過感受性精神病という概念
過感受性精神病という概念がある。
統合失調症の人に抗精神病薬を過剰に多く使用し続けるとドーパミン受容体が増えてしまい、
・高用量の抗精神病薬が必要となる
・抗精神病薬を少しでも減らしたり、飲み忘れたりしたときに再発・再燃しやすく、治るまでに時間がかかる
・遅発性ジスキネジアなどの副作用がでる
などの 過感受性精神病になってしまうという仮説がある。
「抗精神病薬を過剰に多く使用し続けるとドーパミン受容体が増えてしまう」というのは、ラットでは確認されているものの、人間では不明な点が多くまだ仮説の段階である。
そして既に海外では半分以上忘れ去られた仮説である。
ただこの仮説は臨床的な印象としてはあっている感じがある。
外来のみで安定した人はリスペリドンは1-4mg、ときに0.5mgでも十分効果がある一方、入院を繰り返している人は9mgでも効果が無く、12mg以上必要とする人も多く、少しでも減量するとあっという間に状態が悪くなる。
この仮説が事実だとすると「なんとかしてあげたい」「なんとか楽にしてあげたい」という気持ちから、薬を増やしてしまい、結果的に悪い状態になってしまっている可能性がある。
効果がなくても、高用量は使わず適切な量を続けて待つ、ということが重要である。
しかし、幻聴がつらくてつらくて叫び続けている人、興奮して自分や周りを傷つけてしまいそうな人を目の前にし、「薬を使いすぎたら、将来的に良くないから使わない」というのも悩んでしまう。
難しいところである。
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