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医師は長く話を聞くことができない

「話せば分かるということ」でも書いたように、私は利用者の話を長くは聞かない主義である。


現在の診療報酬

現在の診療報酬(保険医療)において、精神科における診療費用は以下のように定められている。

精神療法(通院・在宅精神療法)
5分以上30分未満 3,300円
30分以上 4,000円

5分以上話をすると3,300円もらえるものの、30分以上話をすることで増加する報酬は700円である。後は40分話をしようが1時間話をしようが変わらない。

このような制度にしている厚労省の意図は、
・精神科医の診察を馬鹿にしている
・診察は5分で終わらせてくださいと言いたい
・何も考えていない
のどれかである。

この制度の下で、1時間で2人診察して8,000円もらうか、12人診察して39,600円もらうかと聞かれたら、普通の感覚の人は後者を選ぶ。開業医は患者の力になる以外に、そこで働いている人の生活を支える使命を持っている。

また精神科における外来数は、半日で30人・1日で50人を超えることは良くあることであり、単純計算で一人あたり5-10分が限界である。


現実と理想

診療報酬上も現状も精神科医の診察時間は5-10分が限界である。

もちろん一部の精神科医は、必要と考えれば自分の時間を犠牲にし、長く待っている他の人に更に待ってもらったり、診察を受けたいと希望する人を断り長く話を聞くことを選ぶ。

それができる医師はごくわずかである。

長くしっかりと話を聞いて欲しいのであれば、医師ではなく心理士によるカウンセリングを受けるべきである。そして、長くしっかりと話を聞いて欲しいというニーズに対して、現在の保険制度はお金を出さない。医師の指示で心理士がカウンセリングをしてもお金を出さない。

そのため病院が実質的に無償で行うか自費診療になってしまう。これは医師の希望なのではなく厚労省の方針である。


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