2週間後に効果が無いときにどうするか
先日 統合失調症治療ガイドラインについて解説した。その補足である。
2週間後に効果がないときにどうするか
統合失調症の人に治療を始めた後、順調に少しずつでも改善すれば良い。しかしなかなか治療効果がないときもある。
ガイドラインでは2-4週間で効果判定をすることが推奨されている。しかし実際に効果がない・不十分と判断したときに、どうしたら良いかは難しい。
効果判定については色々なデータが出ている。
・薬による効果は、開始後2週間の初期から出る。
・初期の効果はその後の効果よりも大きい。
・2-6週の初期の効果は、その後の治療反応性を予測する。
など。
簡単に言えば、2-4週間で結構良くなり、そのときに良くならなければ長く使ってもあまり良くならない。
これは臨床的な印象とも一致する。
これをそのまま運用すると、薬を2週間使用し、反応がなければ別の薬に変更を繰返すという治療方針になる。
しかし臨床的な経験では、1番目の薬が効果不十分のときには2番目の薬も効果不十分なことが多い。
更に2番目の薬でもだめなとき3番目の薬が効くことはほとんどない。
また初めの薬の効果が不十分でも長期間使い続けると、ある時 ふと改善し始めることがある。これは薬の効果というより自然経過で良くなる時期が来たというほうが適切かもしれない。
そういったこともあり、2週間後に効果不十分であっても薬を変更するという方針を取るのは躊躇してしまう。
かといって何もしないでそのまま更に2週間様子を見るのも気持ち的に難しい。
現実的な方法
2週間後に効果判定
・効果あり~ややあり→継続
・あまり無→増量
・全く無→増量? 変更?
4週間後に効果判定
・効果あり→継続
・ややあり→変更? 継続して待つ?
・あまり無、全く無→変更
という感じになると思う。
もちろん2週間で効果判定し、不十分と判断したらすぐに別の薬に変えて、2週間後に効果判定する、という治療方針を徹底している精神科医も存在する。私は頭の中に次から次へと新しい薬物が入ってきて、頭の中の受容体たちがぐちゃぐちゃになっていくイメージしかわかないのであまり好きではない。
直接利用者や家族には言えないものの「この薬では余り変わりがないかもしれない」と思いながらも、「お願いだから効いてくれ!」と願いながら、同じ薬を処方し続けることになる。
そういった主治医の気持も知って欲しい。
そしてなかなか良くならないときに、本人・家族・主治医たち医療者が、「お願いだから効いてくれ!!!」と祈ることは、治療的にプラスになっていると思っている。
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