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【行政書士試験FIRST STEP】行政事件訴訟法の全体像を把握してみよう②

 皆さま、お疲れ様です。
 平日の昼間から、マイク前でバカ騒ぎしてしまう系行政書士の鈴木です。
 自主的に制作しております、行政書士のラジオ番組「立ち上がれ」は毎週水曜日21時に投稿しています。受験勉強の合間にお聞きいただければ幸いです。

 さて、前回に引き続き行政事件訴訟法の全体像の把握について解説していきます。今回は取消訴訟の訴訟要件について解説していきます。


訴訟要件=あなたは取消訴訟できるんですか?

 訴訟要件と言われても、正直に言って、どういうことか分からないと思います。

 極限までかみ砕いて解説しますと、訴訟要件とは「結局、あなたは取消訴訟できるんですか?」ということです。

 俺は国から直接被害を受けていないけど、被害を受けた親友がかわいそうだから俺が国を訴訟する!

 これがまかり通ってしまうと大変そうだな、というのはなんとなくイメージできますよね?

 誰でも訴訟ができてしまう世の中だと、裁判所の許容量以上の訴訟が提起されパンクしてしまうのは容易に想像できると思います。

 そのため、ある一定の条件をクリアした場合のみ訴訟提起できるとしたわけです。その条件のことを一般的に訴訟要件と言います。

訴訟要件を満たさない=門前払い

 では、訴訟要件を満たさなかった訴訟はどうなるのでしょうか。

 それは有無を言わさず門前払いです。
 この門前払いのことを行政事件訴訟法では却下判決と言います。

 行政不服審査法でも却下裁決が出てきたと思います。今は同じようなものだと覚えておきましょう。

 考えるまでもなく終わり、悲しいですね。

取消訴訟の訴訟要件は3本柱!

 訴訟要件は「処分性」「原告適格」「狭義の訴えの利益」の3本柱と考えます。

取消訴訟の訴訟要件

※処分性、原告適格に比べて、狭義の訴えの利益については重要度が低いと考える方もいますが、大量の判例を暗記しなければならないという点は同じなので、私は同等に3本柱と考えています。

 行政事件訴訟法が他の試験範囲に比べて、暗記量が多めな原因はこの訴訟要件にあると言っていいでしょう。
 この3本柱にはそれぞれ判例が存在し、その判例の結果や事件背景について記憶しておく必要があります。

 最終的には参考書や予備校で紹介されている判例を全て頭に叩き込む必要がありますが、まずは全体像の解説をしていきましょう。

処分性→本当にそれって行政処分って言えるの?

 処分性とは、「取消訴訟の対象となる行政処分かどうか」ということです。

 では、「取消訴訟の対象となる行政処分」とはどんなものをいうのでしょうか?

 判例では

 公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうちで、その行為により直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの

 を指すとされています。自分で書いてて「何言ってんだ?」となっているんですが

 要約しますと

  1. 国民に命令できる立場の国や公共団体の活動

  2. その活動によって、特定の個人が持っている権利や義務を奪われたり、制限されている状況

 これが満たされていれば取消訴訟できるということになります。
 まだ分かりづらいと思いますので、さらに私なりに噛み砕いてみますと

 お偉いさんが、自分に対して命令してきたり禁止してきた!

 というイメージでしょうか。

 重要なのは特定の個人に対して、具体的でなければならないということです。

 例えば、国民全員に対して

 明日から消費税10%にします!

 と言ったとしてもそれは処分性を有しているとは言えません。ただ、

 明日からお前だけ消費税100%な!!

 となった場合は特定の個人に対して具体的であるので処分性を有していると言えます。

次回予告

 次回は残りの訴訟要件の「原告適格」「狭義の訴えの利益」について解説していこうと思います。

 次回もお楽しみに!

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