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『ファミコン探偵倶楽部』クリア後レビュー

Nintendo Switchで発売された『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』と『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』をクリアしたので記事にしようと思う。エンディングに関するネタバレは無し

『ファミコン探偵倶楽部』はリメイク作品で、1988年に『消えた後継者』が、1989年に『うしろに立つ少女』が発売されていたらしい。(Wikipedia調べ)僕が生まれるよりも前のゲームのため、プレイするまでは内容もほとんど知らない状態だった。

ゲームジャンルはコマンド選択式のアドベンチャーゲーム。ノベルゲームや恋愛シミュレーションゲームっぽい雰囲気ではあるが若干違う。というのも、プレイヤーが選択できる行動が「聞く」や「調べる」といったように簡潔な選択肢になっている。
「聞く」は、「誰」に対して「何」を聞くのか、「調べる」は、「何処」を調べるのかをプレイヤーが考えて選択する。
基本的には選択肢を間違えてもペナルティーは無く、一応コマンド総当たりでもクリアは可能

色褪せないシナリオ

人生の中で数えきれないほどのゲームをプレイしてきた生粋のゲーマーな僕だが、このゲームシナリオの完成度はかなり高いと感じた。特に個人的に凄いなと思ったのは、誰に聞いても分からないと言われてしまう選択肢が存在したこと。
質問する人によって知っている情報が違うため、プレイヤーは色々な選択肢を試してみることになる。Aさんは知らないけどBさんは知っている事みたいな情報を探すためだ。しかし、誰に聞いても「分からない」とか「知らない」と言われてしまう選択肢があった。プレイ中は特に深く考えることはなかったが、ゲームの終盤で「なるほど、だから誰も知らなかったのか」と思う理由があったことに驚いた。
これは、シナリオを読ませるゲームなのではなく、プレイさせるためのシナリオなのだと実感した。

惹き込まれる没入感

動くイラストと豪華声優陣によるフルボイス。これによってかなりの没入感を味わうことが出来る。僕はリメイク前の作品をプレイしたことが無かったが、クリア後はむしろその方が良かったのではと思えるほどの仕上がりだった。
重要なキャラクターは勿論、モブ的な立ち位置のキャラクターでさえしっかりと動いたり喋るため、誰がいつ重要な事を話すのか分からず最後まで気が抜けない。
没入しすぎて、クリアした後は達成感や満足感とは別に、「とうとう終わっちゃった」という喪失感すら感じた。キャラクターに感情移入してしまって、クリア後なのに「この先どうなるんだろう」と考えたりして余韻に浸ってしまった。

コマンド式選択肢は少し不便

「聞く」とか「調べる」などのコマンドによる操作は楽しかったのだが、一部の分かりづらい部分はどうしても総当たりになりがち。同じコマンドを何度か試さないと新しい情報が出なかったりするため、ゲーム進行のテンポが悪くなりやすい。
プレイ中は「もっと改善できたのでは?」と思っていたが、このゲームは元々の完成度が高いため大幅な変更は難しかったのかもしれない。不便ではあったが、そこがまたレトロチックで良かったのかもしれない。

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コマンドが出てきて調査が始まると「さて、何から始めようか」とワクワクした。

『消えた後継者』と『うしろに立つ少女』の違い

内容はどちらもサスペンス。発売されたのは『消えた後継者』の方が先だが、時系列的には『うしろに立つ少女』の方が前の物語になっている。
どちらの作品も単体でも奇麗にまとまったシナリオになってるため、どちらからプレイしても問題ない。引継ぎ要素は主人公の名前のみで特に無し。
僕はどちらのシナリオも好きだが、選ぶとしたら『うしろに立つ少女』の方が個人的に好みな仕上がりだった。

シナリオゲーを購入するのは無駄なのか?

マルチとかで長期間遊べないゲームにお金をかけるのは勿体ないとか、Youtubeとかで実況見れるから買わない方が良いとか思う人もいるかもしれない。人によって意見が異なると思うが、僕は自分でプレイすることに価値を感じるため無駄ではないと思っている。
僕は、ゲームの初見プレイを本当に貴重なものだと考えている。一度知ってしまうと人間の記憶は簡単には消えない。忘れることは出来ても大抵思い出してしまうからだ。
確かにシナリオが一本道のため何度も繰り返しプレイできるように設計されたゲームではない。でも、人生で一度しかできない体験を買ったのだと考えると値段以上の価値を感じる内容の濃いゲームだった。

まとめ

過去作をプレイしたことが無い人こそプレイするべきだと思う。沢山散りばめられた伏線が綺麗に回収された時は本当に快感だった。僕もできることなら記憶を消してもう一度最初からプレイしたい。

『ファミコン探偵倶楽部』シリーズは全部で3作品あるらしいが、『BS探偵倶楽部 雪に消えた過去』は一度もリメイクされたことが無いらしい。もしも、別の新作が出たり幻の3作目がリメイクされたら、是非ともプレイしたいと思う。


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