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2019年2月取材記録「穴グマ猟」


2019年2月、穴グマ猟に同行した。穴グマ猟とは、山奥の穴蔵で冬眠しているクマを探し出し、寝ているクマを起こして穴からおびき出して仕留める猟のこと。クマの猟期が冬眠の時期と重なっているため、現在ではおのずと穴グマ猟がクマ猟の主流になっている。
 穴グマ猟の成否のカギは、クマが冬眠する穴をどれだけたくさん知っているかにかかっている。そのため春でも夏でも、マタギは山に入るとクマが冬眠しそうな穴の探索に余念がない。マタギの猪俣さんはクマが冬眠しそうな穴を100箇所前後把握しているという。
 2月9日、雪山など歩いたことのない筆者のことを気遣って、猪俣さんは里から最も近い穴に狙いを定め、猟に出た。それでも一つ目の穴にたどり着いたのは歩きはじめてから1時間半後。慣れぬ雪山、慣れぬかんじき、金山町の山独特の急斜面、歩きはじめて20分ほどで膝が悲鳴を上げ、これ以上はもう歩けない、でも歩けないなんていったら猪俣さんに迷惑をかけるし・・などと思いつつ、必死で猪俣さんの後についていった穴グマ猟だった。
 この日猪俣さんは二つの穴を覗き込んだが、残念ながらどちらにもクマはいなかった。

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