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②~梅津有希子氏~             脇役を主役にし「ものかき」した人

「ブラバン甲子園」をご存知だろうか。

私は毎年、春と夏に高校野球を観戦することが趣味であり、甲子園球場へ何度も足を運んでいる。
現地観戦をすると、アルプス席で応援している吹奏楽部がどうしても気になってしまう。なぜなら高校、社会人と約8年間吹奏楽部に所属しており、担当は打楽器、吹く楽器以外なら何でもやる便利屋であった。
アルプス席で応援している吹奏楽部の楽器編成、演奏レベル、選曲、オリジナル応援歌など観察していると、それぞれの特徴が良く出ている。ただ楽しみで聴いていただけの甲子園の吹奏楽であるが、それを本にまとめた人が現れた。
「ブラバン甲子園大研究」の著者、梅津有希子氏。

「ブラバン甲子園大研究」は、各高校の吹奏楽部のオリジナル応援歌ができるまで、野球部との連携、名物応援歌の歴史など、梅津氏がアルプス席の吹奏楽部に密着したり、顧問の先生に直接取材し書き上げている。
また、「ブラバン甲子園」はCDも発売されており、強豪校の吹奏楽部が集結し、ホールでコンサートも開催されるなど大きく広がっていった。
私自身コンサートに2回、足を運んだ。高校時代、野球部の応援は夏の吹奏楽コンクールの直前であり、暑いし大変だった記憶しかない。そんな吹奏楽部による野球応援がクローズアップされることに驚きしかなかった。

梅津有希子氏とはいったい何者か。

私は梅津氏が気になり調べてみた。
北海道出身。中高と吹奏楽部に所属しており、卒業後、地元のヤマハ楽器に就職した。
子供のころからの夢であった雑誌のライターを目指し上京し、編集プロダクションを経てフリーのライターとなる。主に女性誌のインタビュー、ダイエット記事、料理本を出版するなど高校野球とは無縁の世界だ。
梅津氏自身、高校野球に興味がなかったが、吹奏楽への想いは消えておらず、甲子園には野球の強豪校だけではなく、吹奏楽の強豪校も集結すると聞き現地に赴いたのがきっかけだ。

まとめ

吹奏楽専門の雑誌や書籍などは、昔から出版されていた。それは主にコンクールやコンサートなど吹奏楽部が主役である。野球部を応援する吹奏楽部をフォーカスし、取材や研究をし、世に出すことは恐らく初めてであろう。
応援をすることは脇役に徹しなくてはならない。主役はグランドでプレーをする野球部である。にもかかわらず、敢えて吹奏楽部を主役に持ってきたことは斬新だと感じた。
普段なにげなく生活している中、視点を変えることにより、新たな発見ができ、思わぬ広がりを見せてくれることを梅津氏から学んだ。

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