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北原コレクション①「東京駅」

 2013年12月24日から2014年1月4日までの2週間、東京駅前の新ビルを会場とする大規模展示会、「増田屋Vintagetoys展」が開催されました。1724年創業の老舗玩具メーカー増田屋の倉庫に所蔵された3千点のお宝玩具を初公開する企画でコレクターにとっては、夢のような展示会でした。

 展示品の目玉は、1996年のサザビーズオークションにおいて、落札額1千万円(諸費用込)というブリキ玩具史上最高額を付け、話題となったマシンマンロボット。

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 また、戦前の玩具については、戦災等により失われてしまったため、北原さんが戦前の増田屋製品を多数提供し、展示。もう1点、増田屋製ではありませんが、会場が東京駅前の施設であったことにちなみ、東京駅の古いブリキ玩具が特別に展示されました。

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 実は、この特別展示された東京駅の玩具は、目玉展示品のマシンマン以上の超稀少品。北原さんは、この東京駅をみんなに見てもらおうと、入手後、2013年4月の高島屋展示会、同年6月のBSフジの特別番組、同年11月の日本テレビの人気番組、ちょうど展示会のタイミングに出た新刊のコレクション写真集と立て続けに紹介。何か、その入手できた喜びや熱い気持ちが伝わってくるようです。

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 東京駅舎が完成したのは、1914年。この東京駅の玩具は、おそらく1930年頃製造されたものですが、現存はこの1点のみ。世界のどこを探してもこれ以外にないと考えます。その魅力的なビジュアルとクオリティの高さが時代背景とあいまって、玩具が文化財として認定されるとしたら、必ず選ばれるべき歴史的お宝と考えます。

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 本体は、東京駅辺りの情景を凝縮。左側にレンガ造りの東京駅、中央に高架部分をはさんで、右側に皇居と二重橋、遠景には、富士山を配置。中央高架上の街灯の左右に松と桜があり、右側のハンドルをまわすと、右上の鐘を鳴らしながら、高架上の電車が右に左に動く仕掛け。

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 行き交う人たちや車両の様子も細かく描かれており、当時の情景を制約のあるブリキ素材で見事に表現。素晴らしい造形とプリントです。箱は、日本画家の手によると思われるような上質な構図と描写。さらに、90年前のものでありながら、本体、箱の奇跡的な完品状態に驚きます。

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 モノには物語がありますが、北原さんが入手したことにも物語があります。このような戦前の古い玩具を最高状態で入手することは奇跡という他ありません。展示会では、何気なく飾られていましたが、実は、目玉のマシンマン以上の超稀少品、世界に誇るべき日本の至宝です。

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