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自称メンタル不調な友人との付き合い方

私には10代の頃からの友人がいる。

いやむしろ、10代の頃からの友人しかいないと言った方がいいだろうか。

結婚して今の県に引っ越して来てすでに人生の半分以上が過ぎているのだがこの地には未だ一人も友人が出来ていないのだ。

その時々で仲のいい同僚やママ友はいたのだが、その場を離れてしまうと付き合いも終わってしまう。

そう、私は友達付き合いが面倒なタイプ。

そんな私が未だ付き合っている10代の頃からの友人たち。

その中の1人が中本君(仮名)だ。

始まりは元彼の友人だった。

元彼がカッコいいバンドがあるといって連れて行ってくれたLIVEに中本君はベーシストとして在籍していた。

元彼のバンドと中本君のバンドが共演したりお互いのLIVEを見に行ったり、彼女だった私もそのグループで仲良くしていた。

中本君の彼女とバンドを組んでいたこともある。

好きなジャンルが微妙に違ったのでそのバンドは長続きはしなかったのだが。

その後私は元彼と別れ、元彼のバンドメンバーだった夫と結婚した。

それから今の県に移り住み彼らとの付き合いもしばらくはなかったのだが、あれは確かインターネットが普及してSNSが流行り出した頃だろうか。

それまでもmixiやTwitterなど匿名でのSNSはしていたのだが、私はFBを実名で始めた。

そういえば当時FBで復活した友人関係って結構あったな。

皆それぞれどこで何をしているのか知らなかったのが、FBで「友達かも?」と芋づる式に発見されて交友が復活するパターン。

中本君もFBで私を見付けてくれて復活した友人だった。

それからはまた昔のように、もちろん10代の頃より格段に頻度は落ちたが、誘われて遊びに行ったり飲みに行ったり、たまには中本君のバンドのLIVEを付き合いで見に行ったり仲良くしていた。

夫は元から中本君のことがそれほど好きではなかったので、何度も誘ったのだが面倒くさいと言って一緒に来ることはなかった。

そのうち中本君から夜中に電話がかかってきたりするようになった。

LIVE終了後乗った電車で乗り過ごしそのままずーっとずーっと行くと私の県に自動的に辿りつくのだ。

「今駅なので迎えに来てほしい」

えっと、時刻は深夜2時前。平日ど真ん中。もちろん私翌日仕事。もちろんガッツリ夢の中。

最初の頃は起きて夫に相談したりしていたが、夫はめちゃくちゃ嫌がった。

なんで泊めたらなアカンねん。

えぇ、ごもっとも。その通り。

しかも中本君がいる駅は我が家から片道車で20分ほど。

小一時間かけて駅まで行って拾って帰って来て、翌日仕事に間に合うようにまた駅まで送って。。。はい、無理。私も無理。

結局泊めたことも迎えに行ったことも一度もないのだがそれからも中本君からは定期的に乗り過ごしたので迎えに来いコールが来ていた。

まぁ、そんな感じの中本君だが長い付き合いだし私は特に嫌いでもなかったので誘われて暇なら応じる程度に付き合いは続いていた。

ここまで書くと男女の友情は成立するのか?と不思議に思われる方もいらっしゃるだろうが、私の場合は成立する。

むしろ、私には男友達しかいない。

なんか楽なのだ。気を使わなくてもいいし、思ってもいないことを言わなくてもいい。加えて昔からの友人なので私の性格もよく知ってくれている。

ハッキリ言って中本君は手の早いタイプで女には見境のない人だ。

私も何度も言い寄られたことはあるが、残念ながら私は友情を男女の仲に差し替える気はさらさらないため、毎度「そういうことを望むならもう遊ばない」と冷たく言い放ってあしらっていた。

中本君も多分私のことが好きなわけでもなんでもなく、たまたま隣に女がいたから程度の気持ちなのだと思う。

夫のこともよく知っているのにそういうところは昔から変わらない。

まぁ、それはそれでいいとして。

一昨年、私は10代の頃大好きだったバンドのLIVE参戦を解禁した。

そのバンドのギタリストは別のバンドもやっていて、それも見に行ってみたいと思ったのだがあいにく一緒に行ってくれそうな友人が思い当たらない。

大好きだったバンド自体は一緒に行ってくれる友人がいるのだが、先に彼女に声をかけたところ、その日は用事があるしライブハウスが遠いからと断られてしまったのだ。

しょうがない、中本君でも誘ってみるか。

残念ながら彼はそのライブハウスで何か過去にしでかしたらしく出入り禁止になっているという。

じゃ、しょうがないのでLIVE自体は私1人で行ってその後合流して飲みに行こうということになった。

ちょうど中本君も私もいるバンド仲間のライングループの1人もその日空いているということでLIVE後3人で飲み会が決定。

前日何気なしにFBをチェックしているとどうやら中本君が入院している模様。しかし、私は何も聞いていないので過去の話を書いているのだろうと結論付けた。

我が家からライブハウスに行く場合、普段は駅までマイカーで行くのだが飲んで帰るとなるとマイカーが使えない。

行きは夫に駅まで送ってもらい、帰りはしょうがないのでタクシーで帰宅することにした。ちなみにタクシー代は4000円以上する。LIVE代以外に飲み代もかかるのでハッキリ言ってかなりの散財をすることになるが、まぁ年に数回のことだしたまにはいいだろうとその日は飲みに行くことにしたのだ。

LIVE本編終了後のアンコール待ちの間に電話をする。

中本君は店の段取りとかやるタイプではないのでこの3人の面子だと間違いなく店の段取りはもう一人の友人がやっているだろう。

「もうすぐLIVE終わる。店どこ?」

「あー、中本今日アカンねんて。また日ぃ改めよ」

は?やっぱ、入院してたんか。って、先に言えー。

つまり、中本君に無断のドタキャンをされてしまった。

かなりキレたがしょうがないので私は駅から使う必要のなかったタクシーを使い4000円以上無駄に出費して帰宅した。

それからはコロナでLIVEというLIVEが全て中止になってしまい、中本君の自宅付近は繁華街なのでちょっと行く気も起こらず、ずっと中本君とは会っていなかった。

途中何度かLIVEに誘われたが、コロナ渦に繁華街の狭いライヴハウスに出入り出来る度胸はなかったので全て断った。

今年1月、久々に好きなバンドがそこそこ近く(とは言っても電車で1時間以上かかる)まで来ることになった。

確か最後に行ったのが昨年の1月、同じツアーなので1年ぶりだ。

いつも一緒に行っている友人とも連絡が取れ二人でワクワクしながら待っていた頃、中本君から連絡があった。

「LIVE行くん?」

「行くよ」

「中止なるで」

「ならんやろう」

結局また流行り出したコロナでLIVEは中止になった。

中本君は更に言う。

「慰めたるし飲み行こうや」

「行くのめんどくさいからやめとく」

「じゃ、俺がそっち行こうか?」

「それならええよ」

珍しいこともあるものだ。というか初めて。

中本君が私の住んでいるところまで飲みに来ると言う。

「いつがええん?

「来週の金か土」

「金は仕事やし遅なるから土にしよっか。泊まって帰るやろ?」

「ホテル泊まるわ」

「いや、この辺ホテルとかないしっ(笑)」

「○○くん(ダンナ、中本君より1歳年上)おるやん」

「そらおるわっ!」

「やめとくわー」

「どうするんか知らんけど朝までは付き合わんで。ええん?」

「ええよー、適当するわー」

「駅まで送れんで。タク前もって呼んどかな帰れんで」

「適当するわー」

「ほんま、ええんやな?私飲み終わったら帰るで。ホンマ知らんで?」

「大丈夫やろー」

あぁ、なんかめっちゃ嫌な予感がする。

その後日が近づくも中本君からは音沙汰なし。

私は自宅付近に友達もいないので行かないから知らなかったのだが、時々飲みに行っている夫に聞くとうちの近くの居酒屋は前もって予約しておかないと満席になる場合もあるらしい。

仕方ないのでこっちから連絡する。

「店予約要るんやて。何時頃来るん?」

私としては18時か19時かどっちがいいかなくらいの気持ちだった。

「あー、仕事終わってからやし22時~23時頃かな」

は?そんな時間まで来るの飲まずに待てと?

「遅くない?ホンマに来るん?」

「行くでー」

ちょっとマジで嫌な予感する。これ絶対流れるパターン。

前日更に念押し。

「ホンマに来るんやな?店予約するで」

「遅なるしやめといたほうがええんちゃう?」

お前が来るゆうたんやろがぃっ!

この件で私は本当にブチギレた。

何度も夫に「中本ホンマに来るんけ?」と言われ、その都度「来るゆうてるで」「絶対ドタキャンしよるわ、あいつ」という会話を繰り返してきた我が家。

うん。夫の言う通り。夫にしてみればこれだけいい加減な中本君と未だ付き合っている私が信じられないそうな。

もう何年も前から夫は中本君のことをあまり好きではないからめっちゃ嫌いに変わっていたが、私はやっぱり数少ない友人だしという気持ちで心から嫌いにはなりきれなかったのだ。

「ふーん、分かった。もう二度と連絡して来んなっ!!」

その後中本君から何度も謝りのLINEが来たが全て既読無視し続けた。

最後のLINEにはこう書いてあった。

「俺、実はうつ病で発達障害やねん。汲み取って欲しいです」

知るかっ!都合いい時だけ病気ヅラするなっ!

と、言ってやりたかったが面倒だったのでそれも既読無視した。

やっとLINEも落ち着いた先日。

グループLINEのメンバーが新たにタトゥを入れるらしい。

そのメンバーの中に彫師の友人も入っているのでそこでいつ入れるとか打合せがてら飲むとか延々LINEの着信音が鳴っていた。

私はと言えば見える範囲で外から見るだけにして全て未読のまま放置した。

中本君の発言もちょいちょいあるようだったので絶対に見てやるもんか。

しばらくすると個人的にまたLINEが来た。

外から見える範囲では「まだ怒ってるん?ホンマにごめんなさい」だったかな。

えぇえぇ、まだまだ怒りMAXですよ。ホンマどないしたろか。

今私は80件近くなってしまったLINEの未読を前に途方に暮れている。




私の経験や考え方が少しでもお役に立てたなら嬉しいです(◍•ᴗ•◍)