
 もし、交渉RPがソウカイ・ニンジャとして筋道が通っているものだったとNMが感じた場合、判定難易度を-2したり、あるいは判定なしで成功にしてもよい。
 また、この判定はボーナス的なものであり、失敗したからといって基本的にペナルティはないことをPLに告げてもよい。

◆イロリ僧正を殺さなかった理由をラオモトに釈明するための交渉:

最も適した交渉スキル(+2)
:理路整然、駆け引き
次に適した交渉スキル(+1):欺き、誘惑など
最も適した知識スキル(+2):ソウカイヤ、犯罪
次に適した知識スキル(+1〜2):ヤクザの流儀、宗教など

◆判定失敗時のペナルティ:
特になし。
タダオからラオモトを通してソウカイヤに依頼されたのは「アーマゲドンの抹殺」であり、「イロリ僧正暗殺」はその範疇外である。
上からの指示もないままタダオの言いなりに殺さなかったことは、ソウカイ・ニンジャとしてはむしろ正解なのだ(別個の依頼で請け負った方が、ラオモトの利益も大きくなる)。
ただし、もしPCがイロリ僧正を殺していた場合も特にペナルティを与える必要はない。

◆判定成功時に与えられる報酬:
全員に【名声:ソウカイヤ】+1。
さらに、このシナリオ終了時に限り、カルマロンダリングの出目を+2する。

オプション可能性

 セッション時間を短縮させたい場合、シゲルチ・テンプルを省略して、ブリーフィング後直ちにバッサリ・テンプルにPCを移動させたり、あるいは、戦闘のすべてをグリッドマップを使用しないものにしてもいいだろう。
 PCの戦力が低めな場合、スモトリ・ブラックメタリストをブラックメタリストに置換する、ブラックメタリストの人数を減らす、アーマゲドンのステータスを低くするなどの調整を行うように。
 また、このシナリオは原作通りにソウカイヤ所属でのプレイを想定しているが、ザイバツであれば儀式場となるテンプル確保のために、アマクダリであれば「12人」への誘引のためにタダオと接近したかったなどと、PCの所属組織に合わせて適宜調整を行うことも容易だろう。

セッション用スプレッドシート

利用規約

 NMはこの記事に含まれるデータを、セッション中に利用したり、自作のシナリオへ流用することができる。ただし当シナリオのデータを流用して作成したものを公開する場合、この記事を引用元として明記すること。

 

参考資料:「ニンジャスレイヤープラス」ダイハードテイルズ
                     ニンジャスレイヤー第1部第4巻『ネオサイタマ炎上4』

スペシャルサンクス

 本データ作成に際して、テストプレイにご協力いただいたねこぞう=サン、ハトぽっぽ=サン、よっし=サン、Lazward=サン(五十音順)にこの場を借りて深く御礼申し上げます。

更新履歴

210502:記事公開
211128:『◉儀式的自傷』を手番開始フェイズ瞬時行動に変更、NPCステータス表記や一部地の文改修
231108:アーマゲドンのステータス調整、報酬調整

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