職場のエアコン設定温度は28度であるべきなのか?(労働安全衛生法など)

暑い!!!!

いわゆる「労働法」と称される一連の法律の中に、労働安全衛生法というのがあります。

労働安全衛生法

    第七章の二 快適な職場環境の形成のための措置
    (事業者の講ずる措置)
    第七十一条の二  事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
 一  作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
    二  労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
    三  作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
    四  前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置

(快適な職場環境の形成のための指針の公表等)
    第七十一条の三  厚生労働大臣は、前条の事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
 2  厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。


というわけで、事業者は安衛法(と略します)により、職場は「快適な職場環境」を形成するように努めなければいけません。(努力義務規定)


実際の細かい設定については「事務所衛生基準規則」に定められています。

事務所衛生基準規則

    (温度)
    第四条  事業者は、室の気温が十度以下の場合は、暖房する等適当な温度調節の措置を講じなければならない。
    2  事業者は、室を冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。ただし、電子計算機等を設置する室において、その作業者に保温のための衣類等を着用させた場合は、この限りでない。

    (空気調和設備等による調整)
    第五条  事業者は、空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)又は機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調節して供給することができる設備をいう。以下同じ。)を設けている場合は、室に供給される空気が、次の各号に適合するように、当該設備を調整しなければならない。
    (略)
    3  事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。

 
まず室温が10度以下にある事業所では、暖房等の設備を備える措置を講じる必要があります。

「空気調和設備」がある場合においては、気温は17度以上28度以下、相対湿度は40%以上70%以下になるように事業者は努めなければいけません。

「空調調和設備」(つまりはエアコンなど)がなければ守る必要がない、というのは安衛法の「『快適な職場環境』の形成に努める」に反していると思われますので、その言い訳は通じないと思います。

 ただし、データセンターなどの冷房が必須である職場の場合は保温用の衣服等をきちんと着用させればこの限りではない、としています。


というわけで、室温は28度以下(エアコンの設定温度が28度という意味ではありません)にする必要がありますので、事業主様におかれましては是非とも順守をお願いいたします。

しかしこれ、罰則規定がないから違反していてもお咎めないんですよね……
熱中症で倒れれば業務上の災害ということで労災認定されるかもしれませんが。


 

その他「事務所衛生基準規則」

   第十五条  事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
 一  日常行う清掃のほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うこと。
    第十七条  事業者は、次に定めるところにより便所を設けなければならない。
 一  男性用と女性用に区別すること。
    二  男性用大便所の便房の数は、同時に就業する男性労働者六十人以内ごとに一個以上とすること。
    三  男性用小便所の箇所数は、同時に就業する男性労働者三十人以内ごとに一個以上とすること。
    四  女性用便所の便房の数は、同時に就業する女性労働者二十人以内ごとに一個以上とすること。
    五  便池は、汚物が土中に浸透しない構造とすること。
    六  流出する清浄な水を十分に供給する手洗い設備を設けること。
    2  事業者は、便所を清潔に保ち、汚物を適当に処理しなければならない。

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