“多すぎる”登場人物がおもしろさの秘訣/”解説ブログの管理人”が改めて振り返る「ゲーム・オブ・スローンズ」視聴のコツ

※スターチャンネルEX、BS10 スターチャンネルでの本作の配信・放送は終了しております※

BSスターチャンネルでは8月7日(金)~11日(火)にかけ、「ゲーム・オブ・スローンズ」全73話を一挙放送!今回は、初めての方はもちろん、かつて途中で視聴離脱してしまった方にも全話視聴完走を目指して頂くべく、非常に詳細な解説ブログを運営されているKENさんに、改めてその魅力と視聴完走のコツを教えて頂きました。

こんにちは。「ゲーム・オブ・スローンズ」が好きすぎて、全シーズン全エピソードの解説/感想をブログに書いてしまったKENと申します。

このたびはスターチャンネル様がnoteを開設するということで、「『ゲーム・オブ・スローンズ 』を途中で離脱した方のために、このドラマの魅力を紹介してください!」と依頼をいただいたのですが、、

少々驚いております。

「え??こんなおもしろいドラマ、途中で離脱する人なんているの?!?!」

「まさか、そんな人いないよね?!?!」

まあでも、冷静に振り返ってみると…。

「ゲーム・オブ・スローンズ」は何もかもスケールが大きすぎて、最初の数話はシチュエーションが飲み込みづらいですよね。(むしろ、序盤からストーリーを理解し、ハマった人はものすごく稀なはず)

というか、登場人物が多すぎます。シーズン1の後半くらいまで、「コイツはだれ?アイツはなに?君は初登場か?それとも前からいたっけ?誰誰誰誰誰誰誰」と軽いパニックに陥ります。

今思えば、私自身そんな経験をしました…。

でも、ちょっと待ってください!

世界一おもしろいドラマを、たったの数話だけで諦めないでください!

ここからは「ゲーム・オブ・スローンズ」を途中離脱しちゃうであろう原因を説明したうえで、このドラマの本来の魅力をお伝えいたします。

「ゲーム・オブ・スローンズ」を途中で挫折してしまう原因
• 登場人物が多すぎてついていけない
• 誰が主人公が分からないからどうやって見ればいいのか分からない
なぜ「ゲーム・オブ・スローンズ」はおもしろいのか
• 登場人物が多いうえ、主人公がいないように設計されている
• 特定の主人公がいないからものごとの見え方が多面的になる

「ゲーム・オブ・スローンズ 」を途中で挫折してしまう原因

もしあなたが「ゲーム・オブ・スローンズ」を途中でやめてしまったのなら、それはシーズン1の前半あるいは折り返し地点あたりではないでしょうか。

挫折してしまう理由は、おもしろい以上に、難しいというイメージが強いからだと思います。たしかに、このドラマはわりと複雑でいじわるです。というのも、基本的に説明や解説がありません。

• キャラクターはめちゃくちゃ多いのに、これといった人物紹介がない
• ナレーションは一切ないし、説明口調のセリフは少なめ(登場人物のセリフはあくまでも自然な流れから生まれる)
• 舞台はコロコロ変わるのに、地理的解説もほどんどない(第1章第1話だけある)
• フラッシュバックを使った状況説明もなし(とある人物が特殊な力で過去を“見に行く”ことはあるが、物語を説明するための描写ではない)

基本的に説明がないから、最初の数話を見ただけでは理解できないことだらけです。

なかでも「登場人物多すぎる問題」は誰しもがぶち当たる“壁”だと感じています。

「ゲーム・オブ・スローンズ」は、とにかく登場人物が多い。

関係も複雑で、兄弟じゃなくて異母兄弟だったり(スターク家に交じってるジョン・スノウ)、そもそも兄弟じゃなかったり(スターク家に交じってるシオン・グレイジョイ)。

名前も似てるから覚えづらく、

• Targaryen(ターガリエン)
• Tully(タリー)
• Tarly(ターリー)
• Tarth(タース)
• Tyrell(タイレル)

「T」が多すぎます。もう少し工夫してほしいです。(タリーとターリーは一緒だと思ってたせいで、初めて観たときはかなり困惑しました笑)

さらに言うと、特定のキャラクターにスポットライトが当たり続けることがないので、誰が主人公で誰が脇役かが分かりません。

主人公が分からないから、ストーリーがあっち行ったりこっち行ったりして、どうやって(どの視点で)みればいいのかナゾです。

でもね、そこなんですよ。

「登場人物が多すぎて誰が主人公か分かんない」からおもしろいんですよ。

なぜ「ゲーム・オブ・スローンズ」はおもしろいのか

「ゲーム・オブ・スローンズ」はよく「主人公がいない」と言われているのですが、この表現は大正解だと思っています。

このドラマの何がすごいって、脇役のような登場人物でも物語の主役となれることです。

誰を主人公とするかは自分次第。

• ラニスター家の落ちこぼれティリオン
• 北のリーダーでスターク家の長男ロブ
• 玉座奪還をこころみる少女デナーリス
• 鉄の玉座の争いに参加していない落とし子ジョン

でもいいし、自分の推しを自分の中での主人公にして、その人物を中心にして物語をみるのもOK。(そうすることで、おもしろさは倍増します!)

主人公を自分で決められるのは、ものごとの見え方が多面的に描かれているからです。

「ゲーム・オブ・スローンズ」は、立場や価値観が異なる様々のキャラクターに焦点があてられます。同じ出来事でも、

• 戦争に行く/戦争に行かされる
• 裏切る/裏切られる
• リーダー/サポーター
• 女性/男性

の視点で物語が進行するので、いろんな角度から楽しめます。

このドラマには完璧な英雄はいません。“良い人”はひとりもいなくて、善人の中に悪があれば、その逆もしかり。

さらに、善悪の境界線がはっきりしていません。なにが白でなにが黒か、区別をつけられないことだらけ。

また、推しのキャラクターが必ず共感できるような行動をとるかというと、そうでもない。

逆に、嫌いだったキャラクターの視点で物語をみると、今まで感じなかった意識が芽生え、推しに生まれ変わることもある。

そもそも「ゲーム・オブ・スローンズ」はひとつの玉座(スローン)を争う戦争物語(ゲーム)です。

ただ、同じ戦争でも

• 王(女王) として自分の世界をつくりたい人
• 家族のかたきを討ちたい人
• 弱い者を守りたい人
• “遺産”を残したい人
• 愛する者 だけ を幸せにしたい人

など、キャラクターたちの目的も、信念も、存在意義も、ぜんぶ違います。

そしてこの物語は多種多様なキャラクターに焦点があたり、つぎつぎと視点が変わることで、ものごとの見え方が多面的になります。(ストーリーは一方通行ではなく、多方向からみれるように工夫されている)

何が正解で何が不正解とか、どっちが“良い”とか誰が“悪い”とか、一括りにまとめることは、ほぼ不可能に近いのです。

だから特定の主人公はいないし、なんだったら推しのキャラを自分のなかで勝手に主人公にして見ることもできます。

途中で「ゲーム・オブ・スローンズ 」視聴をやめてしまったあなた。

たしかに、このドラマの登場人物は多すぎるかもしれません。特定の主人公がいないから、どうやってみればいいのか分かりづらいかもしれません。

でも、多すぎる登場人物は、このドラマの醍醐味です。特定の主人公がいないことが、このドラマのポイントです。

次からは、立場や価値観が異なる“多すぎる”キャラクターの視点を意識しつつ、もう一度「ゲーム・オブ・スローンズ」に挑戦してみてください。

世界一おもしろいドラマは、あなたの時間を裏切りません。

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