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回し打ちの練習

リーチに対する押し引き判断の目安は「テンパイなら押し、2シャンテンなら降り」が基本となり、1シャンテンは手牌と状況次第で押すというのが一般的な考え方かと思います。

その詳細な判断基準については、局収支を元に作成された押し引き表などが参考になります。しかしそこでオリを想定したケースというのは、アガリやテンパイへの復活を考慮ぜずにベタオリすること(=流局ノーテン)が前提となっています。

よって、ベタオリと比較して押すかどうか微妙な手の場合は、アガリや流局テンパイの可能性を残せる分、安全牌を切っての回し打ちが有力になるケースに実戦ではよく遭遇します。

平場の面前テンパイであれば、後手でも追っかけリーチを打つことが多くなるので、よくあるのはダマやフーロ手の低打点テンパイで危険牌を引いたケース、あるいはトップ目などリーチに放銃したくない状況のテンパイで危険牌を引いたケースなどが挙げられます。また、1シャンテン以下の非テンパイからの回し打ちもありますが、それについては後半触れたいと思います。


① テンパイからの回し打ち

単騎待ち以外のテンパイをしている状態で、リーチや高い仕掛けに対して切れない牌をツモって迂回する場合は

※止めた牌が数牌なら
 ①ターツ落とし ②雀頭落とし ③メンツ落とし
※止めた牌が字牌なら(シュンツを作らないので)
 ①雀頭落とし ②ターツ落とし ③メンツ落とし

の順にテンパイ復活しやすくなります。

ただしターツ落としは2種類の牌を切る必要があるので、どちらかが危険牌になる場合は、安全に落とせる雀頭を優先して切ることになります。したがって回し打ちする際はトイツ落としをすることが多くなると言えます。ターツ落としも雀頭落としも可能な場合は、14枚の手牌を見てどちらを落とすのがベターかを考えることになります。

では、以下に具体例を挙げて考えてみます。

サンプル

これは通常はリーチすべき手牌ですが、ここでは回し打ちの練習のため、クイタンで仕掛けている手牌か、もしくは放銃できない立場のトップ目でダマテンにしているとお考えください。

リーチ者の河を適当に作成し、このようなテンパイしている手に任意の牌を引いて自分がどう対応するかを考えてみるとイメトレになります。

パターン1

例えば6sを引いたとすると、ソーズに中ブクレ形が出現します。6sを切れないと仮定した場合、2pのトイツ落とし(ヘッドレス1シャンテン)よりは34mを落とした方が、くっつき1シャンテンになるのでテンパイの復活は速そうです。6sではなく、3sなどの孤立牌をひいた場合も同様と考えられます。もし34mが切れないのであれば、次に2pのトイツ落としを考慮し、それも無理ならどこかのメンツ落としを考えます。どのブロックも丸ごと落とすことができずに危険牌が浮く形でしか回れない場合は、シュンツの端にある安全牌を切ります。例えば6pを切っておけば、25mと36p(フリテンリャンメン)の2メンツ形の1シャンテンになりますので、このあと運良く6sを切りやすい状況になればテンパイの復活があるかもしれません。

パターン2

次に危険牌の7sを引いた場合ですが、こちらはソーズが亜リャンメン形になります。これなら34m落としでも2pトイツ落としでも対応できそうですが、2pを切った方が好形(または役あり)テンパイになりやすそうです。ソーズが4567sなどの4連形になる場合はターツ落としがやや有利とみますが、場況との相談で雀頭落としを使い分けます。

パターン3

待ちのターツ部分の牌が重なり、複合ターツになった場合です。3mが危険で切れないとすると、4mを切ってテンパイを維持するのがベストですが、それも無理な場合は2pのトイツ落としをすることになります。更に2pも切れない場合はいずれかのメンツに手をかけるしかありません。

パターン4

こちらは雀頭に1枚がくっついて複合ターツを形成した場合です。3p(6p)を切れない場合は34mを落とすか、2pを切るかの選択になります。今回のように3面トイツがある場合は比較的テンパイ復活しやすい形と言えます。


以上、我流ではありますがテンパイ時の4つの回し打ちパターンについて取り上げてみました。

今回は分かりやすくテンパイしている状態から任意の牌をツモったという設定にしましたが、実戦で何をツモったかというのは関係ありません。つまり1シャンテンから有効牌を引いて同じ牌姿になった場合も切る牌は同じになるわけですが、先入観なく14枚全体を俯瞰する力がないと、つい違う牌を切ってしまうミスも起こり得ます。そこは日々のトレーニングで補っていきましょう。

それでは、三麻の実戦譜から簡単な例題です。

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ラス前のトップ目でダマで十分なリャンメンテンパイをしているところに、役牌をアンカンしたラス目の親からリーチが入った場面です。

この白はもちろん切る訳ですが、次のツモが来る前の10秒くらいの間に何を引いたら何を切るかを考えておくことが重要です。

また今の段階ならギリギリ押せると判断できる牌があったとしても、次巡以降の危険牌は更に放銃率が上がりますので、いずれ押さない方がよくなるケースが出てきます。宣言牌までの河のイメージを強く持ちすぎてしまうと終盤でも愚直に押してしまうミスを犯しがちになりますので注意が必要です(特に先切りのマタギ牌、筋牌、生牌の字牌など)。

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リーチに対して本命筋の一つである14pを引いてしまいましたので、さすがにこれは切れません。先ほどのパターン3に該当しますが、仮に3pを切ったとしても片割れのないシャンポンになってしまいますので、リスクを冒してテンパイを維持する価値がありません。

よって今回は南切りの一手となりますが、少し状況が変われば3p切りが優位になるケースもあります。その判断は巡目や場況によって変わりますので、やはりツモる前の準備を常にしていないと最善打を切れないエラーを生じてしまう可能性があると思われます。

② 1シャンテンからの回し打ち

1シャンテン(以下)での回し打ちについても、「ターツ落とし→雀頭落とし→メンツ落とし→雀頭落とし→チートイツ狙い」の順で考えていきます。

しかし、テンパイ時に比べると自分の手牌パターンも多くなるため、その都度考える要素が増えてきます。ここでは1シャンテンからの回し打ちでの注意点をいくつか挙げたいと思います。

(1) 他家のテンパイが入っている状態で、2シャンテン以上の手に落として追いつく可能性はかなり低いので、安全牌やほぼ通る牌だけを切って回れるのでなければ、ベタオリになる局面が増えます

(2) 自手の都合を考えて迂回するルートを探すことばかりに集中していると、別の他家への守備が疎かになりやすくなります。

(3) 浮いた牌の危険度だけでなく、裏目の牌を引いた場合に切れるかどうかも考慮します。

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例)
7巡目の子 5sが先制リーチ者の現物の場合
リーチ者に対して3s,4s,6sを切りやすいなら5sを切って1シャンテンをキープする価値もありますが、そうでなければ上記のいずれかの牌(または他の危険牌)を引いた時点でベタオリになることが多くなります。そこで北のトイツ落としで2巡の猶予を与えることにより、8mや5s周囲の牌を引いてテンパイした場合に危険牌1枚勝負で追っかけることが可能になるだけでなく、河の情報が増えて他の有力な選択肢が出現することにも期待が持てます。


(4) 2メンツ形の完全イーシャンテンにおいて、先に放銃抽選を受けて広く受けるか、放銃抽選を先送りにして少し狭く受けるかについては、後者を選択するケースが多くなります(下記の例をご参照ください)。

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例)
6巡目の子 4mが先制リーチ者の現物の場合

打3sも選択肢に入りますが下記の理由で4mを切ります。
・1シャンテンの段階では放銃リスクをなるべく負いたくない
・縦受けは枚数が1枚減っている上に、ピンフがつかない受け入れになる
・3s周囲の牌を引いた場合に34m落としを考慮できる
・危険牌である3s勝負後の4m切りリーチでは、25mの出あがりはほぼ期待できない

しかしあくまで自分の手牌次第になるので、タンヤオドラ3の完全1シャンテンや、親でドラがほとんど見えている場合で、浮き牌にくっつく変化が乏しい場合などは(どのみちその牌を切る可能性が高いのであれば)、先に危険な浮き牌を勝負して広く受ける価値もあります。

(5) 自手がヘッドレスやくっつきの広い1シャンテンの場合は、先手であっても複数の選択の期待値が微差になることが多いものです。そのため後手においても複数の選択肢が存在することから、牌の安全度・打点・テンパイ確率を加味した総合判断で最善打を模索する必要があります。


今回の記事は以上です。


参考図書)
「勝つための現代麻雀技術論」
「鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム」
「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」
「鉄押しの条件」

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