ルラシドン(ラツーダ)
最近 統合失調症や双極性障害の治療にルラシドン(ラツーダ)を使うことが増えている。
分類的にはリスペリドンと同じくSDA(セロトニン・ドーパミン受容体遮断薬)とされているものの、使った印象はオランザピンに似た感じがある。
詳しい薬理作用は 以下などを参照。
最近はすっかり薬理的な作用に興味がわかなくなっている。
どんな作用があろうが効いたらよい薬、効かなかったら悪い薬と思うことが増えている。
不安や心配を減らす(ように見える)
ルラシドンは、リスペリドンのように幻聴・妄想を消す作用はそれほどないものの、不安や心配を減らし少し元気にしてくれる感じがある。
リスペリドンは「症状が減って楽になりました」、ルラシドンは「あまり気にならなくなって動けるようになりました」という人が多い。
あくまでも個人的な治療経験なので正しいのかはわからない。
体重増加が軽く糖尿病でも使える
オランザピンは非常に良い薬ではあるものの、食欲を増やす作用が比較的強く、体重増加の副作用が起きやすい。
また糖尿病になってしまうと、禁忌のためどんなにオランザピンのおかげで精神的に安定していようとも、オランザピンは原則使えなくなる。
そのためオランザピンを使う人は、体重が増えないように強く指導し、糖尿病にならないように十分に注意をする必要がある。
その点 ルラシドンは食欲を増やす作用は弱く、運動量が少ないことによる体重増加は起きることがあっても、明らかに薬の副作用で異常に体重が増えることはあまりない(ないわけではない)。
そういう意味で長期を見据えた治療にはよい。
飲んでいるか飲んでないかわかりづらい
リスペリドンのように錐体外路症状が出やすい薬は、飲んでいるか飲んでいないかは本人の様子を見るだけである程度分かる。
オランザピンは、やや分かりづらいものの、眠気を起こす作用があるため目元などの顔が柔らかくなる。
そのため減量していないのに副作用がすーと消えたら、テンションが上がり始めているか、薬を飲まなくなっているか どちらかであることが多い。
しかしルラシドンは本当に飲んでいるか飲んでいないか分かりづらい。
薬を勝手にやめていても気がつくのが遅くなってしまう。
しかし薬を主治医に無断でやめて調子が悪くなるのは、本人の責任なので仕方がないと思うようにしている。
ということで最近はルラシドンを使うことが多くなりつつある。
ただし以下の記事で紹介したように、ルラシドンは効果の面で他の薬よりも弱いと評価されているので、効果がないのに使い続けるのは問題がある。
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