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優しく能力のない医師

害を与える医師

Q1.患者にとって いいと思われる順番に並べてください

1.優しく能力のある医師
2.優しく能力のない医師
3.冷たく能力のある医師
4.冷たく能力のない医師

「1 3 2 4」と答える人が多いと思う。

優しく能力がある医師が当然ながら一番いいだろうし、冷たいだけど能力のある医師は「腕はいいんだけどね~まあ仕方ないか」と思いながら治療を受けることになる。

人によっては 「1 2 3 4」になるのかもしれない、「ちょっと能力が低くても優しい人がいい」という人もいる。

Q2.患者に最も害を与える可能性が高いのはどれでしょう?

1.優しく能力のある医師
2.優しく能力のない医師
3.冷たく能力のある医師
4.冷たく能力のない医師

正解は2の優しく能力のない医師である。

不思議に思う人も多いかもしれないが事実である。

患者に最も害を与え、更に与え続ける医師は、優しく熱意があり、でも残念ながら能力のない(その人の治療にとって現時点では足りない)人である。

優しく熱意のある医師

優しく熱意がある医師は一生懸命その人のことを考え努力する。

でも能力がないので、結果として状態が悪化する方向にいってしまうことがある。そのことに気づかず、更に一生懸命しようとして泥沼に陥ってしまう。

薬をどんどんと追加し続け、症状より薬の副作用の方が圧倒的に多くなったり、本人が抱え処理すべきことまで医療がやってしまい結果的に本人の能力を奪ってしまったりする。

患者も優しく熱意があり一生懸命やってくれる医師に対しては、治療が上手くいってなくても「この治療方法は間違っているのでは?」という疑問を抱きづらく、疑問を抱いたとしても「そんなことない、こんなに一生懸命やってくれているのだから」と否定してしまう。

そしていつまでも泥沼から逃れることができないでいる。

これが冷たく能力のない医師だと、早々に患者が見限って医師を変えるので被害が少なくすむ。

なかなか良くならないとき

長年 他の病院で「この治療は どうなのかな~~」と感じてしまう治療を受けていた人が、「あの先生は良かった。話も良く聞いてくれたし、すごく良い先生」と高く評価している人を見るたびに、患者に最も害を与えている医師は、優しく熱意があり、でも残念ながら能力のない人と強く感じる。

これは決して「私は能力ある医師ですよ」と言いたいのではない。

私のところに通院中のある人は「治そうと思わなくていいです。ただ話を聞いてくれたらいいです。」と言う。私のことを”優しいけど能力のない医師” と理解し上手く利用している。

それでいいのだと思う

私は多剤併用はせず薬は少なめで治療をしている。裏返すと多剤併用でしか治らないごく一部の人にとっては、私の治療は全くの不完全なものであることを意味する。

つまり多剤併用でしか治らない人にとっては私は能力のない医師になる。

医師が優しく熱意があるかよりも、治療が上手くいっているかの方が治療を受けているみなさんにとっては重要であることを忘れないでいてください。

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