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日本初の農業デイワークアプリ『シェアグリ』がわずか3週間でリリースできた理由 〜シェアグリ×Gaiax開発部インタビュー前編〜

ガイアックススタートアップスタジオは、出資先に「事業開発支援」「エンジニアリング支援」「バックオフィス関連支援」を行なっています。

今回は、日本初の農業に特化したデイワークアプリ『シェアグリ』をリリースしたシェアグリ代表井出とGaiax技術本部長の佐々木のインタビュー形式で、スタートアップスタジオの技術支援の裏側に迫ります。

株式会社シェアグリ とは
「日常に農業という選択肢を」つくることをビジョンに掲げる農業スタートアップ。農業デイワークアプリ『シェアグリ』を通じて農業体験をしたい人と農家をマッチングし、人手不足を解決する、農業人材シェアリングサービスを運営する。2018年8月創業。

佐々木
スタートアップスタジオの事業はリーンスタートアップをベースに進めているけど、シェアグリの初期フェーズでは、どのように事業検証を進めていたの?

井出
初期フェーズの事業検証は、全て人力でやっていました。(笑)
シェアグリは、農家さんが繁忙期で人手不足のときに、農作業をしたい人が気軽に1日から働くことができるように農家と農作業希望者をマッチングするサービスです。人材をシェアリングすることで農家の人手不足問題の解消を目指しています。

ガイアックスのシェアエコ系のビジネスモデルはリボンモデルで、ホスト(農家さん)とゲスト(農作業希望者)の双方が必要です。本当に人手が必要で困っている農家さんと、本当に働きたいと思っているゲストさんそれぞれを適宜獲得していく必要がありますが、両者を集めてマッチングするのは結構ハードです。

マッチングの流れとしては、まず、農家さんにアポイント取るために直接JAに出向いたり、アポなしの飛び込みで市役所に行って話を聞いたりします。そして農家さんと繋がってからは、LINEを使って連絡を取りながら、【いつ繁忙期が来て、どのくらい人手が必要で、どのくらいの時給で雇うことができるのか】といったコミュニケーションをとり、情報を集めます。そして、農作業をしたいというゲストさんに農家さんから貰った情報を送り、ゲストさんが連絡をくれて、その連絡を農家さんに送って、詳細を詰めて、両者をマッチングし、当日お願いします。また、終了後のコミュニケーションや、手数料をいただいて、請求書を発行して、という金銭のやりとりの一連も、全て自分たちの手作業でおこなっていました。

佐々木
LINEを使ってホストとゲストのマッチングをしていたんだね。マッチング検証をするプラットフォームとして、どうしてLINEを選んだの?

井出
ひとつは、コミュニケーションツールの主流がLINEであるということです。またシェアグリでは、LINE@を使ってゲストとのやりとりをおこなっていました。LINE@だと、登録いただいたゲストさんに一斉送信することができる機能があるので便利です。

佐々木
事業検証にLINEを使うことで辛かったことは何かある?

井出
辛かったのは、どのタイミングでも農家さんやお手伝いさんとのコミュニケーションが絶えなかったことですね。シェアグリは出先の営業が多い状況で返信できないことが多々あったのですが、ありがたいことに連絡は絶えず来るので合間を縫っての返信や常に連絡を気にしている時は大変でした。

また、ホストとゲストの両者それぞれが情報を開示し、シェアグリがプラットフォームとして全ての情報を仲介するために、とんでもないコミュニケーションコストがかかってしまっていました。今は、デイワークアプリ『シェアグリ』をリリースしたことで、その状況から移行しはじめたところです。

佐々木
はじめ、マッチングのためのプロダクト(デイワークアプリ『シェアグリ』) を作ろうと思った時に思い描いていたものはどんなアプリだった?

井出
最初作ろうと思っていたアプリのイメージは、タイミーのような機能を備えたアプリですね。自分のGPS情報や働きたい場所入力で場所を絞ることができる。あるいは、農作業の内容で絞ることができる。また、掲載されている農家さんの求人にゲストが直接コンタクトを取ることができる。コミュニケーションを取る中でお互いの詳細を詰め、決済の完結までできるアプリをイメージ像として持っていました。
つまり、これまでシェアグリに発生していた手作業のコミュニケーションを全てユーザー間で完了し、金銭のやりとりまで完結できるアプリを理想像として考えていました。

佐々木
それは、Gaiaxの開発部に相談してるうちに変わった?開発部のプロダクトオーナーに相談して、どういうやりとりによってどんなプロダクトに着地したのか教えてほしい。

井出
まず農家さんの求人募集ですが、農家さんは自分自身で求人情報を掲載できるようにしました。掲載した求人はグループチャットになっており、農家さんとその求人で働きたい人たちがコミュニケーションがすることができるようになっています。まだホストとゲストの1対1のコミュニケーションができる実装にはなっていません。

次に農作業求人の検索ですが、シェアグリの農作業マッチングの現状は、同じ地域内でのマッチングが多いです。例えば千葉県住みの農家さんとゲストさんがマッチングするというような。そこで、ゲストは働きたい地域(県単位)上位3つを選び、その3つの地域で開催されている求人がタイムラインに掲載されるようにしました。しかし夏休みなど日常から離れた時にも使用することができるように、今は希望の地域上位3つという縛りはなくして全ての求人が掲載できるように準備しています。

佐々木
もともとはホストとゲストの個人間チャット(DM、ダイレクトチャット)をイメージしてたと思うんだけど、そこからグループチャットに着地したのはなぜ?

井出
ひとつは開発のスケジュールです。シェアグリのProblem/Solution Fitの仮説検証期間を7月末までと置いていました。その期間中に、アプリ使った農作業マッチングができるのかどうかの仮説検証をしたかったんです。

全て手作業のマッチングから、農業界でアプリを使用して、農家さんがアプリで求人を出して、ゲストさんはアプリから求人にコンタクトをして、両者がマッチングできるのかどうかを検証して結果を出す必要がある期間の期限が7月末と決まっていたので、期限内に間に合わせる必要がありました。ダイレクトメッセージの機能を作るには一定時間がかかるため、農家さんを店舗に見立てて、農家さんと複数の応募者がコミュニケーションチャットを取ることができるグループが最低限必要だと判断しました。
また現状、シェアグリの農作業求人ひとつあたりに来る応募者は10人ほど。数十人が参加するグループチャットではコミュニケーションが混乱しますが、10人前後である今はグループチャット機能でコミュニケーションが完結できると判断しました。

井出
実際、Gaiaxの開発部の皆さんには、アプリの相談を初めてしてから3週間という短い期間でアプリリリースまで並走していただきました。はじめの1週間が相談期間で、その後2週間で開発してリリースというスピード感です。本当に無理なお願いをしてしまったのですが(笑)、リリースイベント当日の朝に無事アプリをリリースすることができました。開発部では、どのような心構えで依頼を受けているのでしょうか?

佐々木
アプリケーションの開発は、設計もあって、実装して、動くかどうかの検証も必要で、不測の事態も付きものです。期間が伸縮するプロジェクトのため、約束はできませんが、やるべきことは行い善処します、という心構えですね。今回はエンジニアがかなり頑張りました。(笑)
また、運よく、先にネイティブアプリの開発をしていたプロダクトがあったため、その資産をうまく活用して時間を短縮することができました。

● 農業デイワークアプリ『シェアグリ』
▼App Store
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A2%E3%82%B0%E3%83%AA/id1472308229
▼Google Play
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.sharagri&hl=ja


つづきは後編