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満員電車でカマした一撃
世間は大型連休に入りましたね。
入社式を終え、研修を受け配属が決まり、連休明けから社会人として本格始動!という方も多くいらっしゃるかと思います。
不慣れなことも多々あるでしょうけれど、少しずつ慣れていってくださいね。
さて、ワタクシが慣れるまでいちばん大変だったのは、ズバリ、満員電車でございます。
社会人になるだいぶ前の、高校入学を機に満員電車に揺られるようになったわけですが。
最初はただただ窒息しないようにするしか術がなく、結果的に目的の駅で降りられなかったりしたので、作戦を練りました。
『ドア付近でひたすら頑張る』
しかしですね、これ、迷惑極まりない行為なのですよね。
目的の駅以外では、ドアが開いても決して降りずに必死にその場をキープして、乗り降りする人のことなどまるで考えていないのですから。
だんだんと慣れてくると
(あ、これひょっとして迷惑かも…)
ということに気付きまして、作戦変更しましたよ。
『目的の駅で降りる人がたくさんいる車両に乗る』
これで、何とかなりました。
ドアとドアの間の空間か、入っていければアナウンスどおり、車内の中程まで進んだりもしました。
ごく稀に最前列をキープできることがあり、前の人が降りて入れ替わりに座れたりもするのですが、そうそうラッキーなコトは起こりません。
ぎゅうぎゅうになってくると、華奢な(その頃は)ワタクシでは他の人の体重を支えきれず、吊革から手を離して窓に手をついて何とか持ちこたえる、という場面も多々ありました。
その日もたまたま最前列に立つことになり、
(あー、前の人、降りないかな…)
などと図々しいことを考えておりましたが、ベテランサラリーマン風のその方は、目をつぶって少しうとうとしておりまして、ワタクシより先に降りる気配は感じられませんでした。
徐々に車内が混み合ってきまして、あれよあれよと言う間にぎゅうぎゅうのすし詰め状態になりまして。
それでもなんとか吊革につかまっていたのですが、その日の運転手さんは「家を出る前に夫婦喧嘩でもしてきたのか?」というくらい、運転が荒くてですね、やたら急ブレーキをかけるのです。
いつも以上に揺れまくり、他の人の体重が後ろから横から斜めからかかりまくりまして、支えきれずに吊革から手を離し、窓に手をつこうとしました。
しかし目測を誤り、目の前に座っていたベテランサラリーマンのおでこに、思い切り手をついてしまったのです。
その瞬間、
ゴォーンッ!!
という、ものすごい音が車内に響き渡りました。
何の前触れもなく、後頭部を窓に思い切り打ち付けたその方、何が起こったのか瞬時には分からなかった様子で、頭をさすりながら辺りをキョロキョロと…。
「あ、すみませんっ!窓に手をつくつもりだったんですホントすみませんっ!大丈夫ですか!?」
ワタクシ、怒鳴られるの覚悟で、すぐにお詫びをしましたよ。
するとその方、照れたように笑いながら、こうおっしゃったのです。
「いやあ、今の一撃は半端なかったね!目が覚めてちょうど良かった!」
その一部始終を見聞きしていたと思われる方々からも、クスクスと笑いが起こりまして、穏便に済みました。
(何という、心の広い方なのだ!)
ベテランサラリーマン風のその方のリアクションに、感謝の気持ちでいっぱいなワタクシでございました。
それ以来、ぎゅうぎゅうが予想される電車内では、中程まで進むのはやめることにしたのでした。
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