『十三機兵防衛圏』~クリアまでのプレイレポート
こんばんは。
本日は、『十三機兵防衛圏』本編をクリアした感想を書き残したいと思います。
ヴァニラウェア×ATLUSによるこの作品は、2つの側面をもった3つの要素で成り立っています。記憶を消してやりたい物語という評判を聞き及んでいたので興味は持っておりました。
すると、9月にセールをしている情報を把握、やろうぜやろうぜとあらかじめ購入していたのです。
ちょっと別ゲーが挟まってしまったのでプレイ開始は遅れましたが、無事にクリアしましたので本記事と相成りました。
序盤以外はネタバレ全開でさっくり記事を書くので、よろしくお願いいたします。
作品簡単説明
冒頭で触れたとおり、作品ジャンルとしては複数を内包しており、3つのモードが存在します。
機兵に乗る少年少女13人を攻撃隊、守備隊に振り分け攻撃隊を操作し、「D」と呼ばれる怪獣を倒していく崩壊編。
リアルストラテジーパートであり、数で攻めてくる怪獣群を機兵でなぎ倒しながらターミナルという構造物を守り抜きます。
そんなDとの戦いがなぜ起こっているのか、13人それぞれが織りなす壮大な物語を紐解く追憶編。
こちらはアドベンチャーパートであり、キーワードを収集、利用するクラウドシンクと呼ばれるシステムを活用し、登場人物さながらに考えを整理しながらそれぞれの物語を渡り歩きます。
そして最後に、上記2編で明らかになった出来事やキーワードを読み解く究明編。
追憶編で得られたキーワードが図録となった「ミステリーファイル」のアンロックを崩壊編で手に入ったミステリーポイントを使用して行い、イベントアーカイブにて作中起こった出来事を時系列を見返すことができます。
これら3編を渡り歩きながら、この世界の物語を見届けていく、そんなゲームです。
作品深掘り
追憶編:時系列を紐解く楽しみ
やはりカギは追憶編。どのキャラクターの物語も異なるテイストで描かれているので、飽きることなく読み進められました。
各キャラ、最初は様々な時代にいるので、「タイムトラベルものか?」と思わせるところから始まります。
しかし、真実に迫っていくことでどんどんと疑問と伏線が現れていき、幾度も認識を改めることになっていきます。
主人公ごとに描かれている時系列が異なっていたり、回想もよく発生したりと、ミスリードも意図的に起こりやすいよう作られているため、簡単には先の展開を読ませてきません。もちろんそこがいいのですが。
そしてデカい疑問が現れたところでロックされて他を進める必要が出てくる…なんてことはよくありました。
クラウドシンクは本当に面白い。シナリオによって活用され方は様々ですが、テキスト主体のアドベンチャーに能動性が付加されていて手が止まることがないのが良いです。
受け身になりがちなジャンルで能動的に操作していく場面が多く、飽きを与えない作りなのはナイスでした。
13人の物語は本当に多様で、シリアスかと思えばコメディに全振り?なものまで多彩。
ETみたいな異星人とのステキな出会い、真相に迫る推理パート、ひたすらに妹を追い求め…と十人十色とはこのことかと思うなどします。
複数の物語が絡みだしていくと、「セクター」という用語が現れ、2188年というはるか先の時代の記録が見つかって…と謎はどんどん膨らんでいく。
バラバラだったピースが少しずつ埋まっていって、最後には一つの壮大な目的が姿を見せる。始めた当初の単なるロボットVS怪獣という構図は、何度もひっくり返されることとなりました。
崩壊編:1対多数の厳しい戦
そんな追憶編から連なる崩壊編の戦闘は、敵の「数」が明快に示されるのが印象的。ターミナルめがけて襲い来る100単位の軍勢はシンプルに恐怖。
多彩な武装を駆使すればジャンジャン吹っ飛ばせるけれどもそうは問屋が降ろさないと言わんばかりの手応えでした。
各ステージにはミッションもあります。ランクSとミッションはそれぞれ報酬としてミステリーファイルを獲得できることもあって見逃せない。
ミッション挑戦時は火力か対応力が必然的に落ち、初見NORMALでも敵の行動を知らない場合は普通にランクSを取り漏らす程度ではありました。
私はストーリーに重きを置いていたのでNORMALでやっていましたが、公式推奨のSTRONGだとどれだけ苦戦しただろう…
ちなみに好んで運用したのは第一世代、第三世代。
長距離から出鼻をくじき、やっかいな高火力をインファイトで打ち倒すスタイルが好みでした。
ターン制のストラテジー物はそこそこ遊んだ経験があるだけでしたが、すぐに戦い方は馴染んでいったので楽しめました。
惜しむらくは、強化装備を手に入れるための条件を終盤まで把握していなかったことでしょうか。
特定武装の上にある謎のバーの意味を理解できていなかった…
崩壊編にも物語を読み解くヒントみたいなものがある点が見逃せない。
シナリオの他に、中破した際も会話デモが挿入されるのですが、そこで違和感を見つけられるものもあるのです。全部は見れてないけど、見逃しがちなので台詞回収勢は必見。
究明編:考えの答え合わせ
この究明編も時間を溶かしてくるエッセンスです。大百科の類を見るのが結構好きなので、ミステリーファイルが非常に楽しい。
エンディングまで到達したら伏せられていた情報も一気に解除されるため、想像通りの時系列になっていたか、見直すという楽しみ方が出来ました。
noteを書き始めるきっかけの作品でもそうだったように、私は時系列を読み解くタイプの作品が大好きなので、クリア後はひたすらストーリーの整合性とか疑問の解消とかをじっくりやっておりました。
ではここから先は本格的にストーリーのネタバレ全開ゾーンです。お気をつけて。
本当に緻密な物語
エンディングまで見届けるまでに、ばら撒かれた伏線や疑問のピースが気持ちよくハマっていったのは見事でした。
やはり426こと2周前の和泉十郎まわりは見る視点が変わる度に敵か味方かはっきりせず、幾度もミスリードさせられる羽目になりました。やることは終始一貫してるんですけどね。
1周前の如月を愛し続けたばかりに軽い気持ちで再ループを敢行しようと策謀した井田、その井田の誇張によって和泉を討ち、しかしもうループできない事実に絶望し崩壊した世界で生きようとした森村、そしてその思惑を超え、ただひたすらに本来の計画達成のため文字通り無理ゲーを書き換えようと奔走した和泉。
3人のエゴに15人は振り回されながら、それでも真実に辿り着き仕組まれた負け戦を乗り越えていく様にいいカタルシスがありました。
あとはキャストの兼ね役でありながらその声色の幅ですぐに同一人物(人格)と気づきにくかったのもよかった。
因幡深雪の正体は演じ分けを別作品で存じてたので声色一発だったりしたんですが、柴久太の正体はなかなかぞわっとしました。
主観視点以外では認識されていない、という点をストーリー中で示されるよりだいぶ早く気付いたのですが、十郎に指摘された柴の声色がぐっとしっぽに近づいていく流れは鳥肌がたちましたね。
崩壊編がなぜリッチな近未来的UIなのか、なぜ80年代のロボットアニメ的構図なのに妙にシステマチックかつ作中人物がそれを理解しているのか、という点も、きっちり物語の中に組み込まれている点も見事。
時系列や作中の行動などはほぼほぼ整合性も取れており、突飛に感じた事象もありませんでした。これも本当に見事です。本編進行時は各キャラのそれを見る順番は入り混じりますが、実際は冬坂シナリオの後の物語が関ヶ原シナリオの話だったりと、時系列に相当な幅があったのも種明かしでは驚かされました。
強いてあげるとしたら、その周で機兵完成させるわ引き継いだ記憶ないのに世界の真相にほぼほぼ辿り着いたわな沖野が一番ヤバい人だった。オリジナルは悪い意味でヤバい人だったけど…
そうしてすべてが分かった上で臨んだ崩壊編最終ステージも凄まじかった。
NORMALとはいえ、本当に絶望を叩きつけるような軍勢に迫られる。
時間制限もなく、演出としても本当にアツく厳しいものがあったです。
だからこそ、抜けた先の達成感もかなりのものでした。
記憶を消して遊びたくなる、というのも納得の達成感とプレイ時間でした。
クリアまでに要したのは40時間。なかなかのボリュームでございました。
クリアした後も遊べる要素はありますし、細かなイベントをもう一度観れるよう追憶編はリスタートでき崩壊編も追加のステージを遊び倒せる様子。
前述のとおり使いこなせなかったキャラや兵器もありますから、また出来たらいいなぁ。
少し時間が空いてしまいましたが、そんな感じでこの作品もどっぷり楽しむことができました。
真相はここには明記しませんでしたが本当に壮大で呆気にとられたなぁ…
そして、思った以上に恋愛の成分も強かったとここに記しておきます。パッケージがある意味詐欺である意味正義というのもなかなかないですよね。
といったところで今回はさっくりとここまでにしたいと思います。
なんとか?毎月1記事は書けていますがそろそろ遊ぶ作品のネタは尽きてきていますね…。
今度は何をいたしましょう。ではでは。
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