人は1人では生きられない

金曜日、父が息を引き取った。

いつも通り会社で働いていたら「明日面会に来るとは聞いているけど、今日来られない?」と施設の人が電話をくれた。「意識のあるうちに会わせてあげたい」と。

堪えきれず泣きながら早退したい、と伝える私の言葉を遮るように行きな、すぐ行きな、と部長が言ってくれた。

夫に連絡を入れた。仕事中なのに五分もしないうちに俺もすぐ向かう、と返信が来た。

叔母にも連絡した。今行く、と返事が来た。

電車に揺られながら会社の後輩にメールした。こっちは何の心配もないから存分にお父様に付き添ってあげてください、と言ってもらった。

施設に着くと、所長が部屋まで付き添ってくれた。施設の職員の人たちがかわるがわる顔を見に来て思い出を話してくれた。

叔母が来た。泣きながら父に声をかけた。

夫が来た。そっと顔に手を添えた後、肩をさすりながら父に声をかけてくれた。

叔母が施設から私の実家まで車で送ってくれた。自分の家と正反対の方向で、1時間かかる距離を。おかげで、後で取りに来ようと考えていた父の私物を全て施設から引き上げることができた。

翌る日、近所のお世話になった人へ挨拶をし、父がお世話になった人たちへ電話を掛けた。みんなが驚き、泣いてくれた。

近所の方が香典を持ってきてくれた。私から地域の世話役の方に話しておいたよ、何かあれば言ってね、と声をかけてもらった。

訃報を伝えた人の中でどうしてもお線香をあげたい、と言ってわざわざ車で1時間かかる距離をすっ飛ばして家まで来てくれた人がいた。立派な花まで持って来てくれた。泣きながら私の知らなかった父の姿を話してくれた。


きっと人との繋がりって自分で思い描く輪の外側に二重にも三重にも輪が存在している。誰かが誰かを支えて、支えられた人がまた別の人を支えて…、そうやって目に見えないような距離から自分まで繋がっていて、支えられている。どれだけ孤独を感じていても、人付き合いを避けているつもりでも。人は1人では生きられない。

優しくありたい。できる限り。人との出会いを大事にしたい。億劫がらずに。

twitterの人に「ブログでやれ」って言われないようにアカウント作りました。違うブログで台湾旅行や入院や手術に関してお役立ち情報書いてます。よかったら見てください。 http://www.ribbons-and-laces-and-sweet-pretty-faces.site