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キャベツの原価

興味深い記事があった。

スーパーで200円のキャベツを買ったとします。その「原価」つまり、農家の方が手にする収入は20円です。
出典:「野菜の値段の9割は中間マージン」の衝撃 アゴラ 2019.10.20

自分は農業はしていないものの、親戚や知人で農家の人は多くいる。

といっても具体的なお金の話はしないため、ここまでとは思っていなかった。値段の内 9割が流通マージンで、卸市場や配送や販売店での費用に充てられているらしい。



実はこれはフェイクニュースである。

上記記事が参照にしたとされる元ネタは、

『加工用や外食向け以外で、直接、消費者に販売される生鮮食品の生産・輸入額は 3.1兆円だ。驚くべきことに、それに対して実に2.8 兆円の流通マージンが上乗せされている。』
出典:やまけんの出張食い倒れ日記 

生鮮食品3.1兆円の内の2.8兆円が流通マージンと考えると90%(2.8兆/3.1兆円)になるものの、正しくは3.1兆円に2.8兆円の流通マージンが足され5.9兆円として消費者に販売されており流通マージンは47%(2.8兆/5.9兆)である。

とはいえ流通マージンが50%近いというのはある種驚きである。

しかし中間マージンは必ずしも悪ではない。卸市場や運送会社もボランティアで仕事をしているわけではなく、できるだけ利益を上げようとするのは当然のことである。

問題は農家をいかに守り、安く安全な食料を提供できるようにするかである。


現在の農家の状況はなかなか厳しい。

普段仕事として農業をしている70%は65歳以上(農林水産省 農業労働力に関する統計

個人の1経営体当たり農業所得は113.6万円(農林水産省 基本データ集


農家は一種の個人事業主でありいろいろな経費が認められるため、会社員の所得との比較は難しいものの、この状況では農家が農業を続けていくことは難しい。

収入を増やすため、道の駅などの直販に出荷すると、中間マージンが減り収入は増えるも、農家の負担は格段に大きくなる。

朝に出荷の準備をして値札を受けて出荷し、定期的に品切れになっていないか見に行き、夕方には残っている商品は(ほとんどの場合)一度回収しないといけない。

農作業をするのに忙しいのに、そんなに時間を取れず、売れ残りを毎日持って帰るのは精神的な負担も大きい。



現在 株式会社の農業への進出に対してはいろいろな制約がある。農家を守るために制限をしていたと思われるものの、今後 農家を守り、日本の農業を守るためには、株式会社の進出を認め、1か所1か所の農業の規模を大きくしていくしかない。

高価な農業機械を購入しても、数時間で作業が終了するような状況では利益を上げることは難しい。

1日中ずっと動かし続けるほどの広さで農業を行うことができるようにするべきである。

後継者不足、人手不足、農家1戸当たりの収入が少ない、などの問題を、国は農家への所得補償などで一時しのぎをするのではなく、根本的な改革をしていく必要がある。

ただし農業も医療と同様に既得利権を守ることに執着する業界団体が強いため、こういった変化はなかなか進まず、放棄された農地が増え、相続で売買も困難な状態が進み、日本の農業が壊滅的なダメージを受けるまで変化しないのかもしれない。


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