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「分析病」に陥っていませんか?目先に一喜一憂せず、インフルエンサーに頼るのもほどほどに。

普段はコロナワクチン・治療薬の話題を主に書いてきたこのノートですが、アメリカのマーケット転換期を迎え-特にアメリカのハイテク・グロース株からの資金流出を目にして-、どのように次の局面を迎えるべきかを一人の投資家として書きたいと思います。

「あのインフルエンサー、言うこと変わったなあ」。こう思うことありませんか?もしそれを不満として抱いているのなら、他人の意見に頼り過ぎているかもしれません。本来投資というのは自分で判断するものであり、他人の経験や勘を自分のトレードに活かしたいのであれば、ベテランに資金を預けてしかるべき手数料を払わないといけません。それが「投資信託」という仕組みな訳です。
インフルエンサーが発信する情報は無料か、少額の費用で手に入れられます。彼らは情報を薄く広く提供することにより、1人当たりが負担する手数料はミニマムになります。彼らは投資顧問業の免許や法的責任を負わない代わりに、安く情報を提供しています。まあ言ってしまえば互いに無責任な立場が前提で成り立っている「事業」なのです。
それを無視して「あのインフルエンサーはひどいじゃないか」などと不満を持つようになってくると、それは「アイドルの握手券を買い続けたら振り向いてもらえる」と考える人と似たような状況になってくるので危険です。彼らは貴方のために働いている訳ではありません。世の中に出ている情報とは適度な距離感が必要となります。

さて毎日メディアやインフルエンサーの発言をあちこち追っていると、陥りやすいのが表題に書いた「分析病」です。「なぜ今日は持ち株の価格が下がったのだろう」「なぜ指数は動いたのだろう」。そんな疑問に日々理由を提示してくれる情報は心強いです。しかしここで考えてみてください。いろいろなところにもっともな分析が提示されていますが、そこまで頻繁に値動きの理由を知る必要があるでしょうか?
マーケットの動きは読めません、市場のことは市場に聞け、ほぼすべての投資参加者がこのように言います。だから明日のことはわからない。聞いても当たらない。世の情報を妄信してはいけないと誰もが知っています。
それでも一生懸命時間やお金を削って情報を取ろうとするのはなぜでしょう。それは私達が「不安で仕方ない」か「相場を張るのが趣味」のどちらかではないでしょうか。

貴方がデイトレーダーでない限り、毎日の値動きに心をとらわれすぎる必要は無いのです。それは精神的に病む原因になります。もし「不安で仕方ない」場合は、投じる金額を減らした方が良いです。それか指数のETFなど動きの幅が狭い物に変えましょう。インフルエンサーの情報なんて追っかける必要がなくなります。「相場を張るのが趣味」だと思うのであれば、多少のアップダウンは楽しめないといけません。もし失敗をしてしまったら経験値として消化すれば良い、とどっしり構えれば良いのです。
つまりどちらにせよ毎日情報を追っかけて、自分を納得させないといけないという状況は「分析病」であると思います。理由なき物に理由を求める。少し深呼吸して別のことをした方が良いかもしれません。

そうは言っても今、ハイテク・グロース株や、私のようにズームなどWFH株をたくさん握って不安を抱えている人も多いと思います。人によっては夜も眠れないでしょう。私の経験上、この局面で集中して考えないといけないのは「投資先企業が今をピークに利益を出せなくなっていくかどうか」だけです。マーケットの一挙手一投足を気にする必要はありません。もしその企業が、少なくともしばらくは、利益を今以上に生み出せるのであれば、株価は必ず元に戻るか上がります。しかし例えばバイオ株のように売上が無い企業や、実績無く期待だけで上がっている企業は、流れが引くと戻ってこないリスクがあり注意が必要です。その見極めだけです。

ズーム $ZM やぺロトン $PTON 、家にいる人が多いことにより伸びてきた企業ですが、コロナのワクチンが出来たら今をピークに業績は下がり続けるでしょうか? アマゾン $AMZN やネットフリックス $NFLX 、本当にもう注文する人が減ってしまうでしょうか?それだけ考えていたら大丈夫です。それすら見当もつかないようでしたらもっと勉強しましょうということになりますが。もちろん、売ってしまってもっと値動きの良い銘柄に早く乗り換えようというのもひとつの手です。大事なのは、他人がこう言ったから損切りしたとかそういうことではなく、自分の投資スタンスを確立する必要があるということです。

銘柄に惚れるな、とはよく言ったものですが、私は真逆のスタンスを前から貫いています。それは「この経営者なら、この企業なら、うまく乗り切れるに違いない」という企業に長期で集中していくスタンスです。アマゾンやソフトバンクやテスラを見ればわかるでしょう、どんなビジネスモデルでも経営者次第で結果が大きく変わります。彼らの繰り出すアイディアは他人の一歩先を見ており、何度経営危機が来ても乗り越えています。そして彼らのビジネスは初期のアイディアに捉われず時間とともに変化していきます。私はそんな経営者の企業に長期で投資していくのが趣味です。資本主義のロマンです。逆にもしそういうストーリーを見ることなく、「業績ボロボロだけど割安だから」「よく知らない会社だけど誰かが勧めているから」という理由だけで、大きく張ることはしません。

インフルエンサーは自分の事業を守るために言わない人もいるでしょうが、私達の投資先は別にアメリカの株でなくても良いのです。無理して知らない株に投資する必要などありません。例えばディズニーとかナイキとかなら商品に思い入れがあるので良いですが、何が悲しくて知らない資源会社や、行ったことのないレストランや、利用したことのないお見合いサイトに大金を投じないといけないのでしょう。いつ公募増資や業績修正、不正などにぶち当たるかわかりません。それなら日本株に戻って任天堂やソニー、または自分が利用して良いと思う店の株などを買った方が、結果はどうあれずっと健全です。

また国の金利が上がるということは、元来、株式市場から資金が逃げ出すことを指しているのであって、ディフェンシブな株に資金が流入することを指している訳ではありません。つまりアメリカの市場から資金が出ていく理由になります。それであれば、別の知らないアメリカ株を買いに向かうよりもまだ金利の低い国の株式に資金を移した方が確実です。
ヨーロッパに住んでいるので、今後もしアメリカの金利が上がり成長企業から資金が抜けるなら、今コロナで滅茶苦茶な欧州市場に資金を振り向けようか考え中です。(あるいは中国や他の新興国か)
私はインフルエンサーではなく趣味でノートを書いていますので、もしこれを読んでいる皆様がアメリカ株をやめてしまったら、お目にかかることもないかもしれませんが、そういった視点も持った方が良いと思います。

大事なのは目先に一喜一憂せず、他人の言うことを妄信せず、広いスタンスで投資を考えることです。

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