今、転職を考えている人へ

TLを毎日見ていると、転職をしたいと考えている人が常に一定数見受けられる。

転職を考えているということは、家庭の事情に伴う不可抗力的なものでない限り、少なからず今の仕事・環境に何らかの不満があるのだろう。


世間の転職の9割はズバリ、「より上の環境を求める」ことであると考えている。

それが年収なのか、休日なのか、人間関係なのか、キャリアアップなのか、いずれにせよより良い環境に身を置きたいという欲求に帰結する。

元は自分も転職を経験した身である。自分の場合は異常なまでの時間外労働+対価の不払い+パワハラ(3重苦)とトリプル役満だったので、転職に踏み切るまではメチャクチャ早かった。

当時は新卒入社6ヶ月、一般的に言われる「転職をするなら3年は勤めてから」という風潮に真っ向から逆らっていった。結果としてこれは正解だった。

まぁ、今でも異常なまでの時間外労働は存在するのだが……休日と給与が単純に増え、人間関係も良好なので、現状は満足している。


さて、昨今のコロナ禍により、20年卒も満足な研修を受けられぬまま自宅待機期間へ突入した所も多々あるらしい。

実際、「早く仕事がしたいので、転職を考えています」という新卒の方からの相談も受けた。

自宅待機で初任給出るならラッキー、という思考に逃げない人が多くて凄いなぁと思った(こなみ)。


今回は完全な私見の元、"今"転職するのが正解なのか否かについて書きたいと思う。



自分は所謂「転職エージェント」という職で食いつないでいる。

イメージとしては、リ○ルートとかマ○ナビとか、あの辺を想像してほしい。

仕事を探している人に仕事を紹介して、転職が決まったら企業側から紹介料を貰う、と書けば別段難しい職業ではない。

大手の人材企業は、自社求人媒体の運営、営業(求人を取ってくる人)、コーディネーター(求職者対応)等、仕事がしっかり細分化されているのだが、自分の勤め先は小さい会社なので、営業が全てを兼任する。

上記理由が異常なまでの時間外労働を常態化させているのだが、それはまた別の話。

また大手と違い、ある程度得意な業界・職種も決まっている。

なので今回の話も、全ての業界に通用するものではない事はご容赦。



まずは全てをぶっ飛ばして結論から(書くのが面倒になったとかではない)。

昨今の情勢下での転職は「アリ」。

ただし転職難易度は高い、というのが私見である。


まずは、今転職するのが「アリ」な理由から。

現在、連日テレビやインターネットで多くの企業の倒産を目や耳にする方も多いのではないだろうか。

際立っているのは小売・サービス業界。BtoCは一般消費者に大きく依存するので、営業自粛・外出自粛のダブルパンチは相当堪えるだろう。

大手も、店舗数の削減で何とかやり繰りしているのが現状である。

自動車業界も、海外向けの輸出がほぼストップしている為、Tier1が続々と工場稼働を停止。孫請け以下の部品メーカーは従業員整理を余儀なくされている。


主立った例として上記したが、要は「不必要な会社」「力のない会社」の見極めが容易な時世である、ということ。

今回の騒動で1年も保たず畳んでしまうような会社は、根本的な経営力が欠如していると言ってしまっていい。

生き残りが出来ている会社=長く勤めることが可能な会社、である。

まぁ今のご時世、転職しない人の方が少ないので、長く勤めることにどこまで意味合いがあるかは疑問だけど……。

社内不祥事でも起きない限り、倒産する心配が低い、というのは単純に推せる。


そして、多くの会社が採用活動を止めている中、今も採用活動を続けている企業は、新たに人を雇い入れる力がある企業でもある。

勿論、急な退職が発生したことによる補充採用という面もあるだろうが、それが出来る余力があるという意味では同じだ。

若年層の採用を望んでいる企業は、昨今の情勢下でも自宅待機のような研修ではなく、実務的な研修をメインでやらせてくれる見込みが高い。

先に述べた「早く仕事がしたい」という人は、是非狙ってみてほしい。



次に、転職難易度が高い理由。

これは簡単で、求人母数が減っているからである。

自分も仕事上で体感しているが、採用活動を止めている企業数が格段に多い。

新卒向けの説明会も、開催中止になった所ばかりである(これに関しては、情勢が落ち着けば再開はされるだろうが、それが夏なのか秋なのか、はたまた1年間出来ないのか、先行きは見えない)。

求人自体が減るということは、自分が望んでいる業界・業種・職種を絞っていく上で大きな影響が出る。

それに加えて勤務地・給与・福利厚生etc、条件を絞れば絞るほど、求人数が出てこないのが現状である。


上に付随して、異業種への転職が難しい、というのも理由だ。

同業→同業はまだ良い方で、基礎から仕事を教えなくても良いというメリットが採用側にもあるので、このご時世でも求人は一定数出てくるだろう。

これが異業種への転職となると格段にハードルが上がる。

例えば現在大きなダメージを受けている小売業。

転職にはどうしても一定の経験・スキルが求められる。専門性のある職種であれば、若ければ学生時代の専攻でゴリ押しできる場合もあるが、物売ってました!だけで飛び込める業界は根本的にそこまで多くない。

自分が今一番多く受けている相談が「サービス業界にいましたけど、IT職を目指したいです!」というもの。

断言させてもらうと、現状ではほぼ無理なのが現実である。

独学→即フリーランスまでいけるスキルがあれば何とか道はあるのだが、それが出来るならまず転職相談なんてしないよね……。

更に深堀りすると、上のような層は「よく分からないけど、Webデザインやりたい!」とか、ふわふわした希望だけで飛び込んでくるので、そういう時は優しく「今だと良くても最初は運用・監視ですよ……」と諭している。

その"運用・監視"ですら未経験からいけるものが減っているのだから、受け皿が無いという意味で転職は困難だろう。


分かりやすくサービス業→IT業界への転職を出したが、元々職種を変える転職自体が非常に難しいものだ。

エージェント側も、何とか経歴と人柄から推せるポイントを見繕って、推薦状に薄く引き伸ばした内容の推薦状を書いて、それでも書類通過するのは2割くらいなのが現状である。


先にも書いたが、幸い同業→同業は年齢制限が無ければ求人は一定数出てくるので、キャリアアップ等で転職を考えている人は現情勢下でも相談ベースで転職エージェントを使ってみて良いと思う。



主語がデカい話をすると、まだ今も仕事があるだけ幸せなのは間違いないので、ふわっとした気持ちで今転職するのはお勧めしませんよ、という事を、相談しに来た人には最近常に伝えている。


また情勢が変わったくらいで、今転職するのアリ?ナシ?題材で書こうかな。

やる気があれば。







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