【完全保存版】The Mergeについて学ぼう
0 はじめに
2023年4月に上海アップグレードが行われました。
正確には「シャペラ」が良いかもですが、その辺りは今回は省きます。
これによって、バリデータはETHを引き出すことができるようになりました。
しかし、それを実現するためには、次の二つが不可欠でした。
・2020年のビーコンチェーンのローンチ(開始)
・2022年の「The Merge」によるPoSへの移行
今回は、上海アップグレードを学ぶための前提知識としての「The Merge」を学んでいきたいと思います。
また、本日の内容は、こちらのYouTubeをメインに進めていきます。
1 The Mergeの概要
まず、「The Merge」とはなんだったのでしょうか?
一言で言えば、「PoW」から「PoS」への移行です。
PoWとはコンセンサスアルゴリズムの一つです。
ネットワーク上の取引を承認し、新しいブロックを生成するために、マイナー(参加者)が複雑な計算問題を解決することを要求する方式です。
一方、PoSもコンセンサスアルゴリズムの一つです。
新しいブロックの生成や取引の承認を行う際に、各ネットワーク参加者が保有する仮想通貨の量や保有期間に基づいて選ばれる方式です。
2 PoSへの移行のメリットは?
ここでは、PoSへの移行による2つのメリットを見ていきましょう。
1 電力消費の削減
まず大きいのが、電力消費の削減です。
PoWの場合、複雑な計算を行うことにより大きな電力が必要になります。
PoSへの移行により、約99.95%の電力が削減されます。
2 分散化
PoWではマイナーが高い計算能力が必要なため、専門的なマイニングハードウェアが必要です。
そのため通常の個人が参加することが困難です。
一方、PoSであれば、32ETHをデポジットすれば、バリデータになれます。
そのため、多くのイーサリアム愛好家が参加することができ、分散化につながります。
ちなみに、現時点では、約56万人のアクティブバリデータがいるようです。
なお、このように長期期に見ても、バリデータが増加傾向であることがわかります。
3 PoSへの切り替えの内部処理について
1 クライアント実装とは
クライアント実装はそのネットワークに参加するノードが使用するソフトウェアです。
「ERIGON」「GETH」「NETHERMIND」などがあります。
ちなみに、現状、このような割合になっています。
メインが4つで、Gethが2/3以上を占めています。
後で出てきますが、これはあまり良くないのではと感じています。
2 The Merge前のクライアント実装
その中身は実行レイヤーとコンセンサスレイヤー(PoW)でバンドルされていました。
PoWからPoSへの移行にあたって、これらを切り離しました。
これにより、実行レイヤーを気にすることなく、PoSへ移行することができます。
また、これにより、それぞれを専門的に扱うことができるようになります。
3 The Merge後のクライアント実装
また、分離したこの2つの通信を行なってくれるのが、「Engine API」です。
なお、実行レイヤーは主に4種類、コンセンサスレイヤーは5種類からなっています。
そのため、4 × 5= 20通りの組み合わせが考えられます。
ちなみに、コンセンサスクライアントの現在の割合はこのようになっています。
4 PoWからPoSへの切り替えのトリガーについて
何をトリガーとして、PoSへの切り替えをおこなったかも見てみましょう。
それは合計難易度(Terminal Total Difficulty)です。
ポイントはブロック高(block height)ではないと言うことです。
攻撃者が難易度の低いブロックを作り、悪意のあるフォークをされないようにするためでした。
ちなみに、トリガーとなった合計難易度は「58750000000000000000000」でした。
5 ブロック生成時間について
PoWではブロック生成時間が約13秒でした。
一方、PoSではブロック生成時間のスロットとして、12秒が定められたため、基本的に12秒になります。
ただし、このスロットがブロックを逃すこともあるので、ピッタリの12秒ではなく、平均すると、約12秒になります。
4 ETHの供給量について
1 ETHの供給量について
The Mergeにより、ETHの供給量が下がる傾向にあります
それはマイニング報酬が0になり、ステーキング報酬がETHのバーン数を下回っているためです。
「The Merge」によって、マイニングがなくなったため、マイニング報酬が0になりました。
一方、ステーキング報酬はマイニング報酬に比べ、小さいです。
なお、ETHのバーンは2021年のロンドンアップグレードで実装(EIP-1559)されています。
とはいえ、0へは収束せず、6,000万ETH〜1億ETHで均衡すると考えられています。
2 自分の目でも確かめてみましょう。
せっかくなので、ご自身の目でも確かめてみてください。
下が供給量の変化ですが。。あれっと思われたのではないでしょうか?
ちなみに、Burnが実装されたロンドンアップグレード移行のグラフはこうなります。
そうです、確かに減ってはいますが、そんなに急激には減っていません。
自分の目で確かめるのが大事だなと思いましたので共有でした。
5 クライアント多様性について
次に、クライアント多様性(Client Diversity)についてもみていきましょう。
例えば、実行レイヤーには主に下の4つのクライアントが存在しています。
これにより、仮にどこかでバグが発生したとしても、切り替えを行うことで攻撃耐性が高まります。
とはいえ、ステーキングのシェア率によって、異なる結果をもたらしてしまう可能性があります。
例えば、3分の2以上であれば、悪意のあるステートルートが最終的に発生する可能性が出てきます。
下のように、割合によって起こる結果が異なります。
ちなみに、2022年初頭の段階では、コンセンサスクライアントのうち、Prysmが70%ものシェアを誇っていました。
これは2/3以上という危険な水域です。
これが動画作成時点では40%まで減らし、クライアント多様性を進めています。
なお、現在の割合はこのようになっています。
6 参考
・ガス代の遷移について
The Mergeはスケーラビリティと直接の関係がありません。
そのため、実施された2022年9月前後でガス代は大きく変化しておりません。
今回は以上です。
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