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字牌切りのダブリーに孤立オタ風牌を簡単に切らない

今回は私の実戦譜ではありませんが、参考になる内容のため画像をお借りいたしました。

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内容はシンプルで、開局の親が発切りでダブルリーチ。主人公の西家は自分も赤赤の好配牌なのにチッwという感じの局面です。

西家はすべての牌に放銃の可能性がある一方で、手を進める価値が十分にある手牌ですので、孤立牌3種からの打牌選択となります。切る候補は1s、東、南の3つです。それぞれ1枚ずつ持っている以上、数牌である1sの危険度が最も高いので、東か南の2択になります。

ロン、「ダブリー・一発・ダブ東…」

こんなネタにされそうな手wに刺さる訳にはいかない。いやそんなことを考えるまでもなく、親にダブ東なんて切らず南を切ればいいよね、という発想がマジョリティ―かと思います。しかし私は東切りなのではないか、とふと思ったので考察してみました。

① 放銃打点について

東で放銃:ダブリー・一発・ダブ東で12000

南で放銃:ダブリー・一発で7700

東で放銃+1翻の場合:18000

南で放銃+1翻の場合:12000

以上より、東の放銃打点は南のほぼ1.5倍であると言えます。

② 放銃パターンについて

字牌で当たり得るのは単騎待ちかシャンポン待ちです。単騎待ちの場合は、待ち牌の優位性を考慮してオタ風の南を選択するものとします。

東:シャンポンのみ刺さる

南:単騎でもシャンポンでも刺さる

よって単騎待ちの放銃率がシャンポン待ちの1/2であれば、五分の打牌選択になると言えます。

③ ダブリーに単騎待ちは多いのか

ここからは直接的なデータやソースを持っている訳ではないので、推測の話になることをご了承ください。

以下はネマタさんの現代麻雀技術論のブログに書かれている内容をご紹介します。

これを参照すると、チートイツに限ってもトータルでは3%の出現率なのに対してダブリーでは11.7%の出現率となっています。今回のようなメンツ手の単騎待ちも含めれば、単騎待ちの割合は更に高くなることが予想されます。

ダブリーは打ち手の意図が介在しません。牌の組み合わせで考えてもダブリーの単騎待ちの放銃率はシャンポン待ちより高くなると考えられます。

④ 結論は?

単騎待ちの放銃率がシャンポン待ちの1/2であれば五分の選択になるという判断基準に対し、単騎待ちの放銃率がシャンポン待ちより高い(少なくとも1/2よりは高い)という推測になりましたので、西家は東切りが優位であると考えられます。

⑤ 南家の北切りはこれで良いのか?

ここで上家(南家)の第一打の北切りについても考察してみます。南家の手は西家よりも手牌価値が低く、親のダブリーに対してはトータルで最も放銃確率が低くなる(ベタオリ成功率の高い)牌を切って、回るのが良さそうです。『統計学のマージャン戦術(みーにん著)』によると、1巡目の無筋19牌の放銃率は3.4%、オタ風生牌が2.4%、役牌生牌が2.1%ですので、2巡目までのトータルの放銃を考えた場合は1mのトイツ落としが優位であると考えられます。

まとめ

以上、南家の北切りと西家の南切りが最善打ではない可能性について考察しました。攻撃者に対しては「なんとなくオタ風牌を切っておけば安全だろう」という感覚は雀士に備わった本能だと思いますが、字牌切りのダブリー(特に一発目)に対しては孤立のオタ風牌をスッと切る前に他にマシな選択がないかを考えてみることが重要だと思われます。

【補足】数牌切りのダブリーに関しては、今回の東・発・南のような単騎待ち選択の序列ができないため、放銃時の打点の影響を考慮して、役牌よりもオタ風牌を切るのが正着となります。







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