なぜ三麻もやっているのか
私の麻雀の通算キャリアは、四麻を10とすると三麻は3くらいかもしれません。特に本格的に取り組み始めたのは天鳳で三麻をやるようになってからですので、実質的にはまだ1年程度といっても過言ではありません。
なので三麻について多くを語れるほどの経験や実績はないのですが、ある程度分かってきたこともありますので、今回は自分にとって三麻がどういう存在なのかを中心に書いてみたいと思います。
(注)記事を投稿したのは2019年12月で、その後適宜内容をアップデートしています。ちなみに最近は三麻ばかりやっていますのでw、経験値はアップしています。
① 三麻と四麻の相違点
「三麻と四麻は別ゲー」とよく言われます。確かにそういう側面はありますが、個人的にはあまり意識していません。また「天鳳は麻雀じゃない」という人も結構いてそれも全く否定はしませんが、結局はルールへの適合性の問題かなと思うので自分的にはやはり麻雀です。
では三麻と四麻でどう変わるのか?。
牌効率、リーチ判断、押し引き、鳴き、ゲームメイク、メンタル、読みといった、麻雀に必要な主要スキルにおける違いを列挙してみました(ベタオリの精度はどちらも同じくらい重要、点数状況判断については別の記事に詳しく書きました)。
例えば三麻と書いてあれば、三麻の方が難易度が高めであったり、ゲームとしての特徴が強いことを表しています(以下、あくまで私見です)。
① 牌効率 三麻
牌種が2種のため、通常のメンツ手でも複合形や連続形の絡む形が多くなり、チンイツの出現率も上がります。単純な牌効率の比較では三麻の方が確実に難しいと思いますが、ドラの少ない四麻では1翻(以上)をプラスする重要性が相対的に高まるため、手役の想定や序盤の構想力という点においては、四麻の方が考えることが多くなります。
② リーチ判断 三麻
状況に応じたリーチの使い分けはどちらも必要ですが、高打点手の出現率が高いのでそれを曲げるかどうかや、愚形テンパイの扱いは三麻の方がやや難しく、悩ましいケースも多いです。
③ 押し引き 三麻
三麻は自分も相手も高打点でテンパイする確率が高いので、押しても駄目・引いても駄目という状況になりやすく、押し引き判断の難易度が高めです。また回し打ちの効果が高くなるので、その技術の差も出やすくなります。総じて三麻の方がやや難しい印象です。
④ 鳴き 四麻
三麻はスルースキルが重要で、逆に鳴く手の見極めが重要です。しかしチーがある四麻に比べれば鳴きの構造は遥かにシンプルであり、鳴きのテクニックの深さでは四麻が圧倒的に上回ります。
⑤ 鳴き読み 四麻
これも四麻で一定以上のレベルに達するのに必要な攻略要素です。ポンで読める範囲はそう多くはないので、やはりチー絡みの複雑性という点において四麻の難しさがあります。
⑥ ゲームメイク 四麻
点数状況による立ち回りはどちらも必要ですが、チーを使える分、下家のコントロールやブラフは四麻の方がやりやすく、選択肢の幅も広くなります。三麻は手が入らないときに回し打ちも利かないとなると、ひたすら耐える展開になりやすいですが、四麻は横移動率を意図的に高めるなど、自分のすべきことが見つかったりもします。
⑦ メンタル 三麻
③の押し引きの項目と関連しますが、三麻は推定の局収支で大差のない判断をしていても実際の結果の偏差が大きくなりやすいです。また短期成績のブレも大きいので、マイナス側に連続して振れた場合のメンタル保持の重要性は三麻でより必要になるかもしれません。天鳳の四麻ならラスを引いて一呼吸、なんてこともよくやりますが、三麻はサクサク打てるので一気に泥沼にハマリやすいといった側面もありそうです。
⑧ 読み全般 四麻
対象人数の多さとチーがある分、四麻の方が情報処理量が多くなり、読みの難易度は高いです。しかしノイズとなる情報や結果にあまり影響を与えない要素もあるので、読みが外れやすく、外れても問題ないことが多くなります。三麻の方が、山読み・手牌構成読み・テンパイ読み・打点読み・待ち読みなどの、場を読む力が自分の成績に影響しやすいと言えます。
② どちらが面白いのか?
・技術介入度の高さ、スピード感、高打点手の成就率といった点は三麻。
・四麻は鳴きに関連する部分の深さや、ゲームメイク、読みの難しさに趣きがある。
それぞれが独立した要素なので、個人的にどちらが一方的に面白いとかはなく、両方楽しいのでやっています。牌効率・リーチ判断・押し引き・点数状況判断・メンタルなど、三麻でよりシビアさを問われる部分は四麻にも活かせると思いますし、不調で行き詰ったときに、もう一つのジャンルで気分転換できるのもメリットです。読みに関しては双方向性があり、四麻で深い読みが出来るようになっている人は三麻でもその能力をいかんなく発揮できると思います。「四麻で読みを勉強したけどイマイチ使いこなせない→三麻なら比較的分かりやすく、実戦で活かせることを知る→四麻に持ち帰る」といった具合に、三麻で読みを磨きながら、四人麻雀に応用するのもありかなと思います。またネット麻雀の場合、対戦結果によってポイント等が動きますが、四麻の東南戦だと1試合あたりの時間がかかり過ぎるので、ネット麻雀は三麻を好むという方もかなりいるようです。
③ どちらが難しいのか?
四麻・三麻を問わず、平面何切るだけでもそれなりに迷うケースがあるならば、三麻の方が難しいと感じることが多くなります。中には「三麻でも牌理は楽勝♪」というレベルに達しているプレーヤーもいると思いますが、それはトップクラスのごく一部の層になりますので、やはり牌効率(牌理)に関しては三麻の方が難しいというのが一般的でしょう。
リーチ判断や押し引きについても、前述の通り三麻の難易度がやや高そうですが、自分の型さえしっかり確立されれば四麻と大差ないレベルには持っていけそうです。鳴き関連は四麻で引き出しの多さを問われます。読みについても四麻の方が判断自体は難しくなりますが、裏を返すと一定の知識さえあれば三麻の方が読める範囲が広くなるので、その分高い精度を要求されることになります(=実力差が出やすいと言えます)。
自分の選択が生んだミスについては三麻で咎められることが多くなります。四麻はミスがミスにならないことも多いためです。その点は三麻の方が難しいと感じられがちですが、逆に言えば自分の弱点に気づきやすいフィールドでもあります。一方、四麻で特徴的な鳴きやゲームメイクについては、自分の中でミスと感じていないことがミスである可能性を孕んでいます。「鳴くべき牌を鳴けていない、アシストすべきなのにしていない、ブラフをすべき場面でしていない」など、自分で気づかない技術を強者の観戦や能動的学習などで会得していく必要があります。
※ざっくりと見て、三麻向きかと四麻向きか
牌理が得意:三麻向き(四麻でも重要だが、より三麻で力を発揮できる)
読みが苦手:四麻向き(逆説的ではあるが、三麻だと実力差が出てきつい)
鳴きが苦手:三麻向き(四麻だと実力差が出てきつい)
④ 自分が感じる二刀流の注意点
・鳴きのアジャスト
四麻で当たり前なポンが三麻で御法度になることは多々あります。逆に三麻ばかりやっていると、四麻で鳴くべき牌に反応できなくなってしまいます。
・押し引きのアジャスト
ここが一番難しく、双方の成績を維持するためには、頭の切り替えができるかどうかが重要となります。四麻の押し引き感覚を三麻に持ち込むと確実に押し過ぎになり、三麻の押し引き感覚を四麻に持ち込むとオリ過ぎになります。テンパイ濃厚者に対して丁寧に打つ三麻の感覚は四麻でも大事ですが、過剰反応と紙一重になるのでそのあたりは中々難しいです。
・先切りする頻度
例えば中盤の完全イーシャンテンでアンパイとフォロー牌のどちらを残すか?という選択になった場合であれば、メンゼン進行が前提の手なら三麻の方が先切りしやすいと言えます(自分も相手も)。もちろん場況や他家との相対速度に依りますが、四麻より牌種が少ないので受け入れ1種を狭めても相対的にテンパイ率が下がりにくく、かつ将来の危険度が高くなるためです。
・三麻のルールへの適応
天鳳三麻を例に挙げると、ツモ損があることでリーチ判断の基準に影響が出ますし、抜きドラがあることでアガれなかった場合の放銃リスクが高くなります。特に抜きドラの存在については、分かっていてもその影響をどの程度考慮すれば良いのかが分かりづらく、結果的に軽視しがちになる側面があるように思われます。また、三麻はフィールドによってルールの多様性もあるので、他のルールから移行する場合はその適応力もかなり重要となりそうです。
・重心の置き方
現在の私は四麻6,三麻4くらいの重心の置き方ですが(数字は適当ですがやや四麻寄り)、仮に三麻側に8以上のウエイトを置くのであれば、いっそのこと三麻専門でやるのもありかな、と思います。
今回自分で書いていて改めて感じましたが、四麻はチーという挙動に特徴づけられる部分が比較的大きいです。しかし、残念ながらこれが三麻に活かされることはほとんどありません。四麻の鳴きや押し引きの感覚を三麻に引きずることはむしろマイナスに作用する可能性がありますので、三麻中心でやるならば四麻をやらないのも手です(ただし四麻に戻れなくなる可能性がありますので、その点はご注意ください)。逆に先に述べたように、三麻で磨いた技術や経験が四麻に活かされることは結構ありますので、50-50に近いバランスなら実力アップを兼ねての二刀流は有効かなと考えています。
「三麻の強い人が四麻でも強い」という通説は至極当然で、麻雀の根幹をなす牌効率、守備、押し引きに加えて、読みの精度を問われる三人麻雀で結果を出している人は四麻でも結果を出しやすくなります。四麻の強者も三麻で結果を残せる可能性が高いですが、特に面前型の人は三麻にアジャストしやすいと言えます。あとは好き嫌いでいうと、鳴きの多様性やゲームメイクを好んだり、少し手を狭めて打点が上がる手作りをしたり、1000点の手でリーチをかわすような状況が好きな人は四麻に向いていると思います。
以上、現時点で感じている三麻と四麻への思いを書いてみました。「現時点」というのは、今後対局を重ねていく上で変わりゆく部分もあるでしょうし、特に三麻については自分が見えてない部分も沢山ありそうだからです。オフ会等で交流する機会などがあれば、ぜひ忌憚のないご意見をいただければ幸いです。意見交換をすることで、お互いの麻雀観を一段と深めていけると思うからです。
最後に余談となりますが、三麻の面白さを知り、それでもなお四麻に惹かれる理由の一つとしては、セットをしたときに単純に四人でワイワイ楽しめる、終わった後に飲んで感想戦で盛り上がる、といったコミュニケーションツールとしての位置付けがあるかもしれません。基本的に人間が好きで、人間観察や人と話をするのが楽しいと感じるならば、競技性と違うところで四麻に少し分があるのかもしれませんね(笑)。
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