日本一のトップマネージャーに弟子入りしたら人生変わってた話

「なんか面白いことねーかなー」

大学3年生の覇気のない男がつぶやく。

「なら、お前、営業でもやってみるか?人、紹介するよ」



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どこにでもいたダメ大学生が
偶然の出会いから
日本一のトップマネージャーに弟子入りしたら
なんか人生、変わっていた

そんな、お話。
ノンフィクションかもしれないしフィクションかもしれない。


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適当に単位をとって
適当にアルバイトして
適当にサークル活動して
適当にコンビニで弁当を買って
適当な時間に家に帰って
先ほど買った弁当を食べて
寝る。

そんな自堕落な生活を送っていた大学3年生がいた。

大学生活ってこう
華やかで
打ち込むことがあって
もっと、なんていうか、こう、
とにかく充実してるってイメージがあった。

サークル活動が楽しくて、彼女ができて、アルバイトも楽しくて・・・
そんな漠然としたイメージが大学生活にはあった。


でも現実は無性につまらなくて
心のどこかで常にこんなんじゃないって思っていた。

何かを変えなくちゃいけないことは頭ではわかっていたけど

たまに自己啓発本を読んで
感銘を受けて
やる気になってみるものの
寝たらいつもの日常に元通り。

「自己啓発本ってやっぱりクソだな。。。」

昨日まであんなに熱心に読んでいた本を
投げ捨てるように本棚にしまいながらつぶやいた。

完全につまらない人間だった。

何もかもが適当で、単位が必要だから授業には
時間ギリギリになんとか出席する。

あれ、俺なんのために大学入ったんだっけ。
もっと充実してるはずだったのに。

1年2年の時には熱心だったサークル活動も同じことばかりで
飽きてすっかりいかなくなっていた。
大学に入学して出来た彼女とも
去年のクリスマス前に破局していた。

当たり前だ。
こんなつまらない男と一緒にクリスマスを過ごしたいとは思わない。

「なんか面白いことねーかなー」

自らのつまらなさを棚に上げて
周りの環境が変化することをひたすら望んでいた。

大学2年の終わり、長い春休みが大学にはある。
スカスカになった手帳をみながら
家でゴロゴロしていた。

そんなスカスカの手帳にも先輩とご飯に行く
なんて予定は入っていた。

待ち合わせ場所は、都内の少し距離のある場所だった。

「行くのめんどくさいなぁ・・・」
現地にいけば楽しいはずなのに
行く前はめんどくさい。
というか、動くのがめんどくさい。
先輩が家に来てくれたらいいのに。

それでも体を動かしたのは普段からお世話になっている先輩だったからだ。
どうやら個人事業主として大学生なのにお金を稼いでいるらしい。
周りで流行っていたマルチとかMLMとか怪しい方法ではなく
きちんとした商品を取り扱っていた。

正直うらやましかった。
楽しそうで輝いて見えて、妬ましくもあった。

俺もなんかで稼いで適当にバーッとお金使ってみたい。
きっとこんなつまらない生活でもなくなるはずだ。

「先輩には才能があっていいなぁ」

「んなこたぁーないよ。」

今日も先輩は輝いて見えた。
あまりの自分のつまらなさとは逆に先輩のする話はどれも新鮮で
聞いてる自分がみじめに思えるものばかりだった。

こんなすごい人とあってね、
今度はこういうビジネスをやろうと思っててね
就職先は大手の〇〇にきまったんだ

口ではすごいですねーなんていいながら
内心、どこかでムカついていた。

「なんで先輩ばっかりいい思いができるんだろう。」

そんな言葉が思わず口からこぼれそうになったけど
ついて出てきた言葉は
「なんか面白いことねーかな」

せいいっぱいのつぶやきだった。
つまらないのは俺のせいじゃない。
面白いことが起こらない環境のせいだとでもいうかのように
普段の口癖が飛び出してきた。

「なら、お前、営業でもやってみるか?人、紹介するよ」

営業かー。正直やりたくない。
つまらなさそうだった。
それに泥臭いイメージもあった。

だけど先輩がせっかく紹介してくれるというのに
むげに断ることもできなくて

「どんな人なんですか?」

「〇〇さんっていう人で、ほら、この前紹介した本の社長
あの人を育てた人だよ」

聞き覚えがある名前だった。
以前先輩から紹介してもらった本、
それも某有名企業の社長さんの書いたものだ。
若いとき育ててもらった恩師として書かれていた名前だった。
クソな自己啓発本として本棚に投げ捨てたあの本だ。

「マジすか!お願いします!」

何かを変えてくれるかもしれない。
つまらないこの現状を。
あわよくば俺も有名企業の社長みたいになれるかもしれない。
そんなバカみたいな考えで即答した。

「オッケー。じゃあ紹介するわ。」

あまりにもあっさりとした返事に感謝しながら
食事を平らげ、その日は解散となった。


それから後日———

〇〇さんはここにいるからあってきなよ。
話は通しておいたから。

そんなメールが先輩の元から届いた。

指定した場所を調べてみると
決して一等地ではなく、
むしろ都心から離れているとさえいえる場所だった。

先輩に感謝のメールを返して
指定された日時に指定の場所へ向かった。

どんな豪邸や高級マンションに住んでいるのかと
期待したが
どこにでもある普通のマンション
いや、アパートだった。
しかも割とぼろい。

本当にこんなところに有名企業の社長を育てた
〇〇さんがいるのか。

本当は先輩の悪い冗談なんじゃないか。
そんな気持ちすら芽生えてきそうなボロさだった。

考えてもどうしようもないのでアパートのあたりを見回す。
「エレベーターねぇのかよ。」
そう思いながら指定の階まで足を進めて
玄関の前までたどり着く。

ここに〇〇さんがいる。
写真では見たことがない。
名前を聞いたことがある人だ。
結構な年齢になっているはず。
どんな人なんだろう。
先輩の悪い冗談じゃありませんように!

そんな気持ちでインターホンを押した。

「はいはい」
渋めの声が聞こえた。

「△△先輩の紹介で――」
部屋の中から音が聞こえて
玄関のドアが開いた。

「おう、よく来たな。」

あまりにもきさくな挨拶にびっくりしながらも
部屋の中に通された。

家の中は・・・生活感満載だ。
いたって普通の部屋で
下手したら俺の部屋よりちょっと汚いまである。

あまりじろじろ見るのも悪いと思いながら
促された席に座る。

他にも話を聞きに来たであろう人が二人いた。
俺と〇〇さんが対面する形になるよう
他の二人と入れ替わった。

どうやらこの二人もはじめてらしい。
他の二人は少し離れた
ちょうど俺と〇〇さんから見て90度の場所に座りなおした。

対面して改めて相手の顔を見る。
歳は、おそらく60は超えているであろう。
白髪の入り混じった黒髪、
ところどころ皮膚がやや垂れていて
ヒゲが少し生えていた。
どこにでもいる老人のような風貌。
だがその中で異様に鋭く光る眼光が俺の目線をとらえて離さなかった。

これがあの某有名企業の経営者を育てた〇〇さんか。
どんな素晴らしい話を聞かせてくれるのだろうか。

そんな淡い期待はすぐに裏切られることになる。

これがのちに私の師匠となる〇〇さんとの出会いだった。


その2につづく
https://note.com/statistics_world/n/ndb853169c481

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