『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』クリアレポート~キズナを丁寧に描いた物語~
こんばんは。フォルトです。
今回は『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』のクリア後感想となります。
ペパマリMIXとリメイクをなんとなくスルーしてたらいつの間にか開発元が倒産。もうないものと思ってたらまさかのシリーズ復活…そりゃ喜び勇んで買いますとも。
ということで個人的には久しぶりのアクションRPG。
ざっくり感想を述べますと、これまでのシリーズの空気はちゃんと残しつつ、3D化された新しいマリルイがそこにありました。
お約束の固有パラメータHIGE。ステータスアップはもちろんマメ。
やっぱり安直なネーミング、どこかシュールなギャグ…
そして何より、きっちりマリオとルイージ二人で活躍する物語。
ちなみに、過去4作がなかったことにはなっていませんが、『3』で初登場したイエロースターが登場することを除いて本編に関する過去作要素はありません。ストーリーの知識は不要ですし忘れていても大丈夫。
こういったおなじみの要素は残しつつ、マリオとルイージで戦うアクションバトルもこれまでを踏襲したやりごたえのあるものです。
巨大化のような特殊な戦闘が導入されなかったこと、心機一転で始まったことも相まって原点に立ち返った今作。
ここからまた新たに『マリオ&ルイージRPG』が広がっていくとよいなぁ、と思える作品でした。
ちなみに記事サムネイルのタイトル画面、オートセーブの進行状況に応じて変化します。こういう芸コマもたくさんあります。
プレイ期間:11/7~12/5
プレイ時間:45h
ここからは前半は核心についてのネタバレなし、後半はネタバレアリのいつものスタイルで行きたいと思います。
作品サックリ紹介
コネクタルランドの再生が主目的
ゲームを起動して早速、プロローグムービーが流れます。
そしていきなりの異世界へ。
「はじめから」を選ぶと即マリオ一人で行動開始。ルイージを探しながら超基本のアクションを学んだところで巨大な船…船島にルイージの姿を見つけて合流。兄弟で行動できるように。
舞台は「コネクタルランド」。元々一つの大地だったのだが根幹たるコネクタルツリーを破壊されたことで島となってバラバラになってしまっている。
新たなコネクタルツリーをこの船島で育てているソダテナー・コネッタの願いに兄弟は答え、案内役を買って出たタップ―とともに冒険を始めます。
冒険の目的は、バラバラになっている漂流島を船島に繋いでいき、一つの大地へと戻すこと。備え付けられた大砲で島々に飛び、島繋ぎをしていくのがマリオたちの役割となるわけです。
テーマはキズナ、そして繋がり
サブタイトルが示すとおり、本作は兄弟のキズナ、人々のキズナと繋がりが物語の大きなテーマとなっています。
コネクタルランド住民のキャラデザ、島繋ぎという目的…そして暗躍するゾケットたちの行動原理「孤独」。このテーマは最後まで徹底して描かれたストーリーは個人的にはなかなか良いものとなっていました。
特に、あの流行り病で色々と当たり前の繋がりが一度断ち切られてしまった現代だからこそより考えさせられる普遍的なテーマとなっているかも。
オリキャラもマリオキャラも
メインストーリーは基本新キャラたちが話を盛り上げてくれます。
印象深いキャラもいっぱい登場して、物語を楽しませてくれるでしょう。
おなじみのマリオキャラもちゃんと(?)この世界に飛ばされてきています。
ピーチも健在だし、クッパは相変わらずあっちこっち喧嘩吹っ掛けてます。
意外なキャラもこちらに来ていてコミカルに楽しませてくれます。
多彩な寄り道も用意
メインもしっかり骨太ですが、近年の任天堂作品と同じくサブエピソードもしっかり用意。
内容はお悩み相談からチャレンジバトル、アイテム追加イベント、はたまた重要なサイドストーリーまで色とりどり。
すべてをやる必要はないですし、バトルが主体のものはそれ相応に高難易度で、すぐに挑むとゲームオーバー必至です。
なお、最初に書いたプレイ時間はサブエピソード全制覇も込みです。
他にはカケラ島という寄り道要素も中盤から登場します。
本筋に関わる島もいくつかありますが、ミニゲームがあるだけの島や変わった敵と戦うことで良き実入りを得られる島も。
ちなみに、メインストーリーもいくつか分岐が存在しています。
どれを選んでも一本道に戻ってきますが、合流までの展開が変わったり選択の影響が終盤まで響くものもあったりと決して無味なものではありません。
5つあるセーブスロットを活用して楽しみましょう。
マリルイらしい変わらぬアクションバトル
バトル面については従来作と変わらず、攻撃して華麗に避けて戦うスタンスです。ジャンプとハンマー、そしてブラザーアタックを駆使してじゃんじゃん戦いましょう。
ブラザーアタックは懐かしのものから新顔まで色とりどり。
後に手に入るものほど高威力ですが特色も様々なので結構使い分けは重要ですね。同じブラザーアタックが通用しないボスも一部おりますので一芸特化ダメゼッタイ。
ちなみに、最も重用したブラザーアタックは、マリオが「スピードボム」、ルイージが「サンダーダイナモ」でした。
前者はダメージがばらけやすく無駄ダメージも少なくい点が魅力。ずらしの癖さえつかめばコマンドミスも起きづらい。
後者は全員に均等に、確実に3hitするところが特に偉いです。
終盤バリアを張ってくる敵も2hit時点でまず剝がせ、無限増援系の敵も均等にダメージを与えられるのがとにかくありがたかったです。
そして、バッジに代わりバトルプラグという要素が登場。
各プラグは使用回数あり使い切りチャージ(クールタウンあり)となっていますが、いずれも様々な恩恵がある上に自ターンなら付け替え自由という特性があり、組み合わせによっては多大なシナジーを発揮します。
前述したサブエピソードの高難易度バトルはこのバトルプラグを活用することが前提にあるものも一部あります。格上相手でも戦える要素でもあるのでシナジーを知ってスタイリッシュに戦いましょう。
…なお、バトル難易度は新生してもあんまり変わらず、そこそこ難しめ。回避失敗時のダメージは結構なもので状態異常も結構食らいます。
特に、相手レベルよりこちらが低い場合はその分被ダメがかなり上昇。心して挑みましょう。
ちなみにランクアップボーナスは続投。マメと合わせてお好みの方向性に育成するのもこのシリーズの醍醐味だったので嬉しいですね。ランダムステータスアップは今作もナシなのが少し寂しい。
今作のルイージプッシュは「ルイージセンス」
マリオ&ルイージRPGといえば、ルイージが良くも悪くも目立つところも特徴です。今作は「4」以降ですからきっちり優遇されてます。
それが、ルイージセンスとよばれるシステム。
そこまで使ったアクションで乗り越えられない場合、彼がなにかしら閃いて状況を打破するのです。
毎作おなじみブラザーアクションも大半はこのひらめきで解禁されて行きます。そしてそのひらめきはボス戦でもいかんなく発揮されるのです。
個人的によかったのは、このシステムがちゃんとストーリー上でも意味付けされるところ。エスパーじみてないのがポイント高かった。
音楽も新生、けれどらしさは息づいている
開発元は変わり、さて音楽は…?となり、やはりテイストは変わっているなと思いました。
それでも、幾度も聴くたびに馴染み、軽快に楽しめてくるのは正しくマリルイサウンドだなと思いました。ジングルひとつとっても納得感あります。船島で聞こえるアコーディオンとかはらしさの代表例。
特に、島繋ぎと大灯台解放の音楽はとても好みです。
スタッフクレジットで知ったのですが、今作の音楽は下村陽子さんではなく、ノイジークロークの坂本英城さんが担当されていたとのこと。のちの開発者インタビューによると新生に合わせて敢えて変えたんだとか。
考えてみるとアクワイアといえば『勇者のくせになまいきだ。』シリーズがあり、その音楽は同氏が手掛けていたことを思いだして納得。
また、氏の楽曲のオーケストレーションがとても好みだったのでそりゃ心に馴染むなと思ったのでした。
ではここからはストーリーの核心込みで感想を語って行ければと。
最終盤の展開は肝心なところはぼかしているので見ても大丈夫…かな…?
ネタバレアリ感想編
「縁」を絶妙に織り込んだ見事な構成
まずはこれに尽きますね。
繋がりがテーマの作品において「孤独」を表現する方法としてゼツエンタイ=絶縁体と掛け合わせたところは非常にうまいです。
コンセントなど電力由来の要素でキャラクターをデザインして、そのつながりを絶縁という形で断つ。要素のデザインとしてこれほど噛み合うものもないでしょう。
このゼツエン状態はバトル中限定ですがマリオたちもなり得る上に、こうなるとブラザーアタック不可、通常攻撃もコンビネーション不可、当然ルイージセンスも出来ないと圧倒的不利になってバトル的にも痛手になるとシステムともきっちり影響を及ぼすのだから恐ろしい。
デザインとバトルシステム、ストーリーおよびテーマにバッチリ絡み合う見事な設定でした。
制約あるフィールド、その再利用
今作は船島を拠点に、島を繋げて進んだわけですが、その島自体は箱庭空間でそこまで広くもなく、シームレスに広大なフィールドを歩くタイプではありません。
しかし一度繋げてハイ終わり、ではなくちゃんとストーリー上で何度も再訪するようできていて狭い感じはあまり感じさせません。
特にうまいなぁと思ったのが、最初の島の再利用。
とあるタイミングで期せずして再訪することになるのですが、1度目は灯台から島繋ぎしてなかったのですよね。船島に直接飛び乗っているのです。
その島の存在するところ、最初に船島が漂流していたエリアとの位置関係も合わせ、ちゃんと考えられてるなぁと感心しました。
バトルの思い出アレコレ
バトルプラグは非常に戦略を高めてくれるもので楽しかったです。後半の戦闘はしっかりと使いこなせるかどうかがカギでした。
「モンスターマニア」系のサブエピソードはその辺特に顕著。
防御が高すぎる相手には「ついでにテッキュウ」×2+「どっかんアタック」+「ふえるアタック」による防御を参照しないダメージ、尋常なHP相手には「ほのおアタック」などでの火傷割合ダメージなど。
追込みには「れんぞくコマンド」+「かいすうサービス」…なんですが、ついつい「ブラザー○○」と組み合わせて回数サービスの無駄遣いをしてしまって残念になったことが多かったです。
サクサクレベルアップで推奨レベル以上にしやすかったこともあり、一番苦戦した敵はと聞かれると、ゼツエンデロンゲルでしょうね。
ゾケット要塞攻略開始前で適正レベル以下、「かってにハンドータイ」の使用回数が減りすぎていたのもあり、ちょっとダメージ嵩んだりゼツエン状態になったりで即壊滅ということもあり、なんどかリセットプレイする羽目に。あとボムへいLv100も避けるの凄く苦手でかなりやり直した
総じてやりごたえのある難易度で、のんびりノベルゲーも多かったことを考えると歯ごたえあるゲームプレイになりました。
終盤のストーリーについて
今作ちょっと残念だったのは、最終盤がずっとシリアスムードだったこと。
これまで世界の危機まで至る状況はラスボス戦前後だけ、というケースが多かった中、今作はラスボス登場時点であっという間にそんな状況になったのが大きな理由でしょう。
とはいえプレイ時間にして5時間以上そんな感じで気が滅入りました。
ネームドは無事…なんてこともなく、今作のオリキャラもしっかりとこの被害を受けること、なによりマリオたちも一度はその毒牙にかかることもあってラスボスの手抜き感もあまりありません。過干渉して瓦解させるあたりただの自慢しいな気も…
「悪夢」をマリオたちが受ける展開は本当に衝撃でした。意表を突かれて大変面白かった。
キズナを丁寧に扱いきった作品
今作は改めて、徹底的に絆を取り上げた作品でした。
マリオ兄弟は不変の絆を持っていますが、作中のキャラたちもストーリー中で揺らいでいた絆を修復し、深める場面が丁寧に描かれています。
大きなものとして、やっぱりシバレルとアッチーノの結婚式がいの一番に出てきます。絆が深まったことを示すこれ以上ない一例ですよね。
最終盤のキズナ集めではそれら育まれたものを再確認することになります。マリルイ恒例世界巡りパートともいう夫婦愛にはじまり家族愛、師弟愛、敵味方を越えた友情に組織としての団結、くされ縁…そして兄弟のゆるぎなき絆。多岐にわたるキズナの形をしっかりと表現しておりました。
その一方で、対する「孤独」についても敵として描かれます。
全人類甘い夢見させて緩やかな退廃を…という滅びの形は多くの創作でも見かけますが、無理くり他者との関係をシャットアウトして実現するのは大義も何もあったもんじゃないですもんね。コネッタの放った言葉に尽きる。
なによりも「キズナ」というテーマは、マリオ&ルイージRPG最大の特徴かつ魅力である、「兄弟のコンビネーション」を最大限フィーチャーし、活かす題材としてこれ以上ないものでした。
装いを新たにするシリーズの一歩目としてはピッタリな題材であり、それを見事に調理していたと思います。
まとめ
シリーズ復活の嬉しさ半分、開発元変更の不安半分ではじめた今作ですが、ふたを開けてみればアクションの手ごわさと楽しさ、シュールさをはらんだ空気感はそのままに、3Dされた新たなマリルイを楽しむことができました。
終盤のシリアスムードがちょっと長かったこと、クリア後サウンドテストがなかったことは惜しいかなと思いましたが、大きなバグに出会うこともなく、シリーズ正統続編としてバッチリな出来になっていたことがなにより嬉しかったです。
ここで終わるのではなく、この先もシリーズが続いていってほしいなぁ、と願うばかりです。そう思えるくらい良い作品です。
今回はそんなところでクリアレポートを終えたいと思います。
それではこの辺で。さよならー。
余談。
こういうRPG系の感想を書こうとするとき、ついつい戦闘シーンのスクショを撮りそびれて苦戦するのをやめたいですね。
性質上撮り直しが効かないのに操作の忙しさでついつい忘れてしまうの、困ったものです。