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両翼形のエトセトラ 第2話


2日前の木曜日のこと。

野球ファンとして野村克也さんの急逝で胸が痛む中、私は更に深い悲しみに包まれました。

確かこの記事の半分くらいの下書きを終えたところでした。

交通機関で移動中にスマホで記事の推敲を行い、そこでたった1文のコピー&ペーストを試み、実際にペーストしてみたら

その1文だけが残って、
それまでの下書きが全て消えてしまいましたw


私のスマホのキー操作など誤りだらけ。何らかの誤操作でそうなったことは間違いないのですが、即保存されて元に戻れなくなるシステムは、なんとかしていただきたいものです。

自動保存自体は良い機能だと思いますが、せいぜい30秒おきくらいの保存でも十分ではないでしょうか。誤入力した直後は、すぐに戻りさえすれば元に復元できた方が個人的には有難いと思うのですが…。

ちなみに消える前の冒頭には、PUFFYさんの『渚にまつわるエトセトラ』に関する思い出話が書かれていました。長くなってしまうので残念ながらこれはもうお蔵入りです。


では気を取り直して両翼形の第2話を始めます。

前回の復習になりますが、私が認識している両翼形の代表的なパターンは下記の6種類です。今回はそれぞれについて見ていきたいと思います。

両翼形の代表的な6パターン
① 23345667 + ターツ + 1メンツ
:2と7を加えた形、134568受け
② 23345566 + ターツ + 1メンツ
:2と5を加えた形、14567受け
③ 13345667 + ターツ + 1メンツ
:1と7を加えた形、258受け
④ 13345566 + ターツ + 1メンツ
:1と5を加えた形、247受け
⑤ 13345668 + ターツ + 1メンツ
:1と8を加えた形、27受け
⑥ 22334566 + ターツ + 1メンツ
:22を加えた形、12346受け



① 23345667+ターツ+1メンツ

これについては前回概説しましたので、その補足とまだ扱っていない形について触れます。

受け入れ枚数と得点期待値の記載の注意点についてはこれまでと同様で、今回は主に何切る形式で話を進めていきます。

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前回の記事でソーズの複合ターツが334の形について考察し、ソーズのメンツ部分が789sなら雀頭固定、678sなら3つの選択に大差がないというのが結論でした。では単独メンツが678sで複合ターツが233s(または223s)の場合はどうでしょうか。

※良形固定の打3s
・受け入れ枚数:8種26枚
・得点期待値:1942
※雀頭固定の打2s
・受け入れ枚数:9種26枚
・得点期待値:2557
※両翼形から1枚を切る打3p
・受け入れ枚数:8種25枚(11種36枚) 
・得点期待値:2371

こうなると打3sの期待値がかなり低くなるため、良形固定は明らかにNGとなります。理由は簡単で、タンヤオが消える受けを増やす選択だからですね。素直に雀頭固定の打2sを選択しましょう。


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ターツのフォロー牌がないケースです。メンツに1枚がくっついて、3面待ちの4枚形になっていますが何を切りましょうか。

※打3p
・受け入れ枚数:6種21枚
・得点期待値:2286
※打3s
・受け入れ枚数:8種26枚
・得点期待値:2018

直感的に3sを切りたくなりますが、期待値的には打3pが有利という結果になりました。考えられる理由としては下記の内容が挙げられます。

・最低でもピンフかタンヤオがつく。
・裏目となる6p周りの牌を引いても、3sを切って二次変化に期待ができる。
・打3sで両翼形を維持してピンズ待ちになった場合、端寄りのリャンメンになるとはいえ自分で1枚使った待ちになるのに対し、ソーズ待ちになる場合は3面待ちを含めていずれも優秀。
・26枚vs21枚といった、受け入れ枚数の多い選択同士の比較になると、枚数差の割にテンパイ巡目へ与える影響が小さくなる。

ツモアガリ確率計算機で期待値をシミュレートした場合、多面待ちを含む側の期待値が実戦感覚よりもやや高く出る(=テンパイの受け入れ枚数を相対的に軽視する)印象があるため、この数値から少し差し引く必要はあると思います。しかしそれでも打3sに対して、同等であっても明らかに劣ることはないと見ます。

また、今回は「ドラがない」というのも打3pを考慮する要素になります。逆にドラが2枚以上あれば、良形テンパイの受け入れ枚数を重視する打3sが有力になりそうです。「テンパイしてナンボ」「出あがり可能」「リーチによる牽制」といった要素があるからですね。テンパイまでの受け皿を広くするか、あるいは少し狭めて魅力的なテンパイ形にするか。それは程度にも依ると思いますが、雀士によって個性が分かれて良い部分かなと思います。

ちなみに元ネタはソーズが222356sでドラ7pという設定でした。出典は忘れてしまいましたが、14pを引いたときにドラが出るから3pを切りましょうという解説だったと思います。しかしそれは26枚中7枚分(約27%)の受け入れを考慮した場合に1翻下がるという話ですから、トータルで明らかに分が悪い選択なのであればドラに関係なく打3sとするはずです。筋が被った222356という形ですら、その部分を残す選択があることに驚いた記憶があります。


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こちらは両翼形の部分に7p(または2p)がくっついた形です。さて、何を切りましょうか。

※打2p
・受け入れ枚数:7種21枚
・得点期待値:2729
※打3p
・受け入れ枚数:8種25枚(10種32枚)
・得点期待値:2640
※打7p
・受け入れ枚数:8種26枚
・得点期待値:2549

打7pは両翼形を意識したオーソドックスな一打ですが、今回はそれよりも良い可能性のある打牌が2つあります。

打2pは受け入れは少し狭まりますが、タンピンイーペーコーがはっきり見える選択となり、微差ながら期待値は最大となりました。実はこれは冒頭で挙げた⑥の両翼形のパターンの反転形になっています。他の選択との優劣はケースバイケースですが、選択肢の一つとして押さえておきたいところです。なお、58pが弱い場合は選びづらい選択となります。

打3pも受け入れ枚数と打点面のバランスが取れており、打2pとは甲乙つけがたいです(もしソーズが789sであれば打3pを推奨します)。仮に25sの受けが弱い場況でも、34sの重なりを見られる柔軟性も持ち合わせています。また、ソーズのリャンメン部分が34456sや33445sなどの連続形なら更に良く、良形テンパイが確定する上にタンヤオ仕掛けも可能な万能型になりますので、アガリトップのの局面などでは大変重宝する形になります。

ちなみに7pではなく2pがくっついた反転形(223345667p)の場合は、打6p>打2p>打7pとなるため、打6pが優位となります。理由は打7pとした場合の1pでのアガリが期待値を下げるためです。よって形でパターンを認識して正着を覚えようとするのは、ちょっと無理があると言えそうです。


以上、23345667の両翼形に関する話でした。前回からの連載でとても長かったですが、やはり『キングオブ両翼形』と命名しただけの深い味わいがあることを再確認しました。


② 23345566+ターツ+1メンツ

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次は334566に2と5を加えた両翼形が登場しました。何を切れば良いでしょうか。

※打2p
・受け入れ枚数:6種19枚(7種21枚)
・得点期待値:1567
※打3p
・受け入れ枚数:5種15枚(8種25枚)
・得点期待値:1448
※打3s
・受け入れ枚数:7種23枚
・得点期待値:1568
※打4s
・受け入れ枚数:6種17枚(7種19枚)
・得点期待値:1498

各選択の期待値に大きな差はありませんが、得点期待値が微差の場合は受け入れ枚数を重視しますので、打3sを推奨します。ソーズのシュンツが678sの場合は打2pの期待値が上昇しますので、打3sといい勝負になりそうです。

今回、選択肢を多めに提示してみたのには少し理由があります。

例えば元々の牌姿が、牌図4の2p,3p,5p,6p,4sがない13枚だったことを想像してみてください。

そこに2p,3p,5p,6p,4sをツモった場合、毎回きちんと3sを切れるでしょうか。あるいは、5pがなくてソーズが224sとなっている1シャンテンに5pをツモった場合、スムーズに4sを切れるでしょうか?。

こういうのは慣れもあると思いますが、もしかしたら今回のように最初から14枚を提示された場合に比べると少し難しく感じられるかもしれません。麻雀において一手先のツモを想定するトレーニングは常に重要と考えています。

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334566に4と7を加えた反転形を用意しました。ソーズがこのような形だとして、何を切るのが良いでしょうか。

※打6p
・受け入れ枚数:5種15枚(8種25枚)
・得点期待値:2603
※打2s
・受け入れ枚数:6種17枚(7種19枚)
・得点期待値:2770
※打3s
・受け入れ枚数:7種23枚
・得点期待値:2271

こうなると期待値的に打2sが有利になります。タンヤオは偉大であることを痛感するとともに、似たような牌姿でも切る牌がコロコロ変わる難しさを感じますね。


③ 13345667+ターツ+1メンツ

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334566に1と7を加えた両翼形です。何を切りますか?

※打1p
・受け入れ枚数:6種19枚
・得点期待値:1172
※打3s
・受け入れ枚数:5種19枚
・得点期待値:1182
※打4s
・受け入れ枚数:3種8枚(6種17枚)
・得点期待値:940

この場合は必ずピンフがつく打3sが優位と考えます。打1pの期待値が肉薄しているのは、打1p→ツモ2pのフリテンの影響が考慮されていないことや、ツモ6sの手変わりを考慮しているためなので、あまり気にしなくて良いです。ソーズが678sなら打1pが有利です。


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こちらは牌図6で良形固定(打3s)した形に7pを加えた形の何切るです。

※打1p
・受け入れ枚数:7種21枚
・得点期待値:1522
※打7p
・受け入れ枚数:5種19枚
・得点期待値:1182

こうなると打1pが大差で有利です。牌図3でも紹介した⑥の両翼形のパターンの反転形となるため、期待値が上昇しています。


④ 13345566+ターツ+1メンツ

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334566に1と5を加えた両翼形です。何を切りますか?

※打1p
・受け入れ枚数:6種19枚(7種21枚)
・得点期待値:1566
※打3s
・受け入れ枚数:5種19枚
・得点期待値:1530
※打4s
・受け入れ枚数:4種11枚(6種17枚)
・得点期待値:1211

打1pはツモ6pでもイーペ―コーのテンパイに取れるので微妙なところではありますが、トータルで見るとピンフ確定となる打3sが有利なケースが多いです。ソーズが678sなら打1pが優位です。


⑤ 13345668+ターツ+1メンツ

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牌図6に似た形で334566に1と8を加えた両翼形です。何を切りますか?

※打1p
・受け入れ枚数:1種4枚(5種16枚)
・得点期待値:771
※打3s
・受け入れ枚数:2種8枚(4種16枚)
・得点期待値:830

良形確定にならない形なので、2pと7pの受け入れが残る打3sがアガリ率・打点面ともに有利です。


⑥ 22334566+ターツ+1メンツ

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最後は334566に2か7の対子を加えた両翼形です。何を切りますか?

※打5p
・受け入れ枚数:6種19枚
・得点期待値:1456
※打3s
・受け入れ枚数:7種21枚
・得点期待値:1450
※打4s
・受け入れ枚数:5種15枚(7種19枚)
・得点期待値:1458
※打6p

・受け入れ枚数:5種15枚(8種25枚)
・得点期待値:1431

どれも期待値に大差はないため、微差の場合は良形の受け入れ枚数を重視する打3sが無難と見ます。打5pは平均打点がやや高くなりますが、アガリ率で相殺され打3sに並ぶイメージです。打4sはちょっと選びづらいと思いますが、良形テンパイした場合の価値が高くなるので意外と悪くはありません。例えば、33456677p 233678s(ドラ無し)であれば打2sが有力です。打6pも打4sに近い選択になりますが、147p引き以外のテンパイの仕方に差がありますので、場況等を考慮して決めたいところです。

また、牌図10から打3sとした場合の牌姿に着目すると、先の①②③のいずれのパターンにおいても、一手変わりでこの形が比較で出てくることが分かると思います(①と③については上記でご紹介しました。②との対比は下記をご参照ください)。両翼形の中では比較的良く目にする形ですので、⑥のパターンも是非押さえておきたいところです。

※②と⑥を比較する牌姿:左右対称形になる!
(1)223345566m 345p 67s
 打3m:7種21枚
 打2m:7種23枚
タンヤオの付きやすさで、微差で打3mが優位
(2)334456677m 345p 67s
タンヤオが確定する形なら、手広い打3mか打7mで問題ない。




以上で、2回にわたる両翼形のシリーズはこれにて終了です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


まとめ)
今回はスジ対子に挟まれた334566を軸に考えましたが、223455・445677・556788に2枚を足した8枚形でも同様です。また①以外は左右対称形ではありませんので、それぞれの反転形があることに注意すれば、上記の6パターンのいずれかにほぼ該当します。

四麻では1翻アップの効果が大きいため、ドラの少ない手ではタンヤオがつきやすい構えにすることが重要です。また3面張や高めイーペーコー受けも期待値を上げる要素になりますので、良形受け入れ枚数とどちらを優先するかはその都度の判断が必要です。一方、三麻では抜きドラ等で打点が上がりやすいため、今回推奨した打牌よりも良形受け入れ枚数を重視する選択が増えます。


参考図書)
傑作何切る300選  G.ウザク著 福地誠編


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