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勝手にファンタジー小説。ハロウィン選挙⑧

なんだかこの村に来て怒涛の毎日だ。

翌日に決闘?を申し込まれたというのに、昼間の慣れない労働のせいか、
体はあっという間に眠りの世界へと私を連れていったw


そして、今はもう朝なのです!


朝日が眩しい。
夕方には、飴玉を1個手元に持っていなくては…


はっ!!

サントさん!!!


そうだ、サントから飴をもらっていないと約束が守れないのだ。

このままでは、
またウソつきだとか、卑怯だとか、悪人だとか、
頭が弱いだとか、胸が小さいだとか、


そういういわれもないレッテルを何枚も何枚も、
あの少年に張られてしまうのだ。 

私はドМではないので、言葉の暴力は、
結構ちいさな胸に響きますw


もしかして、まだサントは部屋にいるだろうか?
急いで隣の部屋へ行き、コンコンとノックをする…。


おかしい、返事がない。

そう言えば、昨日も私が起きた頃にサントはもう出かけていたな。
ど、どどど、どうしよう~~


これから出かけて何かをするとしても、
1個以上飴を手に入れる自信がない。

うーん、今日の予定…


本当はおばあちゃんの所のお手伝いに行きたいのだけれど…

行ったとしても飴は多分もらえない。

絶対あの少年は約束を破らずに私を倒しに来るだろうねぇ…

仕方ない。

不本意ながら、今らサントに会いに行かなくてはならないようです。

朝からか~、やだなぁ。

サント、どこにいるんだろう。
そもそも、サントは朝からどこで何をしてるんだろう?

私は多分サントの事をあまり知らないのである…。


ぐぅぅぅ

相変わらず私の体は元気です。
とりあえず、朝ごはんを食べにまたパン屋さんへ向かってみた。


ルナ「おはようございまーす。」


店主「おや、ルナさんかい。
今日もコーヒーいれるかい?」

ルナ「ええ、是非お願いします。」


私はパンを2.3個つまむと、
お会計を済ませいつもの席でコーヒーを待った。

店主「はい、コーヒーだよ。
昨日お隣のお手伝い、行ってくれたんだってね。
おばあちゃん、一人でいつも心配なんだけど、
この店があるからなかなか顔を出せなくて、
ルナさんが行ってくれると助かるよ。
何か、いいことはあったかい?」

ルナ「え、ええ、まあ。
でもまだ建物の痛みが激しくて、またお手伝いに行こうと思います。」

店主「本当に助かるよ。
他の候補者とあなたとは少し違うようだね。ありがとよ。」

ルナ「いえいえ。」


店主は忙しそうに、パタパタとまた売り場の方へ戻ってしまった。
朝はかきいれ時だし、こうやって声をかけてくれるだけでもなんだか嬉しい。


ルナ「他の候補者とは違う…か。」


困った人がいたら助けてみようと思う。

それってみんな同じではないのかな?

利益がなくても助け合える関係というのは特別なことなのだろうか??

淹れたてのコーヒーを口に運びながら、パンをむさぼる。


ルナ「うっまい!!」


心もお腹も満たしたところで、私はゆっくりと席を立った。
そうだ、こんな出入りのあるパン屋さんだ。
サントの事を知らないだろうか?

店を出る前に一言、聞いてみよう。
そう思って店主に声をかけた。


ルナ「店主さん、ごちそうさまでした!今日も最高の朝食でした!
あの、
ちょっと私人探しをしていまして、
同じ候補者なんですけど、「サント」という名前の候補者の事を知りませんか?

男性で、正義感の強そうな、ガタイの良い、私よりちょっと年上の候補者なんですけど…」

店主「サントさんねえ...
さあ、聞いたことないね?
あまり目立つ活動はしていないんじゃないかい??」


ルナ「あ、そうですか。
まあ、候補者なんてたくさんいますからね。
ありがとうございました。では、また~。」


残念ながら店主さんはサントを知らないみたいだった。

この辺では活動をしていないのだろうか?

というか、そもそも、どんな活動をしてるんだろ?サントって。


慈善活動??


最初の出会ったときのあのイメージがあるので多分いいことしてそうだけど…。


これで手掛かりはなくなってしまった。
どうしよう…
やみくもに探すとしても、そこそこ大きな村である…。
うーん…。

??「ルナさん、おはよう。」


ルナ「あ、あれ?

お、おばあさん…。
あ、そうか、パン屋さんの横ですもんね。
お、おはようございます!」


ふらふらしていたら、朝の掃き掃除をしているおばあさんと出会ってしまった。

おばあさん「朝ごはんは食べたのかい?
よかったら少し寄っていかないかい?」

ルナ「あ、今そこのパン屋さんで朝食を食べて。
実はあそこのパンにはまってて、
毎朝朝ごはんをそこで食べてるんです。」

おばあさん「そうなのかい。
なら、もし時間があれば、少し寄っていかないかい。」

ルナ「ええ、そうですね。
特に予定もないですし、

では、少しお邪魔しますね。」


結局門をくぐってしまった。
本当は決闘の事がなければ、昨日の続きで作業をしようと思っていたりしたのだけど…

今、サントはどこにいるかわからないし、
おとなしく昨日の続きをするかなぁ。


ちょっとそこに座っていてくれる?と私はテーブルに座らされた。
少し待っていると、おばあさんが本のようなものを持ってきて私に手渡した。

おばあさん「あなた、風の魔法が使えるんですって?
お隣の店主が感心していたわよ。」

ルナ「え?ええ、まあ。
生まれつき風の恩恵を受けてるみたいで、少し風が操れるみたいです。
あまり人に知られると、色々とあれなんで、
あまり使わないようにはしているんですが。」

おばあさん「そうなんだね。
昔は沢山魔法が使える人がいたんだけど、
今では選ばれた人しか使う事が出来なくなってしまったね。」

ルナ「いえ、使えても、
大していいこともないですし、
むしろ変人扱いですよ。
だから、あまり人には言わないようにはしてるんですけどね。」

おばあさん「色々と難儀だね。
せっかくのあなたの個性なのに。

ああ、そうだ、

この本は魔法の本だよ。
ここにあっても何も使えないから、
使える人が持っていたらいい。
ルナさんにあげようと思って。
もらってくれるかい?」

ルナ「魔法の本ですか!
なんでこんな本が?」

おばあさん「ここは大きな古い屋敷だからね。古い本だってあるんだよ。
気にしないでもらっておくれ。
ずっと誰にも見られないより、必要な人に見られた方が、本も本望だから。ね。」

ルナ「は、はい。
では、せっかくなのでもらっておきます。
お金までいただいて、こんな貴重な本まで。本当に何と言ったらいいか。
ありがとうございます。」

おばあさん「いいんだよ。
あなたのおかげで昨日の晩は明るく過ごせたし、なんだか朝から体調もいいんだよ。
こちらこそ、ありがとうね。」


ルナ「あ、そうだ。
昨日の続きをと今日は思っていたんです。
また作業していきますので、お屋敷少しずつ修理していきましょうね!」


本をもらってなんだかテンションが上がってしまった。
どこにいるかわからないサントのことより、今はとりあえずここの修理をしていこう。

私は勢いよく椅子を引いて立ち上がるのでした!



その後私は屋敷の修復作業を始めた。
階段が欠けているところ。
外壁のひび割れ。
色々とやることは多かった。

作業をしてお昼ご飯を頂いて、
おばあさんとお話をして、
あっというまに時間は過ぎていった。

帰りに、また1枚金貨を頂く。
こんなにもらえる作業を私はしているのだろうか??
帰り際、おばあさんは「またおいで。」と私に笑顔で手を振った。


昨日と同じく15時頃まで作業をして、私は屋敷を出た。
確か、昨日これくらいの時間にサントと道でばったり会ったので、
もしかしたら今日も会えるかもしれないとそう踏んでいた。
とりあえず宿屋への帰り道を歩き、宿屋の前で待ってみることにした。


・・・


しばらくすると見覚えのあるいでたち。
あのにじみ出る正義感?


ルナ「サントーーー!!」


昨日と同じような感じでサントは帰ってきたのであった。


(つづく)

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