五月(立夏の頃)

気分屋の雨は落ち着き
曇り空から太陽が顔を出す
新聞の日付の横に
夏を知らせる二文字が載っている

ガレージに放っておいた自転車を
久々に跨って
雨上がりの風が心地よいから
艶やかな道を走っていこう

この道を行けば
まだ誰もいない浜辺に出るさ
許されるだけの言い訳は
ポケットから投げ捨てた

この街に移り住んで何年経つだろう
あくせく生きてきたのは最初だけで
少しずつだけれど仲間もできた
足りないのは色気だけ

孤独なヒーローだと
拗ねていた頃も
聞き分けのない子どもみたいで
愛しい時間

この道を行けば
まだ誰もいない浜辺に出るさ
許されるだけの言い訳は
ポケットから投げ捨てた

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