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メンチンや多面張の対処法


今回は前回の記事の続きになります。

元々メンチンがあまり得意ではなかった私。7枚形の多面張を一通り把握したあと、数年前に『バビィのメンチン何切る』の本を一読しました。

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そのときは「とりあえず全部読めた」という雰囲気で終わってしまい、読んだ満足感で済ませてしまった感も否めませんでした。

その後「四麻でメンチンなんてほとんど出現しないし、まぁいっかw」というテンションに一旦なったものの

以下の2つのサイトや記事を参考にして、多面張判別の精度向上を自分なりに目指してきました。


前者は『多面張理論』でググると出てくる有名なサイトです。読み込むのは少し大変ですが、根底的な理解には向いており、もちろんメンチンの待ち読みも出来るようになります。どちらかと言うとパターン認識や暗記に頼らない方法です。

後者は前回も紹介した肥え×さんのnoteで、比較的最近読みました。有料記事のため、ここにしか載っていない内容についてはキーワードのみの紹介(フォーメーションベーシック法など)にとどめさせていただきます。

そのため、今回は具体的な説明を省いている箇所が一部ありますので、少々分かりづらい部分もあるかもしれません。

自分の思考法を整理するための記事という側面もありますので、その点はご了承いただければ幸いです。

それでは始めたいと思います。


◉暗刻のない手牌

まずは順子を端から分けていき、待ちを1つ見つけます。

① 順子の法則
単騎待ち・リャンメン(カンペンチャン)待ち・シャンポン待ちのいずれにせよ、順子がくっつくことによって待ちが横に伸びる可能性があります。よって1つの筋を見つけたら上下に伸びていないかを確認します。

② 1筋の法則
暗刻が手牌にない場合、イーペーコーが絡まない限りは、待ちは1筋に限定されます。

※例外形:イーペーコーが絡む4~5連トイツ

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この牌姿は55667788の4連トイツがあり、158p待ちです。

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こちらは4455667788の5連トイツがあるので、4578p待ちになります。

◉暗刻のある手牌

① 暗刻を抜いてテンパイしていなければ、暗刻絡みの多面張にはならない
暗刻を抜いてノーテンの場合、手牌全体がノーテンになっているか、または単騎(ノベタン)・リャンメン・カンチャンなどの通常の待ちになります。

暗刻がない場合と同様、端から順子を抜いて待ちを確認しますが、暗刻が混ざって分かりづらいと感じる場合は、左と右の両端から順子を抜いて確認すると確実です。

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例えばこの手牌ならば147m待ちになります。

また、この考え方は14枚の手牌からテンパイを組む場合にも応用できます。

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上記の手牌であれば6sの暗刻を抜くとテンパイしないため、右からシュンツを抜いて考えます。そうすると11223456+566778になるため、打2sが最善打だということが分かります。



② 暗刻を抜いてテンパイしている場合
暗刻絡みの多面張を作る可能性があります。よってまずは暗刻を抜いてテンパイしているかどうかを確認することが重要になります。

暗刻を抜いた手牌がテンパイの場合、その待ちと暗刻が特定の関係でくっついていると複合形を作る特徴があります。詳細は長くなりますので、最初に挙げた『多面張理論』をご参照ください。

暗刻を抜いて待ちを確認したら、残りの形に暗刻から1枚くっつけると別の待ちが現れます。

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例えば3334456であれば
・333を抜いて4456:47待ち
・4456に3をくっつけて34456:25待ちです。

7枚形や10枚形の多くはこの方法で待ちを確認することができます。


※この方法だけでは不十分な例外形

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3pの暗刻を抜いてカン5p待ち。しかし3pを残りの部分にくっつけても特に待ちは増えません。逆に6pを雀頭と考えると14pの待ちが確認できます。後述の10枚形のところでも触れますが、これは覚えてしまった方が良い例外形で145p待ちとなります。

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5pの暗刻を抜くと67p待ちになり、5pを残りの部分にくっつけると58p待ちが確認できます。それ以外に556677pを抜くと25p待ちがあるので、全部で25867p待ちです。イーペーコーがある場合は別途抜いて考える必要があります。

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暗刻が2つある形です。7pの暗刻を抜いて7pを残りの部分にくっつけると56pと147p待ちが確認できます。それ以外に556677pを抜くと697p待ちがあるので、全部で147569p待ちです。やはり9pの待ちはイーペーコーを抜かないと分かりません。


このほか、暗刻が3つある場合も例外が多くなるので注意が必要です。

このようにメンツを順次抜く方法の場合、複数の的確な抜き方をしないと全ての待ちを把握できない(=時間がかかる)ケースが出てきます。

出来ればメンツを抜く回数を1回にして、見落としなく待ちを見つけたいですよね。そのための画期的な方法が、肥え×さんのnoteにある「フォーメーションベーシック法」です。興味のある方は先述の記事を是非購入して読んでみてください。

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彼のハートの熱さには感激しましたw。

後編に当たるこちらの練習問題もオススメです。一度身に着けてしまえば今後の麻雀人生でずっと役に立ちますので、これを機にブレイクスルーしてみる価値はあるかと思います。


◉まとめ

※メンチンなどの複雑な手牌の対処法

①暗刻がない場合
待ちを見つけたら横に伸びていないかを確認する(待ちは1筋のみ)。イーペーコーがなければ以上で終了。

②暗刻がある場合
(1)暗刻を抜いたらノーテン
①と同じ手順を踏む。
(2)暗刻を抜いてテンパイしているとき
多面張を作る可能性がある。暗刻を抜いた手牌のテンパイ形を確認したら、次に暗刻から1枚をくっつけて別の待ちを確認する。ただし暗刻を1つ抜いただけでは不十分なことがあり、複数のメンツを抜いて待ちを確認する必要性が出てくる。

その点、フォーメーションベーシック法を用いると最小限のメンツの抜き方で判別できることが多く、待ちを速く把握できて見落としも少なくなる(一部例外アリ)。ただしフォーメーションベーシック法を試みてすぐに分からない(閃かない)場合は、素直に暗刻を抜いて考え始めるのが無難。


◉丸暗記オススメの10枚形  《7撰》

さて、少し話題を変えます。

多面張を習得する上で7枚形を抑えるのは必須と考えますが、10枚形でも覚えておいた方が良い形があります。

知っていないと待ちを見逃す可能性がある上に、パターン認識なしで待ちを確認しようすると必ず2段階のプロセスを踏む必要があります。10枚形のパターン自体は沢山ありますが(7枚形から横に伸びたものを含めると全部で69種類あるそうです)、有用度や把握のしにくさなどから下記の7つを選んでみました。①④⑤⑦に見られるように、22234などのエントツ形が絡みやすいのが特徴的です。


① 2223456677:5678待ち

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10枚形の王道です。並びトイツの67の周りが全部待ちになると覚えます。

② 2223334455:13456待ち

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3334455の7枚形に222がくっついた、綺麗な連続形の5面張です。2以外は全部待ちになると覚えます。暗刻が1つずれた1113334455も5面張で23456待ちとなります。

③ 2233344566:145待ち

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いっぱしの麻雀打ちなら最低1度は目にしたことがある有名な要暗記手牌。カンチャンイーペーコーの5とその裏筋が待ちになると覚えます。

④ 2223344455:3456待ち

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3344455の上級バージョンで、6が待ちに追加されます。

⑤ 2223444566:456待ち

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7枚形からは派生できないゴツゴツした形です。222345と22234の2通りの認識の仕方が必要です。

⑥ 2233344457:67待ち

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あまり取り上げられませんが、少し意外な2面待ちです。223334445の部分で3メンツになることが一つ。また1112223457と同じように、57を切り離せば2メンツ1雀頭になるのがポイントです。


⑦ 2223456667:25678待ち

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「3456667、YES!」で済ませると6の待ちを忘れてしまいがちですが、22234に受け替えてみると分かります。このように基本形に暗刻がくっつくことで、分かりづらい待ちが増えるのも多面張の難しいところです。


◉14枚から1枚を選ぶのは難しい


「14枚から何を切るか」の話題についても少し触れておきたいと思います。

まずは13枚の待ち当てからやってみます。

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前回の記事でお話した内容とも関係しますが

メンチンが難しく感じる理由の一つは、メンツが被ることによってブロックが見分けづらくなることにあります。

この場合、456678を抜くことができれば、残りが4445678となるので、答えは35689待ちと分かります。ただし

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これを解くのとは明らかに難易度が違うことも分かるかと思います。

その他の方法としては、分かりやすい667788を抜いて4444556からアプローチする方法や、オーソックスに暗刻や順子を複数抜いて確認する方法など、やり方は幾つかあります。

メンツの抜き方やパターン認識の仕方は個々で違いますので、自分に合ったやり方を構築出来れば良いと思います。多面張に絶対的な学習法がないのはそのためです。


次もテンパイしているメンチンです。何待ちでしょうか。

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答えは147m待ちです。

待ち当ての問題であればはここで終わりますが、実戦において次に控える問題は258mや369mをツモった場合です。

・待ちが広くなるツモはあるか
・打点が高くなるツモはあるか
・場況と合わせてアガリやすくなるツモはあるか

など考えることは沢山あり、しかも14枚目を(基本的には)手牌に入れずに一番端に置いて選択する必要があるため、脳内でのイメージ力も試されることになります。

次はイーシャンテンの13枚です。何をツモればテンパイするでしょうか。

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正解は1p~9pの全てです。

ちなみにこれは、『バビィのメンチン何切る』の1問目の牌姿から拝借しました。問題は「ツモ5pで何を切る?」ですが、どうでしょうか。

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正解は「7pを切って高め一通の23p待ちに受ける」でした。

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ではツモ3pの場合はどうでしょうか。これだと少し難易度が上がるかもしれません。

このように「ツモ5p」という与えられた問題を解くだけではなく、自分でいくらでも題材を作れてしまうところに、14枚何切るの難しさや『バビィのメンチン何切る』の本来の奥深さがあります。


上記の正解は打4pとなります。

1pの暗刻を抜いて1枚切ればテンパイしている→多面張がありそう→「1112346+4567789」のように分けることが出来れば、ロジカルに4か7を切ることも可能です。

多面張の原理として1112346が原形になっているのは間違いないのですが、実際は789を除いた以下の2つの形をパターンで認識していると速いです。

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打4pは5689p待ちで58pでアガれば一通が確定します。打7pも3569p待ちで同じく4種11枚となり、5pでアガれば一通とイーペーコーが付きますので、十分な次善手です。


14枚の手牌から何を切るかは13枚の待ち当てより高度になるため、体系的な理論はまだ構築されてないようですが、『多筋切りの法則』というのもあるようです。

それは「ある牌を切ってテンパイなら、一番多く持っている筋の牌が正着になりやすい」というもので、先ほどの4pや7pが有力になるのもこれに該当しそうです。

つまり、もし選択に迷ったら14枚の手牌の中で6枚以上保有している筋の牌を打牌候補に挙げてみると良い、ということになります。

当然例外はありますが、一定の傾向として知っておいて損はありません。


◉やや難しくなるパターン

最後に、個人的にやや難しいと感じる多面張待ちのパターンをまとめてご紹介します。

基本となる7枚形や10枚形に、一定の関係でメンツがくっつくことで待ちが飛躍的に増えたり、牌の重なりで基本形がボヤけやすいものをチョイスしました。

何回やっても正解できる問題は正解でき、逆に一度間違える問題は次も間違えやすいもの。

自分の中で印象的なものを独断と偏見で選んでいますので、メンチンが気になる方やメンチン好きな方以外は、ザーッと読み流してください。もちろん待ちを覚える必要はありません。


① 1112334:235待ち

この基本形にシュンツを加えていきます。

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1112334に345がくっついて2356待ち。この判別自体は比較的簡単ですが、14枚から別の牌を切ってこの待ちを選択するのは結構難しいため、暗記しても良い形です。

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1112334に456がくっついても2356待ちです。

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1112334に567がくっついて2358待ち。

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更に888がくっつくと123458待ち。567888から5を外して前者に付けると11123のエントツ形が出現するためです(または3567888の複合と認識しても同様です)。これは慣れないとちょっと難しいかもしれません。

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1112334に345と567がくっついて23568待ち

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1112334に456と789がくっつくと23569待ちです。


② 4455566:456待ち

7枚形の中では最弱の部類に入る3面待ちですが、メンツが連なることでかなり強くなる特徴があります。変化形も多彩なため、メンチンの難しい何切るではこれに関連した形が散見されます。

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4455566に234がくっついて12456待ち。234がくっつくだけで3種5枚から5種11枚へパワーアップしますので、このパターンも暗記して良い気がします。ちなみに123がくっついても特にメリットはありません。

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4455566に234と678がくっついて1245689待ち。両側に頼りになる相棒がくっつくと、それはもう鬼に金棒です。

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4455566に345がくっついて246待ち。本来待ちが1種増えるところですが、5が4枚使いになるので3種7枚です。

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7枚形を端に寄せて1122233にしました。1122233に345と678がくっついて1235689待ち。これも非常に強いです。

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1122233に345と567がくっついて123568待ち。ターツが一つズレるだけで待ちが増減する難しさがあります。

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これは2233344456の部分で23467待ちです。更に7の暗刻がくっつくと223344+3456777に受けることもできるので、58の待ちが追加されて2345678待ちになります。少し難しいですが10枚形に暗刻がくっつくと、このように新しい受けが出来ることがあります。

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こちらは2233344に567をくっつけても234待ちで変わりませんが、更に8の暗刻がくっつくと1234待ちになります。223344+3567888に受けるか、または567888から5を外して2233344にくっつけると14待ちのリャンメンが出現します。

これまでにも何回か出てきましたが、手牌に567888などの「順子+暗刻の形」を含んでいる場合は、組み合わせのパターンが増えるので注意が必要です。

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これは丸暗記の10枚形で出てきた4455566777の形。この部分は3456待ちですがこれに234がくっつくと、123456待ちにグレードアップします。

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こちらは4455566777に678がくっついて、345689待ちです。


③ 4455666:3456待ち

トイツと暗刻が連なる基本形のため、メンツがくっつくとゴツゴツしやすくなります。

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4455666に234と789がくっついて134569待ち。上側も下側も両方伸びることができるので、かなり強い待ちになります。

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4455666に234と567がくっついて13458待ち。カンツがある牌姿でカンツ含みの7枚形が待ちにならない場合は、順子を一つ抜いてみると分かりやすくなることがあります。

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これは5566777に234と345がくっついて124567待ちです。

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こちらは2233444に567999がくっついて123478待ち。4を使って233444と4567999の2つの複合形を確認することができます。


④ 2233334:1245待ち

カンツ含みの7枚形は全部で3種類ありますが、メンツをくっつける際に反転形を考慮する必要がありますので、パターンは多彩です。

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2233334に456と567がくっついて124578待ち。

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反転形の2333344に456がくっついて12457待ち

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2333344に567がくっつくと124578待ちです。

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次は2333345の7枚形に567がくっていて12458待ち。ちなみに678がくっていても待ちは同じです。

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反転形の1233334に456がくっついて12457待ち

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1233334に567がくっつくと124578待ちです。

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最後の3つ目は、3345555の7枚形(364待ち)に234と678がくっついて13469待ち。

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こちらは4456666の475待ちに234と345がくっついて1257待ちです。カンツが2つあると混乱必至ですが、原形を見極めることが重要になります。


⑤1112346:56待ち

牌が一つ孤立している基本形のため、シュンツが重なると少し分かりづらくなる特徴があります。この7枚形自体は2種しかありませんが、メンツが複合することで多面張になりやすいため、案外クセ者です。

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1112346に456がくっついて356待ち。1pの暗刻と1pの対子に分ければ待ち自体は簡単に把握できますが、Mリーグで瑞原プロがカンチャン受けに気付かなかったことが話題にもなりました。よってこれは複合形として捉えている方が見落としが少なくなると思います。

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更に234をくっつけてみました。かなり見えづらくはなりますが、1112346の骨格さえ見えれば、356待ちであることが分かります。

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これは4445679の形に着目して、89待ちです。

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そしてこちらも89待ちになります。この基本形は「111234⇄123444」という感じで、筋の暗刻を入れ替えられても待ちが変わらない特性があるため、それを利用すれば同じパターンの一環として捉えることができます。

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これは4445677899の部分に着目して、689待ち

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こちらも「111234⇄123444」の法則を使えば、689待ちであることが分かります。

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これは14枚の何切るです。実戦で自信を持って4pを選ぶのはかなり難しいですが、4pを切れば上と同じ形になるため正着をロジカルに説明することも可能です。

その他「111234⇄123444」の法則が使える複合形には、次のようなものがあります。

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上の形は①で扱った基本形なので568待ち。下の形も同じ待ちになりますが、1112346+567と考えることもできます。実戦で比較的良く見かける形です。


⑥ 2233344566:145待ち

そしてラスボスは、みんなが大好きな変態待ちの発展形です。

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2233344566に567がくっついて1458待ち

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基本形を反転させて端に寄せた1123344455に678がくっついて2369待ち。左右のどちら側に順子がくっついても待ちが伸びる点が面白いです。

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こちらは678の代わりに6の暗刻をくっつけた場合。こうなると1pのシャンポン受けが追加されて1236待ちになります。


以上です。

最後の方は完全に趣味の世界となってしまいましたが(笑)、私自身の判別能力はまだ大したことありません。

上手く出来ないからこそまとめただけですので、理屈抜きで瞬時に分かってしまうセンスのある方や、トレーニングを積んだ熟練者には遠く及びません。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。また、肥え×さんのnoteからは沢山の牌姿やヒントを引用させていただきました。この場を借りて感謝を申し上げます。






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