森岡毅さんと会話したときの話

※完全実話。

(森岡毅さんは破綻寸前だったUSJをV字復活させた
生きる伝説、数学マーケターである。
データサイエンティストやマーケターで森岡さんの名前を知らない人は120%いない。)

さっそく本題に入る。

――――――――いつだってチャンスは突然に訪れる―――――――

私は普段から森岡さんを尊敬してやまない。
本は全部買って読み込んでいるし、
プロフェッショナルのDVDも何回も見ている。

そんな私は、森岡さんに一言、質問したいことがあった。

だが、無理な話である。
相手は稀代の天才。数学マーケター。

一目見ることすら難しいのに
会話することはなお難しいだろう。



だが、人生、待っていれば、チャンスは来る。


はじまりは
とあるコンサルタントの方からの一通のDMだった。

「今度、森岡さんの講演会がある」

ベッドに寝ころんでDMを読んでいた俺は
文字通りベッドから飛び起きて、
添付されていた講演会に申し込んだ。

普段から森岡さんサイコー!と言っていたので、
コンサルタントの方が紹介してくれたのである。
やはり、確率は1%でも高めてみるものだと思った。

この講演会には質問コーナーもある!

もしかしたら、もしかするかもしれない。

あの森岡さんに!!!!!!!
質問が!!!!!
できるかもしれない!!!!!!!!

一筋の光明が差した気がした。

コンサルタントの方にお礼をいい、当日までの戦略を練ることにした。

だが冷静になって再び絶望した。

森岡さんが出る講演会といっても
複数の有名な人が
それぞれ1~2時間枠をもって順番に講演する
合同の講演会だったのだ。
それぞれ1人ずつ登壇する形であった。

森岡さんはトップバッター。
最後までその場にいるわけがない。
いる必要がない。
講演会終了後に突撃して話しかける作戦は使えない。

じゃあどこにチャンスがあるのか?

一か所しかなかった。

森岡さんの講演後の質問コーナーで当ててもらうしかない。

森岡さんは言うまでもなく有名人である。
さらに複数の著名人が登壇することもあり、
受講者数はゆうに200人を超えていたと思う。

その中から手をあげて、指名される確率は1/200。
多分、2~3人は指名されるだろう。
だが、指名される確率が低すぎる。
1%未満だ。

統計学では5%未満の出来事は例外として処理することが多い。
さらに1%未満ということは、99%起こりえないのである。

もちろん全員が質問に手を上げるわけではないから
実際の確率はそこまで低くはないだろう。
だが、他の人が手を挙げる確率は、私にはコントロールできない変数なのである。

1%未満。

奇跡を、起こすしかない。

やっと、やっと巡ってきたチャンスなんだ。

何とかモノにしたい。

一言でいい。質問がしたい。

準備期間は1か月あった。
イベント申込から当日はまであと30日。

寝るまも惜しんで
大勢の中から自分を指名してもらえるか
そればかり考えていた。

いや、寝ている時ですら考えていたかもしれない。

自分の頭で考えても全然わからない。

何か、頼りになるものはないか。

目に飛び込んできたのは、大量の本。

そうだ。森岡さんの本だ。

この中にヒントがあるはずだと
森岡さんの著書を読み返した。

絶対に何かあるはずだ。
その「何か」を俺がまだ見つけられていないだけなんだ。
そう自分に言い聞かせないと心が折れそうだった。

毎日、自分に言い聞かせながらひたすら本を読み返す。
「何か」「何かあるはず」
何度も何度も読み返した本を相手に
格闘する日々が続いた。

全然わからなくて、途方にくれそうだった。
何日も何日も、本を読み返しているだけだ。
どんどん講演会の日は差し迫ってきている。
早く、早く見つけなければならない。
でも全然わからない。

森岡さんも、こんな心境でパークの中を
歩き回っていたのだろうか。

「何か」絶対にあるはずなんだ!

森岡さんだって言ってた。

絶対にUSJを復活させる「何か」がある。
それをまだ、自分が見つけられていないだけなんだ。
ファイティングポーズだけは絶対に崩してはいけないと。
毎日鏡の前でそう自分に言い聞かせながらUSJを回っていたことを
俺は知っている。


そしてとある日、
食い入るように著書を読み返していると
突然、本の一文が、光った気がした。

―――――
結果はコントロールできないんです。
だから、勝つためには
勝つための確率を上げる努力をするしかないんです。

             ―――――
よく森岡さんの著書に出てくる言葉であった。

普段から目にしているはずな言葉。
よく知っているはずの言葉。

なぜ、いま光ったような気がしたんだ?わからない。

だけど、何度も何度も自分の中で繰り返し唱える。
講演会、質問コーナー、
指名してもらえるかはわからない。
でも、指名してもらえる確率を上げることはできる。

一筋の光明が見えた。
やれるだけ、やるしかない。
指名してもらえる確率を、1%でも、上げる。

普段使っていたフレームワークを使って分析をはじめる。
有利な環境要因、不利な環境要因、
自分でコントロールできる変数はどこなのか。
自分でコントロールできないことは考えない。

問題を定義して、解決する方法を考えるのは俺の十八番である。
(若さゆえの謎の自信である)

まず、環境としては
講演の受講者はほとんど男性、経営者であることは予測できた。
しかもわりと年配であることは確実である。

講演会は木曜日の昼間である。
(しかもトップバッターは森岡さん)
普通のサラリーマンは仕事をしているから来れない。
経営者や自営業など、時間がある人しかいないはずだ。

当時27歳の俺は若いから目立つはず。
(年齢は自分の力では変更できない変数だ。)
これは少しだけ、有利かもしれない。

そして、当日は自由席なので、
早く会場に入って、森岡さんの目に留まりやすい場所を確保すること。

あまりにも登壇者から近いと、見えない可能性もある。

なにせ会場はとても広い。
前から、3列目の、真ん中がベストであると結論付けた。

これは、仕事で講演をやっていた経験が活きた。
大学生のころから人前で話すことが多かったので、
人前で話す人の目線がどこを通りやすいか、知っていたのである。

まだ足りない。
指名したいと思わせる必要がある。

俺が登壇した時に質問コーナーで指名したくなる人はどんな人だろうか。

やっぱり熱心に首を縦に振って、メモを取ってくれる人かなぁ。

男性が多いときって全員無表情で黙って腕組んでる人が多いから
怖いんだよな。
あとで聞くと、めちゃくちゃ講演よかったです!って感動してくれるから
疑問に思って、
なんで無表情で腕組んでるのか聞いたら
真剣に聞いてたんです!っていうからびっくりした覚えがあった。
こっちからしたらつまんないのかと思うから
緊張するんだよ!

ということで、当日は首をアカベコのごとく振りまくり、笑顔でメモをとることにした。

我ながらめちゃくちゃ単純な方法だと思うが、
足りない脳みそではこれしか思いつかなかった。
(笑いたければ笑うがいい。)

さらに何かないかと考えたが、これ以上出てこなかった。

これ以上考える時間はなかった。

そして当日を迎えた。


上記3点を徹底的に意識した。
(年齢はどうしようもなかったので正確にはたったの2点である)

当日は早く現地入りして、
前方から3列目、真ん中を確保した。

そして講演中は
森岡さんの話に酔いしれながらも
しっかりとアカベコになり、笑顔でメモをガンガンとった。

講演内容はここでは書かないと約束したので、書かない。

面白い話はあっという間に終わった。

ついに、来る。
質問コーナーが。

最善は尽くした。
最善は尽くした。
これでダメなら、悔いはない。
そう思ってはいるもの、緊張で手が震える。

目の前には、あの森岡さんがいるのである。
前方3列目ということは、
距離にして3メートルもない。
駆け出せば手が届く距離だった。

完全に緊張していた。
身体がガチガチだった。

時間的にも質問は3名ほどだろう。
素晴らしい講演だったので質問したい人は俺以外にもたくさんいるはず。
しかも俺よりやり手の経営者ばかりだ。
このチャンスを逃すはずがない。

やるだけのことはやった。
やるだけのことはやったんだ!



進行役のお姉さんの
それでは質問ある方~
という声が会場にこだまする。

足が震えて、緊張が止まらなかった。
手を上げられなかった。
緊張しすぎて、手が上がらなかったのである。
やばい!と思ったが
1人目が指名されてしまった。

1人目は俺の知っている人だった。
紹介してくれたコンサルタントの方とは別の人であったが、
そのコンサルタントの人と長い付き合いの友人である。

なんつークソ度胸なんだ!
あの森岡さんを前に緊張しないなんてことあるのか!?

そんなことが脳裏をよぎったが、
当の本人は俺ほど緊張していないかもしれないし、
当たればいいかなという気持ちで手を挙げたのかもしれない。

それは本人にしかわからない。

一体俺は何をやっているんだ!
緊張で手が上がらないだと!?
ふざけているのか!
この日のためにどれだけ準備したと思っているんだ!!!!
ふざけるなああああああああああ!!!!!!

急に闘志がわいてきた。

この質問が終わったら真っ先に手を挙げる

それだけだ。
今、この瞬間、
確率を高めようと思ったらそれしかない。
高速回転した脳みそが出した結論はあまりにも単純だった。

この質問が終わったら真っ先に手を挙げる
この質問が終わったら真っ先に手を挙げる
この質問が終わったら真っ先に手を挙げる


それでは次のしつーーーーー
進行役の声がこだまする。

(俺を指名しろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!
森岡毅いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!)

誰よりも真っ先に手を挙げた。

(この日のために、この日のために
どれだけ本読んで考えて、考えて、考えて
考えたと思っているんだあああああああああああ!!!)






じゃあ、熱心に聞いてくれていた、そこの若いきみ、

!?

俺?

俺なのか?

??????????


お姉さんがマイクを持ってくる。

俺だああああああああああああああああああ
嘘だろおいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい

やった!!!!!!!
何これ!!!!!!!!!
奇跡起きたああああああああああああああああああ!!!

嬉しさが爆発したこともあり、
完全に脳内パニックだった。

マイクを受け取っても
指名を受けた嬉しさと
夢にまで見た森岡さんが手が届く距離にいる
という非日常な現実が飛び込んできて

質問の内容が吹き飛んでいた。

何質問したかったんだっけ?

完全に脳内パニックを起こしていた。
講演内容に触れて言葉をなんとかつなげる。

落ち着け俺!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そうだ。
ずっと、俺が、聞きたかった質問。
この日、この質問するために、
毎日作戦を考えてきたのである。

「森岡さん、あなたを超えたいです。どうしたらいいですか。」

27歳の若造のあまりにも生意気で分不相応な質問に、会場が少しざわついた気がした。

森岡さんは笑って言った。

「君は勘違いしているかもしれないですけど、私はそんなに能力が高い方じゃないんです。他にいるたくさんの優秀な人たちが協力してくれる人がいるおかげで、高い成果が出せるんです」

この後も、優秀な仲間の素晴らしさとその人と協力すること、
そして、仲間を集めることの大切さを
めちゃくちゃ長く話してくれた。

全部メモに残さんと猛烈な勢いで筆を走らせた。

森岡さんの長くも体感的に短い解答が終わり、

俺が「ありがとうございました!」とお礼を言うと、
次の質問者が指名されたーーーー

この時は完全な放心状態だったと思う。

奇跡ってマジで起きるんだなとか
達成感とか
このあとコンサルタントの方やその友人(俺の知人でもある)方に
なんか言われるだろうなとか

いろんなことが頭の中をぐるぐるしていたと思う。

たとえ気まぐれであろうと
偶然であろうと
ただの確率だと切り捨てる人がいようと

奇跡は起きた。

俺が質問して、森岡さんが答えた。
これは紛れもない事実だ。


結果はコントロールできない。
勝つための必勝法なんてない。
だが、勝つための確率を上げることなら俺でもできる。
才能がなくても、勝つための確率を上げることはできる。

そうしてひたむきに、たとえ0.01%でもいい。
努力していれば
必ず勝てるときがくる。

神様は努力を見ていてくれる。

そんな風に思わずにはいられない奇跡だった。

森岡さんの返してくれた言葉は今も俺の宝物である。
それと同時に、
森岡さんが普段から言っている
「結果はコントロールできない。
だから、確率を上げるための努力をするしかない」

その言葉の意味が、体得できたような気がした。

森岡毅さんを超えるまでの距離は果てしなく遠い。
まだ会社も設立したばかりで、仲間も一人もいない。

ろくな航海図も、船もなく、
ただの勢いで小さな会社を立ち上げただけである。
まるでワンピース初期のルフィさながらのバカさ加減である。

森岡毅さんを超えられるか、
そもそも、たどり着けるかすらわからない。
これから何回も挫折するだろうし、
つらい出来事もたくさんあるだろうし、
打ちのめされることだって1回や2回じゃない、
志半ばで死ぬかもしれない。

でも、そうなりたいと。
森岡さんのような、森岡さんを超えたプロフェッショナルになる。と
俺は決めているのである。

最後に、プロフェッショナル仕事の流儀で森岡さんが語った
あなたにとってプロフェッショナルとは?
の言葉をここに記してこの話を終わりにしたいと思う。

「偶然起こっているように見えるものの中から勝つための法則を見つけ出す技術とその正しい方向へみんなを引っ張っていく情熱。
そして、その能力を自分以外の誰かのために使う、それがプロフェッショナルだと思います。」

そんなプロフェッショナルに、俺もなる。


最後に

この話が森岡さんの耳に届いたら嬉しいなって夢見てます笑


最後まで読んでいただきありがとうございました!

zack

ツイッター:@zack32319636


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