hidekのエンジニアと長話 第10-1回【全文書き起こし】~ゲスト:LayerX 取締役 榎本悠介氏~
stand.fmで配信中の「hidekのエンジニアと長話」10人目のゲストは、LayerX 取締役 榎本悠介さんです。
「hidekのエンジニアと長話」は、メルペイVPoEのhidek(木村秀夫)さんをメインパーソナリティにお招きし、ゲストエンジニアとともに作っていくスペシャルトーク番組です。
第10-1回の今回は、LayerX 取締役 榎本悠介さんをお招きして、ボンバーマンやDeNA時代の話、オーバーエンジニアリングなどについて語りました。
※本記事は、2021年10月8日にstand.fmで配信を開始した番組を書き起こしたものです。
ゲスト
榎本悠介 氏 @mosa_siru
株式会社LayerX 取締役
メインパーソナリティ
hidek(木村秀夫)氏 @hidek
株式会社メルペイ VPoE(Vice President of Engineering)
パーソナリティアシスタント
gami(池上)氏 @jumpei_ikegami
株式会社プレイド エンジニア
「mosa」こと榎本悠介さんの自己紹介
gamiさん(以下、敬称略):皆さん、こんにちは。「hidekのエンジニアと長話」進行役のgamiと申します。今回もhidekさんと一緒にゲストの方のお話を聞いていければと思います。番組への感想は、stand.fmのコメント機能、またはTwitterハッシュタグ、#hidekのエンジニアと長話、でお願いします。というわけで、メインパーソナリティはこの方、hidekさんでーす。よろしくお願いしまーす。
hidekさん(以下、敬称略):よろしくお願いしまーす。よく、この番組の打ち合わせで、「雑談どうしようか?」ってこのパートを話すんですけど。
gami:そうですね(笑)。
hidek:今日はあんまりネタがなくて。最近、どうですか?
gami:僕も、そんなにめちゃくちゃあるわけじゃないですけどねー。最近、ずっと家にいるので……。僕、もともと完全食が好きで。
Hideki:おー。
gami:完全食「COMP」っていう粉を水に溶かして飲む、っていうサイコパスみたいな生活をしていたんですけど。最近、飽きちゃって、料理してますね。
hidek:へー。僕もね、もともと自炊とか全然やらないんですけど、カレーを作るようになって。
gami:おー。カレー限定なんですか?
hidek:カレー限定なんですよ。スパイスから。
gami:本格的なやつなんですね。
hidek:そうなんですよ。よく、年を取ると「カレーを作るかそばを打つか」みたいな。
gami:(笑)。
hidek:そのトレンドに乗って、今、カレーにハマっています。
gami:いいんですね。やっぱり、ハマっちゃうところがあるんですね。
hidek:もう、オタクなんでね。根がオタクだと、すぐ、スパイス集めたがるんですよ。
gami:(笑)。たしかに。コレクション欲求が満たされそうでいいですね。
hidek:収集癖があるんでやばいです。はい。
gami:なるほど。はい。じゃあ、そんな感じで今日もよろしくお願いします。
hidek:よろしくお願いします。
gami:どんな感じだ、って感じですが。そしてですね、今日もゲストの方をお迎えしております。榎本悠介さんです。よろしくお願いしまーす。
榎本さん(以下、敬称略):よろしくお願いしまーす。
hidek:よろしくお願いしまーす。
gami:そしたら、榎本さんを知らない方もいるかもしれないので、簡単に自己紹介などいただいてもよろしいでしょうか?
榎本:はい。私、榎本悠介と申します。ネット上では「mosa」っていうハンドルネームで、ボンバーマンのアイコンで、結構、やらせていただいています。「やらしていただく」ってなんだ、って感じなんですけど(笑)。今、LayerXでDX事業部っていうSaaSを作ってる事業部があるんですけど、そこの管掌役員をやっていて、プロダクトを見てるぜ、みたいな。実際にやっているのは、コードを結構書いているぜ、みたいな状態ですね。もうちょっと経歴的なところを話すと、実は、最初のキャリアとしてDeNAに新卒で2013年に入っていて、そのとき、hidekさんが見ている部署にに新卒で配属させていただいて、ヒッキーやってた、みたいなところですね。
hidek:(笑)。
榎本:ちょっと、あとでそこの話とかできればな、と思うんですけど(笑)。で、そこから、新規事業、DeNAの中でチャレンジさせていただいたりとか。あとは、もともとのつながりもあってGunosy社に転職して。そこで、新規事業いくつか作らさせていただいて。で、LayerXの前身となるブロックチェーンの開発チームを立ち上げて。で、それが今、LayerXになって。で、いろいろな事業にチャレンジして。現在は、SaaS事業を見させていただいている、っていう感じです。本日はよろしくお願いします。
gami:よろしくお願いしまーす。
hidek:よろしくお願いしまーす。そうなんですよね。今、ちょろっと出たんですけど、mosaって呼んでいいのかな?
榎本:mosaって呼んでください(笑)。
hidek:やりづらいね(笑)。mosaが新卒のときに、DeNAで一緒に働いていて。ですかね。で、最初、2013年でしたっけ?
榎本:そうです。13年新卒です。
hidek:2013年新卒って、DeNA、めちゃめちゃ人採ってて。一番人採ってたんじゃないかな?
榎本:だと思います。120人くらいいましたっけね。
hidek:そうだよね。
gami:そんなに採ってるんですね。
hidek:そうなんですよ。で、僕の部署も、結構、2013年卒って、まあまあアサインされて。その中のひとり、「ちょっと面倒くさい人いるなー」と思ってて(笑)。
gami:(笑)。
榎本:いや、わかります(笑)。
ボンバーマンにハマって留年
hidek:ちなみに、ボンバーマンは、僕は知ってるんだけど、「なぜボンバーマンか」っていうのを。
gami:たしかに。僕はよくわかってなかったです。
hidek:そうですよね。
榎本:結構、持ちネタのひとつではあるんですけど。大学のときに2年間、死ぬほどボンバーマンにハマった時期があって。本当に、僕、2回留年してるんですよね、そのせいで、大学を(笑)。ひたすら引きこもって打ち込んで。で、仲間内でレーティングとかつけて、記録して、ガチでやってたんですけど。で、その中でいろいろな技を発明して。で、ニコニコに生配信して、結構ウケたりだとか。そういう人生を歩んでいて。で、結構、それが功を奏して、テレビにプロゲーマーとして出させていただいたりだとかして(笑)。みたいに死ぬほどハマっていたので、ボンバーマンのアイコンにしている、っていう感じですね。
hidek:なんかボンバーマンにハマるきっかけってあったんですか?
榎本:いや、本当に大したきっかけじゃなくて、友達に「ボンバーマンしようぜ」って言われて、ボロボロに負けて、死ぬほど悔しくて。「めちゃくちゃ練習してこいつに絶対勝ってやる」ってやったら2年経ってた、みたいな感じですね(笑)。
hidek:(笑)。ボンバーマンって、結構息が長いゲームじゃないですか?
榎本:はい。
hidek:プラットフォームだと、何のときに一番ハマったんですか?
榎本:僕は、ある意味変わっていて。スーパーファミコンをエミュレータでやってましたね。
hidek:あ、そうなんだ!
榎本:うん。
hidek:だって、そうですよね、スーパーファミコンって、たぶん、そこまでリアルタイムじゃないですよね?
榎本:そうです。だから、やってるのも『スーパーボンバーマン2』なんですよね。
hidek:ふーん。
榎本:ルーイとかいる前のやつです。
hidek:へー。基本的に、仲間内とやるときはプレイ限定なんですか?
榎本:そうですね。一番、運要素がないよね、みたいな結論だったんですよね。ルーイとかいないし、みたいなので。純粋なボンバーマン、実力でいける、みたいな話をして、それでやっていた、みたいな感じでした(笑)。
hidek:ボンバーマン界隈では、それはデファクトスタンダード?
榎本:いや、わかんないです。そうでもないかもしれないです。あくまでも、そういうサークルがあった、みたいな感じです(笑)。
DeNA時代の話
hidek:その話を、DeNAのときにもよく話してくれて。「2年留年した」っていう話を。「よくこの人入ったなー」と思いながら(笑)。
榎本:でも、ちゃんと僕、面接でその話して、「えー、榎本くんバカだねー」とか言われながら、全部通りましたよ、面接。DeNA(笑)。
hidek:DeNA、そういうところありますよね(笑)。
榎本:尖っている人、ちゃんと受け入れてくれますよね。ある意味(笑)。
hidek:尖った人ばっかり。特にモバゲーのプラットフォームシステム部?
榎本:うんうん。
hidek:あのチームって、結構尖った人が多いというか、尖った人しかしなくて。その中で、結構、一番尖ってたのがmosaさんでしたね。
榎本:はい。なんでいきなり「さん」づけにしてるんですか?(笑)
hidek:(笑)。でも、本当、2013年って、僕、結構、思い入れがあって。ちょうど、僕が、モバゲー全体の事業部を見始めたのが2013年だったんですよ。なんで、企画側も含めて、新卒がたくさん入ってきて。「しっかり立ち上げなきゃなー」という変な使命感もありつつ。だから、結構、2013年入社の人っていうのは、今も付き合いありますね。いろいろ。
榎本:うん。
hidek:なので、結構、2013年入社の新卒の人たちは、いまだに思い入れあったりとかするので、その中のひとりなので、今日はよろしくお願いします。
榎本:お願いしまーす。
hidek:最初入ったときって、もともとzigorouさんのチームでやってたんだっけ?
榎本:そうですね。nekokakさん、zigorouさんのチームでしたね。
hidek:APIチームとかだっけ?
榎本:そうですそうです。
hidek:なるほどなるほど。
榎本:まさにあれですよ。あれ、コードネームは別に言っても大丈夫ですよね?
hidek:言っていい。
榎本:なんだっけ。ビシュヌとかハーミットとかチャリオットとか。そういうのがあった時代ですね(笑)。
hidek:当時、マイクロサービスじゃないんだけど、コンポーネントごとに名前をつけるんだけど、全部、ジョジョのタロットカードからつけてたんですよね(笑)。
榎本:そうそう(笑)。「何が何かわかんねーよ」って周りの人から言われてた、っていう。
hidek:今で言う、完全にアンチパターンなんだけど(笑)。
榎本:思います(笑)。
hidek:コンポーネントの名前聞いても何かわかんない、っていう一番やっちゃいけないやつですね。
榎本:(笑)。僕はガネーシャっていうのやってましたね。チャットのやつ。
hidek:そうだ。途中でタロットカードのネタが切れて。
榎本:そうそう。インドの神様になったんですよね。
hidek:そうだ。中二病が全開だったね。あれ、でも、センスで言うと、zigorouさんのセンスだからね。
榎本:あー。あー。はい(笑)。
hidek:完全にzigorouさんのセンスだから(笑)。
榎本:そうですね(笑)。
hidek:APIチームって、zigorouさんが一番最初からコンポーネントを作っていたところで、一番設計が込み入っている、っていうか。
榎本:うん。結構、真面目に配属の面談で……。少し自慢するけど、僕、2013年新卒で一番早く卒業したんですよ、研修を。
hidek:そうなんだ。
榎本:なので、「どこを配属希望したい?」って言われて、「一番技術力つけられるところに行かせてください」って言って、プラシス配属になった、って感じですね。
hidek:そうそう。当時は、一番最初に卒業すると、みんなプラシスで、かつ、zigorouさんが全部持ってっちゃう。
榎本:うんうん。なるほど。
hidek:そうそう。あのあとの人たちは、みんなそうだね(笑)。
榎本:(笑)。
hidek:そっかそっか。で、じゃあ、そこで結構揉まれた?
榎本:揉まれましたねー。揉まれたっていうか、もう本当に不甲斐なかったっす。マジで(笑)。
オーバーエンジニアリングへのアンチテーゼ
hidek:いやいや。これ、どこまで話していいかわからないけど、結構、裏話というか。
榎本:聞きたいっす。もはや(笑)。
hidek:聞きたいっていうか、mosaの相談とか、まあまあ乗ってたじゃん(笑)。
榎本:いや、そうです。いやー。
hidek:よくも悪くも、zigorouさんっていうのが、設計をすごくしっかりする、ドキュメントもしっかりやる、手を動かす前にしっかり作るものを定めてからやる、というところで。結構、mosaはライトに手を動かして作っていくタイプだったから。そこでの、結構、言うたら音楽性の不一致だよね?
榎本:そうですね。どこまで言っていいんだろう?(笑)
hidek:大丈夫だよ。
榎本:zigorouさんに限らず、いろいろな方がいて、僕がつい、斜に構えてたのかな、ある意味。つい反発しちゃう、みたいな。つい思ったことをすぐ言っちゃう、だとか。
hidek:(笑)。
榎本:すごく若気の至りみたいなところがあって。「口動かす前に手動かせよ」って当時の俺に言いたいですけど(笑)。
hidek:(笑)。でも、このあとの話に出てくると思うけど、Gunosyとかでマイクロサービス化、などの話を読ませてもらったりとかしたんだけど。
榎本:ありがとうございます。
hidek:そのころから、結構、「オーバーエンジニアリングに対するアンチテーゼ」みたいなところは唱えていた気はするんだよね。
榎本:そうですねー。
hidek:いまだに一貫しているかな、という気はしてる。
榎本:うんうん。です。ただ、結構、本当に細かいところで反発しちゃってた、当時。「JIRA、こんなに書く必要なくね?」とか、なんか、そういう(笑)。
hidek:(笑)。
榎本:「いいから書けよ」って言いたくなるんですけど、今だと。そこで1時間とか議論していたりとかして。「さすがに仕事しろよ」って、今、思うと言いたくなるときあります(笑)。
ハッカドールチームの話
hidek:そうだね(笑)。で、そのあと、ハッカドール。
榎本:そうですね。
hidek:サイクロンさんか。
榎本:はい。2年目からそちら、チームの発足のところから入れていただいて、4月ですね。で、もう、「8月15日のコミケまでに出さないとお前らはクビだ」くらいのチームでしたね。
hidek:あれは、いわゆるオタクというか、二次元、二次元に限らないのかな、オタク全体かな?
榎本:そうですね。全般ですね。うん。
hidek:キュレーションサービス。で、意外とニッチなところを攻めたんだけど、意外と反響もありつつ。
榎本:うん。
hidek:あのチーム、みんな仲良くて楽しそうだったね。
榎本:いやー、めちゃくちゃ楽しかったですよ。
hidek:そうだよね。
榎本:うん。エンジニアも。今でも飲んだりしますし。
hidek:うーん。完全に「趣味の延長線上で作っています感」っていうのがあって。で、忘れもしないのが、DeNAってオープンなオフィスなんだけど、ハッカドールチームだけ完全に異様なんだよね(笑)。
榎本:異様でしたね(笑)。死ぬほどフィギュア置いてあったり、アニメキャラのタペストリーが貼ってあったりとか(笑)。
hidek:そこだけ「自宅じゃないの?」っていう(笑)。
榎本:あれはすごかった(笑)。
hidek:で、たまにお客様がいらっしゃるんだよね。で、そこで巡回でまわっていくときに、みんな、大体二度見するからね、あそこ(笑)。
榎本:ですよね(笑)。
hidek:なんか色、原色なんだよね。でも、それくらいサービスとかプロダクトに思いのある人たちが集まった、「すごくいいチームだなー」と思って見てて。
榎本:すごく愛に溢れていましたね。プロダクトに対する愛とか。で、プロダクトの中にハッカドール1号、2号、3号っていうマスコットキャラクターがいたんですけど、それに対する愛もすごくて。
hidek:アニメ化されたよね?
榎本:ですね。アニメ化されました。ニュースアプリがアニメ化ってどういうことだよ、って、すげー思うんですけど(笑)。
hidek:でも、当時、DeNAって、ゲーム。今もゲームやってるんだけど。その中で、「自分たちのIPを作りたい」っていうのを言ってて。
榎本:そうですよね。うん。
hidek:まさにIP作っちゃってたからさ。
榎本:マンガボックスとか、そういうIP事業部とか、たしかありましたよね。とかじゃないのに、全然関係ない事業部の謎のやつらがIP作っちゃった、みたいな感じでしたね(笑)。
hidek:(笑)。でもさ、結局、そういうことなんだろうね。本当に愛があって、追っかけ続けるとそういうものが生まれて、たぶんファンがつく、っていうところだと思うんだよね。でも、あのチームは本当に見てて、「楽しそうでいいな」と思ってて。
榎本:しかも、すごい新規事業を作る方法論とかを学ばせていただいて。ジローさんとかもいらっしゃったんで。
hidek:そうだそうだ。
榎本:「スクラムとかアジャイルってこうやって開発するんだ」みたいなのをすごく学べたし。あとは、すごく、サイクロンさんとか、サーバーサイドめちゃくちゃ強い方がいたりとか。クライアントサイドも強い方がいて、アプリの。すごく勉強させていただいて。今、自分があるのは、あのチームにいたから、っていうのと、プラスで堅牢なな設計みたいなのを学んだからだな、ってすごく思いますね。うん。
hidek:おー、すごい。ヨイショ(笑)。
榎本:いや、マジで(笑)。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?