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とある達人の備忘録14・人生で初めて自分の足で歩いたこと

ー君がFacebookをやめたのがちょうど5年前か。

「5年、もうそんなに経つんだな。」

ー手放してしまうと「ぼっち」になるだろう。そのことに不安は?

「まぁ東京来てから作った『友達』を全てかなぐり捨てるというのは
 正直勇気がいたね。
 東京にいた2年間の努力が全く無駄だった、
 そう自白するみたいなもんだからさ。

 しかし早く『ぼっち』になりたい気持ちの方があったな。
 しがらみがうっとおしくて仕方なかったからね。
 朝カフェの会にも参加しなくなったものだから、
 そのことを批判する者もいた。」

ーあらまぁ。

「起業塾との契約が来年まで残ってるからそこまでガマンしようか、とか
 いきなりいなくなったら、再会を約束してた人にも迷惑かけるんじゃないかって。

 考えれば考えるほど、割とどうでも良くなったね。」

ーいきなり失踪したのだから皆困惑するだろう?

「まあ大方の予想通りだったね。
 ただ一人を除いては。」

ーかつて同僚だった彼か。

「彼だけは『全てから離れて一人になること』を勧めていたからな。
 ようやく彼の言ったことが実現できたわけだ。」

ー日本のことわざでは「船頭多くして船山を登る」とも言うもんな。

「他の人は『なんでFacebookやめたんだ』と首を傾げたり
 困惑する人が多かったな。
 『もっと他に手立てがあったんじゃないか』っていうのもあったけど
 やめなければ新たな道が開けなかったのも確かだと言える。」

ー結局その元同僚とは今でも縁は?

「いや、もうないよ。500人断捨離した時で終わりさ。
 いつまでも頼ってばかりもダメだろう。
 僕には自分の足で歩けるようになって欲しい、というのは
 彼は昔からずっと言っていたんだ。」

ー君が自ら楔を断ち切ることで、それができたというわけだな。

「お互いが望んだ結果になったと僕は信じている。
 唐突すぎるかもしれないし、未練がないと言えば嘘になるが
 これで良かったんだ…、これで。」

ーかつてまで一緒に会社でのストレスを、
場末の居酒屋で慰め合った間柄だった同僚が
大きく進化成長を遂げて、自己実現を果たしたというのは
ストーリー性あって良いよなぁ。

「ああ。僕も鼻が高いよ。
 
 お互いに色んな意味で、また一緒に飲みましょう、
 って気軽に誘える仲じゃなくなったがね。笑

 今まで見た人間の中で、彼の飛躍度合いに比肩する人間は誰もいない。
 彼のおかげで、人間の可能性は無限大だということに気付かされたよ。

 彼はイニシエート(通過儀礼)を受けた人間でも何でもない。

 人はどんなどん底でも這い上がるし、
 イニシエートを受けようが受けまいが
 進化成長するときは爆発的にするんだって。

 今後の人生において、人の可能性を見限らない、
 そんなきっかけになった出来事だと思う。」

ー自分の足で歩く実感をすることが自分でできる。
 そのターニングポイントは人それぞれだが
 そこでどう行動し、何を感じたが大事になるね。

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