三麻オーラスのオープンリーチ判断
三人打ち麻雀のオーラス
自分が2着目の南家でピンフドラ2をテンパイしたとします。
トップ目との点差を計算して、跳満ツモでトップが確定する場合、オープンリーチするのが妥当かどうか?を検討してみました。
私なりの答えとしては
「点数状況やルール(ウマの設定など)による」
という結論になりました。
というわけで、以下の2つのルールにおけるスコアや収支(ゲーム代込み)について計算してみたいと思います。
① ウマ 10-20 の沈みウマありのセット
4万点の2着は0で、39000点の2着はー11になります。
② ウマ 0-20 のフリー(0.5)
4万点の2着は0p。39000点の2着は-600pの設定です。
②は沈みウマではありませんが、40000点以上の2着ならゲーム代が免除されるというフリー麻雀。細かい部分は少し違いますが、①も②も体感的には近いルールになります。
◉アガれた場合のシミュレーション
では冒頭にあったようにオーラス、自分は2着目の南家でピンフドラ2をテンパイしたとします。
以下の2つの点数状況を設定し、跳満(オープンリーチ)と満貫(通常リーチで偶発役なし)をアガった場合の結果をシミュレートしてみます。
◉Case1
東家31000
南家31000:自分
西家43000
*跳満ツモ
①-37,48,-11
②+1900p
*満貫ツモ
①-34,-11,45
②-600p
*満貫ロン(東家から)
①-37,-11,48
②-600p
*満貫ロン(西家から)
①-29,44,-15
②+1700p
*流局
①-30,-18,48
②-800p
トップ目の西家は南家に跳満をツモられるとクビを切られるため、閉めリーチをしたときに直撃を取れる可能性もありますが、自分が跳満をツモアガリした場合と満貫をアガった場合の差がかなり大きいため、オープンリーチが有利と考えます。これは自分が満貫をアガってもクビの切れた2着になるのに対し、跳満をツモれば西家のクビも切れるからです。
次に、少しだけ点数状況を変えた以下のケースを検討します。
◉Case2
東家29000
南家32000:自分
西家44000
*跳満ツモ
①-39,39,0
②+1300p
*満貫ツモ
①-36,0,36
②0p
*満貫ロン(東家から)
①-39,0,39
②0p
*満貫ロン(西家から)
①-31,45,-14
②+1500p
*流局
①-32,-17,49
②-800p
Case1に比べると、跳満をツモアガリした場合と満貫をアガった場合の差は以下のように縮まります。
①のルール:59→39
②のルール:2500p→1300p
これは満貫でもクビの2着をキープできるのに対し、跳満をツモっても西家のクビを切ることができないためです。よって、オープンリーチでアガリトップを確定させることのメリットはかなり減弱します。
一方、閉めでも道中で華を抜いたり、一発や裏で跳満になる可能性は50%近くあります。閉めリーチの場合、西家はクビの関係でCase1よりやや守備的になる可能性はありますが、テンパイならトップ確保で押してくることもあるでしょう。トータルでみれば自分のトップ終了にも十分期待が持てるのです。
◉アガれなかった未来も予測する
さて、ここまでは「自分がアガれた場合の話」でした。自分がファーストテンパイならアガれるケースを想定するのは当然ですが、アガれなかった未来も想定する必要があります。
流局した場合は先ほど記載した通りです。オープンリーチをするとラス目の親が詰んでノーテン流局になることもありますが、閉めリーチなら自分に放銃していた可能性があります。流局と放銃における両者の差はCase1よりもCase2の方が大きくなります(Case2の方が閉め寄り)。
次に、自分が失点したりラス目の親がアガって浮上するケースです。
オープンリーチは1翻アップの代償として、自分の手牌を公開することになります。つまり相手が安全に手を進めることができるため、自分のアガリ率:↓、放銃率:↑、他家のアガリ率:↑↑となります。特に他家が比較的まっすぐに手を進められる影響(デメリット)が大きいです。
その結果
・他家がアガる(=自分のクビが切れて終了する可能性が高い)
・自分が他家に放銃する(=ラス落ちが濃くなる)
・親が自分に放銃することなくアガる(=ラス率が高くなる)
自分がアガれずにこのような結末になった場合は、マイナス側に大きく振れて終局することが予想されます。そしてこれらの状況は閉めた場合よりも開けた場合に発生する確率が高いです。
起こり得る全てのイベントについて試算することはできないため、アガれなかった場合の詳細な期待値を出すことはできませんが、これらは先ほど示した跳満と満貫トップ終了の差よりも大きなマイナスになる可能性が高いです。
したがって、自分がアガれなかった場合の要素も考慮すると、Case2に関しては開けずに通常のリーチをするのが有力ではないかと思っています。
もちろんオープンリーチをすれば倍満まで届いて、トップ目のクビまで切れることだってあるでしょう。
いずれにせよ不確定要素が多いので、定量的な評価は難しい(=明確な答えは出しづらい)訳ですが、「跳満ツモでトップが確定するからオープン」という画一的な考え方には少し疑問が残ります。
◉オープンするか迷う場合の判断基準
個人的な見解としてはCase2については閉めリーチがやや優位と考えていますが
どちらにするか微妙なラインの場合は
①自手の待ちの強さ(強いほどオープン寄り)
②華牌の残り(残っているほど閉め寄り)
③5待ちやドラ待ち(閉め寄り)
④自分の河の強さ(適度に強いと閉め寄り)
⑤他家の進捗状況(仕掛けが入っている場合は閉めが有効)
これらを考慮してオープンリーチ判断をするのが良いように思います。①については2333のような多面待ちだと、相手が掴んだ場合に使いづらくなるのでより有効です。
以上より、今回の事例をまとめると
・クビがあるルールにおいて、子で32000点以上ある場合はオープンリーチとは限らない、ということになります。ただしハネツモすることでトップ目のクビを切れる場合(親がトップ目など)はオープン寄りの判断になります。
・逆に31000点以下のときはオープンリーチ優位になりやすいです。特にハネツモでトップ目のクビを切れる場合や、トップ目が親で満貫直撃でも捲れない点差(16000〜20000点差)の場合はオープンリーチに踏み切りやすいと言えるでしょう。
なお、テンパイ近くになってからオープンリーチするかの判断をするのではなく、オーラスが始まった段階で該当する手牌が来たらどうするか?を考えておくと、スムーズな局進行が出来るように思います。
◉その他のケース
①自分がオーラス親の場合
ツモれる自信のある待ちなら良いですが、親が自分の手牌を開けると子に結託されがちです。そのためハネツモ一撃狙いの焦ったオープンは着順を下げやすいので注意が必要です。ただしラス目が6000点差以下(満ツモで飛んでしまう)の場合や、ラス目が7000点〜12000点で縦長の点数状況のときはオープンを考慮します。
②跳満をアガるとクビ2着になる場合
ハネマンをアガってもトップ目無しの子の場合、クビ確保を狙ったオープンをするかどうかについては閉めが良さそうです。トップが狙える状況でも閉めがあるというのに、10程度のウマのために手牌を開けるのは得策とは言えないからです。ただし4面張以上などの広い待ちで、僥倖の倍満で捲れる点差ならば一考の余地はあります。
◉オープンリーチが適している状況とは
今回の記事は、複数の三麻プレーヤーに意見を聞いた上での私の分析になりますが、これで正しいかどうかは不明です。
そもそも、接戦の点差でオープンリーチを打つこと自体が微妙と解釈することもできますので、「点数状況的には本来ラス抜けできれば上等であり、愚直にトップばかり狙うべきではない」と考える人もいるかもしれません(特に沈みウマがないルールが主戦場の場合)。開けることのメリット・デメリットの捉え方は個々でかなり違う印象もありました。
では最後に、オーラスでオープンリーチが適している状況というのはどんな点数状況でしょうか。
◉その1
東家58000
南家44000:自分
西家 3000
閉めリーチでラス目に打ち込まれても嬉しくないため、オープンリーチをしてトップ終了を狙います。ただし自身のクビを切られる可能性は閉めより高くなります。
◉その2
東家80000
南家 5000:自分
西家20000
これもトップ目に打ち込まれてしまうとラス確になってしまうため、オープンリーチで2着浮上を狙います。
※まとめ
降着リスクが低い点数状況において、閉めリーチをした場合に順位変動のない人から当たり牌が出て嬉しいかどうか?でオープンリーチ判断をすると良さそうです。
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