治療を受けていないのに障害者年金受給は可能か

先日治療を受けていない統合失調症の人が、年金の更新のために外来受診をしたという話を書いた。

治療していない精神障害者でも障害者年金はもらうことは理論的には可能である。

しかし治療を受けていないと病院で障害者年金の作成を断わられることが多い。

状態が悪く、服薬を何度も説得しても指示に従ってくれない人のために、年金診断書を書くというのは、面倒で極力書きたくないというのは事実である。

ただしこういった問題は、ほとんどの場合は精神障害者の年金の場合のみに起こる問題である。

知的障害の人や身体障害の人の障害者年金の場合、ほとんどの人は定期的な通院や治療を必要としないため、治療を受けているか・受けていないかは問題にならない。

障害者年金の本来の趣旨は何らかの病気・ケガが原因で長期に渡る障害が残った人に対する救済処置であり福祉である。

そのため本人が治療を受けているか受けていないかは年金を受給する条件とは関係がない。

また年金診断書の作成を希望されたときには医師は診断書を作成する義務がある。

診察をした医師は、診断書の交付の求があつた場合には、正当の事由がなければ、これを拒んではならない

医師法第十九条二項(一部省略)

こういった視点からは、治療が必要でも、本人や家族の意志で治療を受けていない精神障害者に対しても年金診断書を作成する必要がある。

診断書を拒否するとき

現在の障害や障害に伴う生活能力の低さの原因が、本人の明らかな過失 あるいは 本人の努力義務違反によるものであった場合、障害者年金をもらう資格があるのか疑問である。

覚せい剤を使用し、その後遺症で幻聴や幻視が出現したり、感情が麻痺したり、思考力が低下したり、突発的にフラッシュバックが出現する覚せい剤後遺症の人の場合、障害者年金が通らないことが多い。

またしっかりと治療を受けリハビリをしたら障害が著しく軽減することが明らかにも関わらず、なにもしないことで、障害が進行し固定した場合、障害者年金を受給することに疑問を感じる。

医師の立場としても、診察をして治療が必要と繰返し説明しても、拒否をし診断書だけ書いてくれという人に対して、「書けない」と拒否するのも非常に理解できる。

診断書作成した理由

今回のように薬物治療をはじめとする様々な治療をある程度の期間しっかりと行ったものの、何の治療効果もなかった。

治療をやめた後に少し安定したものの、明らかに症状とレベル低下が残存している。

こういった人の場合年金受給は問題ないし、治療にほとんど反応しない精神疾患ということで障害者年金は受け取る権利がある。

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