小島瑠璃子 編・最終章完結から1年。あの人に聞いてみた「ゲーム・オブ・スローンズ」の魅力

※スターチャンネルEX、BS10 スターチャンネルでの本作の配信・放送は終了しております※

ベストエピソードは“第三章 第4話「穢れなき軍団」”

「ゲーム・オブ・スローンズ」は、ベストエピソードを1つ選ぶには難しいドラマだと思いますが、中でも私がこのエピソードを選んだ理由は、デナーリスというキャラクターの描かれ方がとても印象的だった点です。

デナーリスはこのシリーズの中でも天と地があるキャラクターだなと思います。すごく厳しい状況から始まって、味方や仲間を増やし、奴隷を解放しながらどんどんのし上がっていく女性で、視聴者としてもずっと彼女を応援して見ていたんですが、ここで彼女が奴隷を束ねていた親方をドラゴンを焼き殺すんですよね。その理由は分かるんですが、彼女の“狂王”としての片鱗が見えた1話かなと思います。

ほんとに「ゲーム・オブ・スローンズ」の面白い所は、“キャラクター全てが善、全てが悪“というのが無くて、人間っぽいところなんですよね。デナーリスの、奴隷を開放しながら歩いている心優しい一面もありながら、奴隷を使っている人達には一切の予断も許さずに、一斉に焼き殺させちゃう、ある意味彼女の残酷な一面も見れた回かなと思いました。

あとはもう一つこのシーンで気持ちいいのは、見たことがある人は良く分かると思いますが、デナーリスがヴァリリア語というのを話せないと思って奴隷を束ねる側の親方はすごく失礼なことを彼女に言っていたんですね。“アバズレ”だとか、デナーリスに対しての失礼な表現を、ミッサンデイというすごく頭の良い女性がデナーリスに伝わらないようにオブラートに包んで通訳していたんです。デナーリスは悪口を言われているのを分かっていて言わずに取引をしていて。で、奴隷を手にした瞬間に翻してヴァリリア語でしゃべりだす、そのデナーリスのカッコ良さ!見ている側を、やってくれた!気持ちいい!と痛快な気持ちにさせてくれるポイントもあります。爽快感と、今後この女性はどうなっていくんだろうという少しの不安、この2つがあって、私はこのエピソードが忘れられず好きになりました。全部見終わった後にも、あのシーンだけ見てみようかなって思ったエピソードです。一つに絞るのは本当に難しかったのですが、デナーリスが好きですね。ドラゴンも出てきますし。ドラカリスも本当にカッコイイんですよね。

デナーリスとドラゴンは切っても切り離せない、親子みたいな関係ですが、見ているうちに、これがCGだとは思わず、本当に存在しているかのように見ています。それが「ゲーム・オブ・スローンズ」の素晴らしい所で、世界最高峰のスタッフさんやCG技術にお金もめちゃくちゃかかっていると思いますが、見ている側も本当にそういう世界があるんだと思って見てしまいます。ドラゴンというファンタジーの生き物が出てきているのにも関わらず、見ていてそれが本当に起きていることのように思える、そういうところがすごいなと思います。

「ゲーム・オブ・スローンズ」にハマったきっかけ

ハマったきっかけはよく覚えているんですけど、「ゲーム・オブ・スローンズ」っていう世界一面白いドラマがあるっていうのをまわりから聞いていて、でも見るのにすごく体力が要るって聞いていたんです。たしかにそうですよね、シーズン8まで、各10話ずつぐらいあって。勧められた友達には、シーズン1は絶対全部見てと言われて、見ていたんですが、登場人物の多さとシーンもあちこちに飛ぶので結構戸惑っていたんです。ただ、ほかの皆さんもそうだと思いますが、“これだ!ここでハマった!”という瞬間があります。

主人公だと思って見ていたエダード・スタークがシーズン1で死んじゃった所ですね。あそこで本当に衝撃を受けて。しかも、エダード・スタークってめちゃくちゃ人格者だし殺されていいような人ではないんです!それが、娘2人の前で首を切られて残酷に殺されるんですよ。どんなドラマだよ!っていうのが正直な感想でしたが、“このドラマ、なにが起こるか本当に想像がつかないなっ”ていう。それでハマった瞬間がはっきりわかりました。

あともう一つシーズン1の終わりで、デナーリスが炎の中からドラゴンと一緒に出てくるシーン。あれもすごく爽快でカッコいいんですよね。「ゲーム・オブ・スローンズ」は、シーズン1でしっかりハマるようにしているのがすごいですよね。シーズン1で体力がいる、登場人物が多いドラマだって分かっているのにハマらせるストーリーがすごいなと思います。

好きなキャラクターはアリアとハウンド

好きなキャラクターはアリア・スタークです。北部のお嬢様の生まれでありながら色んな運命に翻弄されつつ、アリアが「ゲーム・オブ・スローンズ」の中で1番シンプルに自分の能力を上げて、政治でも結婚でもなく自分の腕一本でのし上がっていった、というのがすごく好きです。

「ゲーム・オブ・スローンズ」は第一章から最終章まで、10年。アリア役でこの女優さん(メイジー・ウイリアムズ)はデビューされていて、彼女も10年の間に成長していくんですが、顔のきりっとした感じとか引き締まっていく感じが、ドラマの中でのアリアの成長とぴったり合っていて気持ちがいいです。

アリアは両親も殺され、家族とも離れ離れになっていて、そんな中でも色んな人との出会いや縁もあり、剣の腕も磨いていきます。アリアの一番好きなシーンは、アリアと姉のサンサが再会した時に、リトルフィンガーが姉妹の仲を引き裂こうとするんですが、実は姉妹は裏で結託していて、リトルフィンガーの今までやってきた悪事を裁こうとする。その時のアリアの剣がすごくいいですね。ニードルっていうすごく細い剣で0.2秒くらい一瞬で。因縁の相手を何の感情もなく“ピン!”って頸動脈切って、戻って、終わりっていう。あのリトルフィンガーをアリアがあっけなく殺すところがもう…。

リトルフィンガーは、人の力とかいがみ合いとか策略でのし上がって自分の思いを叶えてきた人物。対するアリアは自分の腕一本で実力を磨いてここまで生きてきた人で全く生き方が違う。スタイルが全く違う2人だからこそ、アリアがリトルフィンガーを殺す時にめちゃくちゃあっけないのがいいな、と思いました。アリアみたいな状況はなかなか有り得ないんですが、女も腕だな、ちゃんと力をつけて着実に上がっていく、成長していくのが必要だなカッコイイなと思いました。アリアは大好きですね。

もう一人の好きなキャラクターは、アリアと不思議な関係を築いたハウンドですね。アリアが復讐する人の名前を繰り返し言いながら旅をしているのですが、ハウンドもその中に入っているんです。どうやっても心から好きにはなれないし、仇ではあるんですが、2人は微妙な関係で、一緒に旅している時の2人の絆というものは確実にあるんです。ハウンドもアリアをすごく守るんです。一番ショックなところは彼女に見せないようにするとか、彼女を守って戦うシーンもたくさんあります。アリアにもそれがやっぱり伝わっていて、仇だけど、2人の中には切っても切れない絆ができている。そういう2人の不思議な距離感を描いている点も「ゲーム・オブ・ローンズ」のすごいところだと思いますね。

敵にしたくないのはサーセイ、味方にしたいのはリアナ

「ゲーム・オブ・ローンズ」の仲でも敵にしたくないキャラクターは、サーセイですね!サーセイが敵だったら最悪です!自分の目的を果たす為だったら何でもする、どんな犠牲をはらって構わないっていう。何がどうなっても構わないっていうのは怖いですね。サーセイだけは敵に回したくないですね。

逆に味方にしたいキャラクターは、モーモント家のリアナ。彼女は小さい体でモーモント家を背負っているんですけど、シーズン8の戦いの中でも本当に大活躍でした。スターク家に従う一家の中であの娘が引っ張っていってくれたおかげですごく盛り上がって、みんなの団結力を高めてくれていました。すごく年下のキャラクターではありますが、ああいう芯の通った女性でありたいと思いました。好きなキャラクターでもアリアとリアナにしようと思ったくらいです。人気キャラクターだと思います。

「ゲーム・オブ・スローンズ」を長く見続ける秘訣

見続けることにかなり体力がいるというのはほんとの事なのですがそれは私も友達に勧めるときに必ず言います。びっくりされちゃうので。でも“シーズン1を見て”、に限ると思います。ハマるポイントがいっぱいあるので。

あと私が「ゲーム・オブ・スローンズ」を友達に勧めるときに必ず言うことが、分からないところをストレスに感じないで!ということですね。全て100%理解しようと思って進んでいくと、これなんだろうと思った時にストレスになっちゃいますよね。「ゲーム・オブ・スローンズ」ってすこし抜け落ちてても回を重ねていくうちに、何度も同じキャラクターが出てくるので、だんだんピントが合っていくんですね。100%理解しようとせずに、こういうシーンがあるんだってちょっと流しちゃっても大丈夫。後から全部繋がって感動できる様に設定されているので、常に100%の理解でなくてもいいと思います。CG映像に感動して、お金かかってるなー!とか。キチキチとせずに、その時その場を楽しんで見てください。

「ゲーム・オブ・スローンズ」の良さは、一人一人の人間臭さが丁寧に描かれているところなんです。憎しみ・愛情・忠誠心とか、時間を追って見ていくとそれぞれのキャラクターにすごく深みが出てくるんです。特に、ジョラー・モーモントというキャラクターがいて、デナーリスに忠誠心が厚くて尽くすんですが、最後の方で病気にかかったりして、それでもデナーリスの所へ戻ろうとするんです。ジョラー・モーモントの忠誠心を見ていると頭が下がるし、本当にデナーリスへの愛情もあり、忠誠心だけではなくて。キャラクターの深みもシーズンを通してみている中で出てくるんです。これはシーズンを見続けないと…。渋いおじさんの心意気みたいなものは見れば見る程深まっていきますね。

「ゲーム・オブ・スローンズ」を人と共有するときのオススメの方法は?

私も「ゲーム・オブ・スローンズ」を広めようと色々試みたのですが、やっぱり長くて…。長くて見られないだとか、体力がいるという方には、まずはシーズン1から見てみて!と勧めて、そこからベストシーンとかを共有して話すのが良いかと思います。

「ゲーム・オブ・スローンズ」の面白いところは、どっちの目線に共感できるかとか、名悪役は誰だ!推しキャラは誰か!とか、を見ている者同士で盛り上がれるところ。このドラマを私に勧めてくれた人は、まさかのサーセイが一番好きなんですよ!?サーセイですよ!そんな人いるのとか思ったんですけど、そういう人がいるくらい結構意見が分かれるんですよ。その人が言うには、サーセイだけは、特殊技能も、ドラゴンも、何の能力もなく、ただただ女の能力だけでのし上がって、最後ちゃんと好きな男と死ぬ、という…。そんな考え方があるのか!と思いました。「ゲーム・オブ・スローンズ」の中でも、どのキャラクターを1番に推すかによって、今まで自分が仲良かった人の感性とか一面がうかがえるという…。好きなキャラクターが本当に分かれるので、推しキャラを語りあいながら見てみる、そういう楽しみ方も良いんじゃないかと思います。

デナーリスのヘアスタイル

今日の私のヘアスタイルは、デナーリスを意識しました。私のオススメエピソード(第三章 第4話)でデナーリスがしている髪型なんです。何度も映像を止めて、メイクさんと楽しくつくりました。「ゲーム・オブ・スローンズ」のお仕事は今日が初めてだったので、めちゃくちゃ楽しみに来たんです!なので、メイクでも、関われたことが光栄だと、愛が伝わればいいな、と思いました。

© 2020 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and related channels and service marks are the property of Home Box Office, Inc.