稚拙星人

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最近の記事

幽谷霧子を見つけろ【シャニマス】

今日初めて幽谷霧子を優勝させることができた。初めての推しの優勝で、初めての思い出レベル5だった。苦節三か月ほど、何度も何度もプロデュースしては敗退し、プロデュースしては敗退し…そのたびに霧子との出遭いからやり直すことになるので、気持ち的にはループ物の主人公だった。何度世界を繰り返してでも、きっと君を優勝させる世界線を見つけだすから…!というループ系主人公の感情を実体験できるシャニマスはとてもいいゲームです。 さて本題は、そんな幽谷霧子のキャラ解釈である。ネタバレしまくる。あ

    • 白瀬咲耶に崩折れた【シャニマス】

      白瀬咲耶「秘めやかファンサービス」でのwing優勝とアンティーカのファン感謝祭シナリオを読んだ感想と人物解釈。ネタバレします。情報少ないまま解釈の衝動が抑えきれなかったので書きますので、解釈違い等あると思いますがご了解の程を。ほぼ自分用です。 白瀬咲耶を解体するキーワードは「孤独への恐怖」である。他人への過剰ともいえるサービス精神や自尊心の低さはこの言葉によって解剖されるように思う。そしてその恐怖心に、いや、もっと言えば「自分自身の幸せ」に彼女は恐ろしく無頓着であるように感

      • クレイフォーサイトに関する考察/または妄言

        このnoteでは、クレイの内面・クレイの行動の理由・ラストのセリフ解釈について自身の性癖に基づいたフィルターを通しながら論じる。 前置きプロメア鑑賞一回目のクレイフォーサイトへの印象は、「深みのない悪役だなあ」だった(今思えばそれは堺雅人の印象的過ぎる熱演にあるかもしれない)。あくまでも現実的で実際的な人類救済を掲げ、理想論的な立場にいる主人公側と敵対。その方法論は悪魔的であり、その非道徳性が悪役として倒される姿に、観客のカタルシスは駆り立てられる。ごくありふれたドラマツル

        • ベルクソン「物質と記憶」レジュメ

          ○2.27 <要旨> 再認の基盤は精神的なものではなく身体的なものである。しかし他方で、再認には別のものが加わってくる。 <内容> ・日常生活を取り囲む諸対象はそこにあるだけでわれわれにある役割を演じるよう誘っている。だからこそ、それらはなじみのものに見える⇒2.24、「その後の知覚が異なる点はそれらがある機械的な反作用に身体を向かわせること」 2.26「引き延ばされて運動になっていかない知覚はない」 対象を知覚、再認すればそれに対応した運動が自動的に行われる、ということ。そ

        幽谷霧子を見つけろ【シャニマス】

          去年の冬君と別れ感想

          ネタバレ滅茶苦茶しながら書く。 この物語の核心的なテーマに、芸術と狂気の相互作用とでもいうべき因果関係があるように思う。それは引用されるカポーティの「冷血」、芥川の「地獄変」、赤色の人形師の話などから明瞭に見て取れるが、より根幹的な部分として、この物語の構造そのものに狂気と芸術の作用がある。この物語は、「この物語そのものが復讐の相手とかつての恋人にささげられたものだった」というメタフィクショナルな構成をしていて、その構成の妙こそが作品の白眉でもありまたミステリ作品としての所

          去年の冬君と別れ感想

          中村文則「悪と仮面のルール」

          恋をした幼馴染が幸せに暮らすために、主人公が、彼女を脅かしかねない自身の父や結婚詐欺師、テロ組織の重鎮を殺害していく、というのが大雑把な内容。俯瞰してみるのであれば、「人を殺すとはどういうことか」という根源的なテーマに向き合う恋愛小説である。 中村文則の主人公は大概が内面に暗い部分(作中では「泥濘」「憂鬱」などで表される)を抱えているが、今作の主人公、文宏はその暗黒の密度が飛びぬけている。極悪の父による「悪となれ」という呪い、さらにそのような父の遺伝子を継いでいることへの恐怖

          中村文則「悪と仮面のルール」