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hidekのエンジニアと長話 第7-3回【全文書き起こし】~ゲスト:Supership exCTO 山崎大輔氏~

stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」7人目のゲストは、Supership exCTOの山崎大輔さんです。

「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに作っていくスペシャルトーク番組です。

第7-3回の今回は、Supership exCTOの山崎大輔さんをお招きして、アドテクノロジーや3rd Party Cookie問題、エンジニア社長の起業などについて語りました。

※本記事は、2021年6月25日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。


ゲスト
山崎大輔(@yamaz)氏
Supership exCTO

メインパーソナリティ
hidek(木村秀夫)氏 @hidek
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)

パーソナリティアシスタント
gami(池上)氏 @jumpei_ikegami
株式会社プレイド エンジニア

広告配信システムの技術的な話

hidekさん(以下、敬称略):そうですね。僕、ちょっと、やっぱり山崎さんのキャリアを聞いてて。広告業界が好きで、そこに対してのモチベーション、熱い愛を先ほど聞かされたんですけど。聞かされたというか(笑)。

山崎さん(以下、敬称略):はいはい。

hidek:広告配信システムで、一番テクニカル的に難しいところって、僕ちょっとあまりここを通ってこなかったので、どういうところが難しいんですか?

山崎:まず、「広告システムの難しさ」というか「大量配信システムの難しさ」として、スケーラビリティが保たれていないとダメだとか。あと、極端に配信量が多いわけですよ。

hidek:はい。

山崎:月間で言うと数千億で、たぶん1日で言うと30億アクセスとか? 違うな。5〜6千億アクセスあったので、1日で言うと2〜3百億アクセスくらいあるんですよ。

hidek:うん。

山崎:で、当然ピークに合わせないといけないので、然るべきインフラを合わせなきゃいけないんですけど。広告システムって、大抵のWebメディアにとっては収益の根幹じゃないですか?

hidek:はいはい。

山崎:だから、落とすの禁止なんですよ。

hidek:なるほどですね。

山崎:だから、例えば「1日落としました」という話になると、30分の1の収益が吹き飛ぶわけなので。落とすの禁止なんですよ、簡単に言うと。

hidek:はい。

山崎:だけど、機能はめっちゃ追加しなきゃいけないし、トラブルは絶対禁止だし、だけど、何千億アクセスと食ってるから安くやらないといけないって話になって。いろいろ厳しいんですよ。

hidek:なるほどね。

山崎:で、Yahoo!の例なんですけど、Yahoo!って、当時たぶん全部で20億アクセスくらいあったと思うんですけど、1日に。

hidek:うんうん。

山崎:全部で。で、トップのページが2億くらいあって。検索ページが2億くらいあって、ヤフオクが1日3億あった、とかそんな感じだと思うんですけど。広告って1ページに5個とか出るじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:で、しかも、全部のシステムを預からなきゃいけないので、20億あると大体100億くらいアクセスがあるわけですよ。

hidek:はいはい。

山崎:そうなると何が起きるかというと、Yahoo!で一番アクセスがあるのってヤフオクなんですけど、3億。今はわからないですけど。だけど、広告システムは1日100億やってるわけですよ。だから、30倍くらいのアクセスを食わなきゃいけない、という話で。

hidek:はい。

山崎:1日にね。それを安く早くミスなくやらなきゃいけない、って話がだいぶチャレンジングなんですけど。それはそれで、広告システムってめっちゃ金を儲けてるシステムなので、ワールドワイド的に投資がめっちゃされているわけですよ、儲かるから。

hidek:はい。

山崎:だから、それに耐えうるようなシステムにちゃんとなってて。それをちゃんと理解する、っていうのはめちゃ楽しいですね。

hidek:なるほどね。そこって端的に言うと、当時だとオンプレのサーバー。

山崎:オンプレです。

hidek:オンプレですよね。なので、オンプレで、かつ、ストレージもハードディスクだと思うので。

山崎:はい、そうです。

hidek:なるべくI/Oに落とさないというのが重要かな、っていう。

山崎:そうです。

hidek:分散させたメモリシステムを。

山崎:メモリから、全体的に1個のメモリに見せる仕組みとか。

hidek:ですよね。

山崎:memcachedとかまさにそうじゃないですか?

hidek:はいはい。

山崎:1個の、共通のメモリのように見せる、みたいなシステムとかは、やっぱり自前で作らなきゃいけなくて。memcachedの出るちょっと前だったんだよな。そうそう。

hidek:なるほどね。

山崎:GoogleとかYahoo!とかほかの会社とかは、memcached相当はみんな持ってたんですよ。

hidek:なるほどなるほど。クラスター化されたキャッシュストレージシステムというか。

山崎:そうです。で、かつ、データレプリケーションシステムだとか、ここに書いたら速やかにレプリケーションされるシステムだとか、RPCをめっちゃ高速にするための、GoogleだとQUICとかあるじゃないですか、ああいう仕組みとか、みんな持ってたんですよ。

hidek:うんうん。

山崎:これは、Yahoo!が持ってたから「ほかも持ってるに決まってる」っていうあれなんですけど。

アドテクノロジーは面白い

hidek:だから、広告配信システムの肝って、いかに大量に配信する。今言ったような「1回メモリに載っけるか」みたいなところと、あとは出し分けのアルゴリズムですよね。

山崎:そうですそうです。

hidek:出し分けのアルゴリズムって、結局さっき、Googleは世界中クローリングしてコンテンツを分析して出し分ける、ってことをたぶん今もやってるし、当時からやってると思うんですけど。

山崎:うん。

hidek:そこでの工夫って、例えばどういうのがあったんですか?

山崎:そこは2つ話があって、どんなターゲティングみたいな話があっても対応できるアーキテクチャと、それを投入してもシステム的には崩れない不思議なアーキテクチャ、みたいなそんな感じなんですけど、それを両立しなきゃいけなくて。

hidek:うんうん。

山崎:あと、機能追加とかに対して対応しなきゃいけないので、それに対応するためのアーキテクチャ、っていう話で、コンピュータサイエンスの力は相当借りましたね。

hidek:うーん。

山崎:すごく面白い。そこは本当に面白い領域で。ここで言うと長くなっちゃうんであれなんですけど、すごく面白い領域ですね。

hidek:なるほどね。結構、アドテクノロジーって幅が広いな、って思って。例えば、今お話しされたのって、たぶんマシンラーニングみたいなことを、当時使っていたかはわからないですけど。

山崎:ええ。

hidek:普通に使うでしょうし。広告がちゃんと配信された、クリックされたかどうか、みたいな分析の仕組み。

山崎:そうですね。そうですね。

hidek:も、たぶん必要だし。あと、たぶん、泥臭いところで言うと、入稿の仕組み。そういう管理ツール的なものも当然いるし。

山崎:ええ。

hidek:結構、アドテックって幅が広いから、面白いは面白いな、って気はしますよね。

山崎:そうなんですよね。あと、やっぱりね、広告配信システムの一番いいところは、金を稼いでるところがすごくいいんですよね。

hidek:なるほどね。

山崎:要するに、お金稼いでないと投資もできないじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:で、大量配信しなきゃいけないから、いわゆるコンピュータサイエンスというか工学的な、コンピュータテクノロジーですよね、それを極めなきゃいけない、っていう話と。

hidek:うん。

山崎:あと、ビジネスの話と、さっき言った機械学習みたいな話があるから、アカデミックな話が、3つが同時に、ビジネスとテクノロジーとアカデミックがちょうど交わってるジャンルなんですよ。

hidek:うんうん。なるほどなるほど。

山崎:で、このジャンルって、検索とか、最近ECが増えてきましたけど、あんまりジャンルとして少なくて。

hidek:うんうん。

山崎:普通の、ちょっと言葉悪いですけど、最近ニュースとかもだいぶ進化してきましたけど、そういう感じで、結構少ないんですよね。だから、そういう点で言うと、広告システムはすごく今でも面白いですけどね。

3rd Party Cookie問題と今後

hidek:なるほどね。でも、そんな広告業界も、結構、最近だと、Webだと3rd Party Cookieが……。

山崎:3rd Party Cookieね。そうそう。

hidek:たぶんスマートフォンネイティブアプリケーションのプラットフォーム、言うたらAppleとかGoogleなんですけど、がIDFAみたいなところをオプトイン化させる、みたいな。結構「逆風吹いてるな」みたいに思うんですけど(笑)。

山崎:うんうん。

hidek:その辺って、技術的にオルタネイティブ案というか代替案みたいなのってあるんですかね? あれってどうなっていくんですかね?

山崎:まず、根本論の話で言うと、GoogleもAppleも「サードパーティによるユーザートラッキングはなしだよ」っていうことを言ってるわけですよ。

hidek:はい。

山崎:すごく雑にはね。だから、本当はWebでよかったはずの「One to Oneマーケティングが殺される」って話なんですけど。それはそうですね、と。だから、どこまで代替技術でカバーしようと思っても、そこは絶対に乗り越えられないんですよ、中長期的には。

hidek:なるほど。

山崎:なんですけど、ちょっと話をいくつかにわけたくて。技術面は置いておいて、まず、ビジネス面で言うと、じゃあ、「サードパーティデータが取れない」「自分でメディアを持っていないデータに関しては取れない」という話になったときにどうなるかと言うと、広告予算は変わらないんですよ。

hidek:なるほど。

山崎:例えば、コカコーラさんとかが、「広告予算が全部で月10億円ありますよ」ってなったときに、「テレビにはこれくらい」「ラジオにはこれくらい」「新聞にはこれくらい」って話になって割り分けるわけです。で、「広告には例えば5億円くらい突っ込みますよ」って話になったときに、ターゲティングはできなくなったんですけど、もともとターゲティングってできなかった時代があるので。

hidek:たしかに(笑)。

山崎:そういう時代に戻るだけで、広告予算は5億円、インターネット広告に流れる、ってこと自体はたぶん変わらないんですよ。

hidek:あー。

山崎:だって、インターネット広告を抜きにして……。「じゃあ、テレビでターゲティングなんてできるんですか?」って話じゃないですか?

hidek:うんうん。

山崎:で、ユーザーの可処分時間って言って、ユーザーの時間って「インターネットとテレビ、どっちの方が多いですか?」って話をしたときに、今はもしかしたらテレビの方が多いかもしれないんですけど、インターネットを無視するわけにはいかないじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:で、そのときに然るべき金額を投資しなきゃいけないって話になったときに、インターネット広告全体で言うと、投下される予算は、効果はもしかしたら下がるかもしれないんですけど、一緒ですね、と。

hidek:なるほど。

山崎:あとね、もうちょっと俯瞰した考え方になってほしいんですけど、今まで、例えば「インターネットに5億円投下したら1,000万ユーザーにアクセスできましたよ」って話になったとするじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:例えば。ひとりのユーザーになんかしらのアテンションするのに50円だったとするじゃないですか。っていうことは、インターネットのアクセス自体に1,000万人にリーチするための手段が何かあるはずなわけですよ。

hidek:そうですね(笑)。はい。

山崎:で、今まではターゲティングっていう、One to Oneマーケティングで上手にやってたんですけど、「それが使えなくなるから、それをなんとかしなきゃいけない」っていう技術課題が今度生まれたわけなんですよ。

hidek:うんうん。

山崎:それでも、「なんとかフィルタリングして、いい1,000万人を取るような抽出をする」っていう技術問題に変わったわけなんですよ。

hidek:はい。

山崎:だから、そういう点でいうと技術的にも面白い。予算は変わりませんよ、と。雑に言うと。

hidek:はい。

山崎:じゃあ、メディアはターゲティングできなくなっちゃって、抽出するのが難しくなったけど、口実的には、それを抽出するための魚は……。僕が言ったらまずいんですけど、そういう拾わなきゃいけないユーザーはいますね、と。

hidek:うん。

山崎:じゃあ「それをどう抽出するか」っていう話。それは技術の問題に帰結するわけですよ。

hidek:うんうん。

山崎:だから、そういう戦いに変わっていくから、相変わらず話は変わってないんですよね。

hidek:なるほどね。そっかそっか。だから、「個人をトラッキングして最適化する仕組み」っていうのは、流れ的に、個人情報の観点から……。

山崎:それはもう無理です。

hidek:それは逆流することはもう無理です、と。そういった中で、そこを効率というよりは、どう面を取っていくのかちょっとわからないですけど。予算は変わらない中で、「その予算をどういう風に使っていくか」っていう議論に今、移っている、っていう。

山崎:だから、予算は変わんないから、「その中で同じユーザーをどうやって抽出するか」っていう風に変わったんですよね。

hidek:うーん。なるほどね。

山崎:もしかしたら、当然、One to Oneマーケティングっていう手段が使えなくなったので、やっぱり技術的には難しいんですよ。だから、公開はするんですけど、当然。ただ、そこにはちゃんと「ユーザーと広告を引き合わせるための土壌」は存在するわけなので、広告メディアには。

hidek:うんうん。

山崎:ターゲティングができなくなっただけで、ユーザーと広告自体をマッチングさせるための土壌というのは変わらないわけなんですよ。

hidek:うんうん。

山崎:だから、そこをなんとかしなきゃいけない、っていうのが今後の課題になっていくだろうな、っていうのが、とりあえずその言い訳。

hidek:うんうん。なるほどね。

山崎:ただ、やっぱりここ難度は高くて。

hidek:はい。そうですよね。

山崎:やっぱり難しいだろうな、とは思ってるんですよ、単純に。

hidek:はいはい。

山崎:ただ、「インターネットメディアを無視して広告する」っていうシナリオはあり得ないので。

hidek:うん。

山崎:そこは変わらないので。で、かつ、じゃあ、それのできなくなったのが、「Supershipはできなくなって、フリークアウトだけはできるんです」みたいな話になったらそれは問題なんですけど、みんな等しくできなくなったので、そこはいいことなんですよ。それはGoogleもできなくなったので。まあ、Googleはなんとかすると思うんですけど。

hidek:(笑)。

山崎:いろいろズルして、いろいろやると思うんですけど。そこはやると思うんですよ。まあ、そういう感じになっていくので、そういう点ではイーブンなんですよ。だから、話としてはそんなにネガティブじゃないんですよね。

hidek:個人的には、個人情報保護の観点とかっていうのはウェルカムというか、そういう流れだし、一個人としても、そこがなくなっていくと安心安全にインターネットを使えるな、という思いはある一方で、プラットフォームとしてそういう仕組みを提供してたのに、いきなり梯子をはずすっていうのもひどい話だなぁ、と思いつつ(笑)。

山崎:あー、そうですね。でもね、フリークアウトの本田さんがこの間noteに書いてたんですけど、「One to Oneマーケティングをやりすぎた弊害」っていうのも実は生まれてたんですよ。One to Oneマーケティングが生まれた結果、ひとりひとりをターゲティングし過ぎることができたので、ユーザーのアテンションを、「ちょっとキャッチーな広告を出して、とりあえずユーザーをクリックさせて、向こうで10クリックくらいさせるサイト」ってめっちゃあるじゃないですか?

hidek:はいはい。

山崎:あれが今のメディアの最適解みたいな感じになっちゃって、「いいメディアを作る」っていうモチベーションを、One to Oneマーケティングをやり過ぎたせいで奪っちゃった、っていう側面もあるんですよ。

hidek:なるほどね。

山崎:だけど、そうではなくて「もっとフワッとしたターゲティングしかできません」って話になると、そういう手法が使えなくなるので、もっといいメディアを、もっとちゃんと本質的に来てもらうようなメディアを作らないとダメ、みたいな世界観って、今後出てくるだろう、って話を本田さんは書かれていて。それは本当に本質的なんですよね。

hidek:なるほどね。たしかに、そうすることによって、メディア自体の進化というか。

山崎:そうです。

hidek:よい方向に向かうっていうのもあるし。よいメディアが生まれれば、そこに、個人をマッチングさせるというよりは、コンテンツとマッチングさせる広告みたいなのがどんどん流行っていくでしょうし。

タクシーCMの成功例

山崎:そうそう。それですごく成功しているのがタクシーCMで。

hidek:はい。

山崎:タクシーCMって、SaaSのサービス、めっちゃ出てるじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:で、あれ、なんでかって言うと、SaaSのシステム、「これを使おう」って決済する人って偉い人じゃないですか?

hidek:はい(笑)。

山崎:偉い人ってタクシー乗るんですよね。

hidek:なるほどね。

山崎:だから、タクシーにSaaSのサービスがめちゃ……。

hidek:あー。「b→dash!」みたいな。

山崎:そんな感じじゃないですか。

hidek:はいはい。すごくわかりやすいですね、今の例え。

山崎:あれって、別にターゲティングしてるわけじゃないんですよ。

hidek:はいはい。

山崎:One to Oneターゲティングはしてないんですよね。

hidek:はい

山崎:で、あれは誰も損してないんですよ。

hidek:たしかに。

山崎:だから、ああいう世界観が本来は望まれる世界なので。

hidek:なるほどね。

山崎:っていう感じです。

hidek:なるほどですねー。以前、自動運転業界というか自動運転事業みたいなところにちょっと一時期関わったことがあって。

山崎:はい。

hidek:その中で言われてたのが、密室の空間になるじゃないですか?

山崎:はい。

hidek:そうすると、カメラとかがあって、その人を、乗ってくれた人を視認して、その人をターゲティングできるから、その人に向けた広告を出す、みたいな。まさに今ダメって言われているところを結構やろうとしてる流れが……。

山崎:ダメです。

hidek:ダメですよね。そうじゃなくて、タクシーに乗る人は一定決裁権がある人で、だからそこにSaaSを、決裁権を求める、みたいなところは、すごくわかりやすくて健全でいいですね。

山崎:そうですね。

hidek:なるほどね。うんうん。で、そこにまた新しいマッチングの技術だとか、そういうところに特化した、場に特化した……。

山崎:そうなんですよね。

hidek:そういう風になっていくってことですよね。

山崎:そういうような、逆にオペレーションだとか、どうすればお客さんとメディアとかを上手にマッチングできるのかな、っていう風なテクノロジーの方が発展するっていう可能性は結構あるな、とは思ってるんですよね。だから今回の話は、瞬間的には、広告業界的にはマイナスなんですけど、中長期的には、結構ポジティブじゃないかな、って話もあるんですよ。

hidek:なるほどね。

山崎:で、僕はそれは結構支持したい、って感じですね。

hidek:なるほどですね。そうですよね。例えば、わかんないけど、タクシーみたいな移動体に対してリアルタイムに配信する仕組みって、5Gみたいな出てきて、そこに技術貢献みたいなのも出てくるし。じゃあ、5Gで効率よく広告を配信する技術だとか、なんかどんどん移っていって、面白いのかもしれないですね。

山崎:そうですね。

hidek:うんうん。それで、広告業界も健全化していって、ビジネス領域としてもサステナブルになっていく、っていうのはすごくいいですね。

山崎:そうですね。ぶっちゃけた話は、こういう状況になっちゃったので、それで考えるしかない、って話なんですけど。雑にはね(笑)。

hidek:(笑)。願わくば、もうちょっと広告業界が自重してて……(笑)。

山崎:でもね、やっぱりね、難しいんですよ。それを止めるための……。悪いことをしようと思ったらできちゃうようなプラットフォームになっちゃってるんで。

hidek:はい。

山崎:そうなんですよね。そこは難しいんですよね。こっちはプラットフォーマーなので、基本的にはね。システム作ってる側は。だから、「上手に使ってくれよ!」って言うんですけど、やっぱりね、そういうシュッと悪いことをやるやつが、うまいことやることもできちゃうんで。それに漬け込まれるっていうのとの戦いなんですよね、業界的には。

hidek:AppleとかGoogleに言わせたら、まさにそういうことなんでしょうね(笑)。

山崎:そうです。だから、「お前らいい加減にしろよ」って話で、今回、大鉈振るわれた、ってのが、「お前らやり過ぎたね」って話なんですよね。

エンジニア社長の起業

hidek:(笑)。なるほどね。わかりました。ありがとうございます。そんな広告業界を経て、今は起業準備中みたいな感じなんですかね?

山崎:はいはい。

hidek:なんか考えてることとかあるんですか? 話せることかちょっとわかんないですけど(笑)。

山崎:そうですよね。ちょっとまだ具体的には話せないんですけど。

hidek:うん。

山崎:前職の最初の会社のスケールアウトがうまくいったのって、最初からスポンサーを見つけて、最初から「年間3,000万円出してくれる」っていう人を見つけて、絶対黒にしてから始めたんですよ。

hidek:うん。

山崎:で、これちょっとあとの話題にも入るかもしれないんですけど、エンジニア社長って、コードを書かなきゃいけない関係上、お金の心配しながらコードを書くのって、めっちゃ大変なんですよ。

hidek:精神的にキツいですね(笑)。

山崎:そう。だから、「お金とかないんだけど、緻密な、絶対失敗しちゃダメなシステムとか作らなきゃいけない」みたいな話って、結構、不可能なので。

hidek:はい。

山崎:今回も似たような感じでやる予定です。で、このあとって、また「起業の仕方」みたいなってありますかね? ちょっと聞いてたらわかったと思うんですけど、たまたまですけど、だいぶ堅い起業をしたんですよ。

hidek:うん。

山崎:「リスクを取って、VCからバーっと金集めて、赤字を掘りながらオー!」みたいな、そんなんではなくて、最初から黒からスタートしたんですけど。やっぱり、僕、ちょっとビビリの……。VCとかから出資してる社長と話するんですけど、やっぱりどっか一本ネジが抜けてるんですよね(笑)。山田進太郎さんとか小泉さんとか、本当におかしくて。小泉さんとはちょっとだけ知り合いなんですけど。ちょっとね、ぶっ飛んでるんですよね。ああいう感じに、僕……。やっぱり、僕らエンジニアって、システムをちゃんと作らなきゃいけない関係上、ぶっ飛ぶっていうのができなくて。

hidek:はい(笑)。

山崎:口実上。だから、その辺りはあるんですよ。だから、僕、どうしても安定じゃないといけないので、今は、また堅く、「お金出してもいい」っていうスポンサーを見つけることが成功したので、それに対してシステムを作ろうとして、それをベースに起業しよう、ってそんな感じです。

hidek:なるほどですね。ニーズに応じたプロダクトを作って、それドリブンで起業していく、みたいな。

山崎:そうです。

hidek:なるほどですね。本当に、エンジニア社長の新しい……、新しくはないけど、でも、今まで僕が知ってる起業家とかとはまたちょっと違う。いいですね。

山崎:ただね、僕、エンジニア社長、もしかしたらあとの話題かもしれないけど、エンジニア社長は、それができるんですよね。なぜかというと、エンジニア社長って、エンジニアって、自分のエンジニアリング能力を1人月で売ることは絶対できるじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:で、それは絶対換金できるお金じゃないですか?

hidek:はい。

山崎:で、仮にですよ、その人が1.5ヶ月分稼ぐことができるとして。例えばですよ、あるエンジニアが。

hidek:はい。

山崎:で、1人月は自分の給料を稼ぐのに使って、0.5ヶ月はプロダクトを作ることに邁進すればいいわけなんですよ。僕はそれをめちゃ極端にやって。

hidek:うんうん。

山崎:1年間、自分の給料は、もともと自分でお金持ってるから。ストックオプションとかで持ってたんで。その間に、1.5人月×12ヶ月分のリソースを使ってシステムを作って、それを売ることにした、っていう感じなんですけど。

hidek:うんうん。

山崎:そもそもエンジニア社長って、自分の人月を1人月で売る、っていう特性を持っているので、それと並行してプロダクトを作ることができるはずなんですよ。

hidek:うーん。なるほどね。

山崎:これ、超有利で。だって、例えばなんですけど、コードを書けない社長は、絶対ひとりエンジニアを雇わないといけないじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:その時点で、バーンレートが、バーンレートって、使わなきゃいけないお金が2倍になるわけですよ。

hidek:はい。たしかに(笑)。

山崎:そこがない、っていうのは超有利な点で。

hidek:はい。

山崎:そこは、超アドバンテージがある、ってそんな感じです。

hidek:なるほどね。「モノを作れる強み」ってところですよね。

山崎:モノをセーフティに、自分を切り売りして上手に換金できる、っていう感じです。

hidek:さっき「コスパいい」って話を僕がしたと思うんですけど、本当にコスパいいですよね(笑)。

山崎:うん。

hidek:なるほど。

山崎:だから、みんな起業すればいいのにな、とか思うんですけどね。

hidek:うんうん。

山崎:これ言うと、皆さん「お前だからできたんだろ」みたいに言うんですけど。仮に、紀平さんがそうなんですけど、仮にうまくいってもうまくいかなくても、紀平さんはまあまあうまくいった方なんですけど、うまくいかなくても、絶対にそれに必要性があったら買ってくれるやつがいるんですよ。

hidek:うん。

山崎:だから、お金は減ったかもしれないんですけど、頑張ったそのトラックレコードはちゃんと残ってて。「こいつはちゃんとやった」っていう話で、ちゃんといいポジションで入るんですよ。で、起業して、社長やって、ひとりで社長やったらプロダクトマネージャーもCEOもCTOもVPoEも全部兼ねなきゃいけないじゃないですか?

hidek:はい。

山崎:だから、それをやると、普通の会社に入ると楽勝なんですよね。ちょっと言葉が悪いですけど。

hidek:はい(笑)。

山崎:楽勝とまでは言わないですけど、少なくともいろいろ有利なんですよね。だから、それはね、そういう点では、あまりリスクないんですよね。


https://stand.fm/channels/5e452908122b2506b1fa1c54


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