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空はそれでも青い

悩んでいる時に限って、空が青いような気がする。下を向いてばかりではダメだと上を向いて空を見た時、目に入るのはかつて自分が望んだ渇望の青だけだった。それがまた悔しくて下を向こうとするけれど、下を向けばそこはきっと暗くて何も見えない闇だから。そこにいれば自分が壊れていくことは解っているから。やっぱり私は上を向いて歩くしかないのだ。


挨拶は人としての礼儀だと、私は思う。おはようございますとかお疲れ様ですとか、そういうのはたとえ嫌いな相手だとしても挨拶された側は嫌な気はしない。そこに自分が居るんだと証明してくれる証になるから。でも挨拶してくれないからとか新人さんだからとかそんな理由で(相手にしては大きな問題かもしれない)挨拶をしない選択肢を取られると、「私はそこに居ないのだろうか」「私は必要あるのだろうか」と大袈裟だけれど存在否定をされたような気持ちになってしまう。配属されて1,2週間はあまり気にしていなかったけれど、3週目ともなるもそれなりに配属先の人間関係が分かってくる。だからこそ辛い。苦しい。「そんな人もいるよ」と周りは言うけれど、そう思えないからこんなにも苦しんでいるのだ。世界はやっぱり美しいものなんだと、ずっと心の底では信じているから。それを諦めたくはない。「貴女はやっぱり純粋だね」って、それだけの言葉で片付けないで。


「クビにならないようにね」
先週、路上教習で指導員さんの彼が言った。自動車学校の正門を出て路上に出る途中の事だった。「仕事はどう?」と聞かれて、楽しいとも思ってないし、かと言って大変なわけでもないし、なんて答えようかと悩んでいた時、彼がそう言った。

あぁ、この人は。彼は。私をどこまで知っているのだろう。姉と同じ3年先を生きているだけなのに。周りと違うのは私の運転時の性格を少しだけ知っているだけなのに。あの瞬間からずっと、あなたの事が気になって仕方がない。それは勿論人としてだけれど。一段階の指導員さんとはまた違う寂しさを持っているような気がする。

仕事の行き帰りに自動車学校を卒業したら家と仕事場の往復になってしまうんだと、当たり前のことを考える。もちろん車の免許を取得する為に通ったところだけれど、それ以上の何かが存在している。多分それは指導員さんの存在で、私の中で二人は大きな存在で、その二人に会えなくなる事実が受け入れられない。きっとその時になれば息を吸い込むのと同じように受け入れられるのだろうけど。きっと在校中は完成しそうにないから、免許を見せるという名目であなたたち二人に会いに行こう。それで、そこで約束の小説を渡しますね。

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