「アイドルって星だと思うから」

「アイドルって星だと思うから」

とあるフォロワーさんにイメージアクセサリーのデザイン意図を説明した時の言葉です。

「太陽の様に生きていくのに必須のものではないけれど、夜空を照らして迷っている人を勇気づけたり、道を示してくれる存在だと思うんだよね。」

だからこれは沼落ちブログではなく、長い人生でちょっと迷ってしまった時に6つの原石たちに照らしてもらった一人のアラフォーの物語です。

以前、の話。

世代や環境的に、若いころからジャニーズは身近だったように思います。
なにせ東京の中高一貫女子校育ち。付属小学校から持ち上がり組の子たちはある程度おうちに余裕があるため、
バンギャやアニヲタ、ジャニヲタに精を出す子だっているわけで。
(少クラ観覧用に配布された、振付が描かれた紙を見て練習している友人を覚えている)
そのうえ時はジャニーズJr黄金期。普通に地上波で8時だJとか見れている時代です。

そういう環境でジャニーズを受動喫煙しつつ私は邦ロックのヲタクをしていました。

そして社会人になり宝塚ヲタクになりましたが、年末のカウントダウンを季節の風物詩として見る程度には
ジャニーズの摂取は続いていました。
歴史的に見ても宝塚とジャニーズは近いですしね。
前述の友人が「ジャニーさんは宝塚を完全に参考にしてるよね」と言っていたり、東京宝塚劇場の客席にいた亀梨君を見かけたり、
ジャニヲタの演出家がジャニ曲をショーで使ったこともありましたっけ。
スマスマに宝塚が出たとき、ご贔屓さまも出演されていましたし。

ヅカヲタの中でも、無駄布が大好きで服飾史や舞台衣装に関心があるタイプのヲタクだったので、ジャニーズの存在は視界の端っこにある感じでした。
(ターンではためく布ってなんぼあってもいいですよね。)
そして衣装という共通点から、AKBにも関心が出てきました。
(オサレカンパニーさん好き。)

なのでバカレアの企画が発表されたころは、私はたかみな&まゆゆ推し(茶の間)の9期アンチだったので全く関心が無く、なんなら
「どーせプロ意識の足りない若い子が何人か撮られて、たかみなちゃんが謝罪させられるんでしょ。だる。」
と思っていたためスルーしていました。

そしてその後ハンドメイドのフリマに出店を始めたり結婚したり出産したり持病が悪化したり色々あって、
ご贔屓さまの舞台を東京で観るだけの、ゆるゆるヲタクになっていました。

入り口は美しい皇太子

はじめて京本大我さんを認識したのは、エリザベートのキャスト発表の時に
「今年のルドルフ、Jrの子がいるらしいよ」という噂話を耳にして為人を調べたのが最初でした。
小池先生のオーディションについては現役タカラジェンヌからもいろいろ聞いていたので
「きっとちゃんと見るべきところがある子だったんだろうなぁ。頑張ってほしいなぁ。」
と思ったのを覚えています。
なにしろそろそろご贔屓さまも退団が見え始めた時期でしたから、若くて素敵なミュージカル俳優さんとは今後共演の可能性もあるわけで。
素敵な俳優さんは何人いたっていいですからね。

ですのでその後FNS歌謡祭でパフォーマンスを見たときには、「円盤化されてないからようやく見れた」と喜ぶヲタクたちをTwitterで見て
他所事ながらよかったなぁと思いました。

その後、2組同時デビューのネット記事を読んでそこに京本さんの名前を発見し、大型音楽番組で双方のパフォーマンスをみて
「どちらかというとあの子がいるほうが好きだなぁ。」
とは思いましたが、その後のコロナのドタバタですっかり忘れ去っていました。

人生初めてのメンタル崩壊

私は自分のことを、あんまりメンタルが揺らがないタイプの人だと思っていました。
小学校でいじめられた時も、中学受験の直前に父親が入学金を勝手に引き落として失踪した時も、その後母子三人で築40年の木造アパートに夜逃げした時も、氷河期にようやくもぐりこんだIT企業で鼻血が止まらなくなるほど働いた時も、その場でその場なりに面白みを見つけて過ごせたからです。
(笑っていなきゃやってられないという説もある。)

崩壊はとても些細なことから始まりました。

当時私は本業であるIT屋の傍ら、ハンドメイドのジャンルとして、針と糸でビーズを編む「オフルーム」と呼ばれる各種手法で作られた
カチュームとピアスを販売していました。
そして大きな特徴の一つに、
・お客様にフィッティングを行い、その場でサイズ調整を行うこと
・デザインは定番のみ。但し同じ色の組み合わせを作らず、世界に一つだけの作品を販売すること
を掲げていました。

そのハンドメイドフリマは有楽町で開かれていたため、エンタテイメントに関わる色々な人が立ち寄ってくれました。

娘役さんへのプレゼント用に、衣装に似た色のピアスを探すヅカヲタマダム
どうしてもピアノの発表会でカチュームをつけたいとぐずる小学生の女の子
今しがた見てきた人生初ミュージカルの話を楽しそうに語るお嬢さん
推し色2つを組み合わせた新作をリクエストしていく同人作家さん
「この派手さは大阪で売ったら絶対人気出るよ!」と棚買いしていくフラメンコ講師の関西人お姉さん

寒い日も暑い日も、売れる日も売れない日も、
「自分のための世界に一つだけのアクセサリー」
と出会う人を見られるのが、本当に楽しかったのです。

ところが会場がオリンピックのための耐震工事で使用できなくなり、そのうちにコロナが蔓延し、主催団体が潰れたために有楽町は私の場所ではなくなりました。
ネット販売ではフィッティングは出来ず、ビーズの微細な加工の違いは表現できません。
街が変わったら、あの華やかな祝祭の空気はなくなってしまいます。

楽しいヲタクのつぶやきはいつしか情勢に倦んだ人の怨嗟に成り代わり、陰謀論と夫婦の諍いと中止になった公演を嘆く声ばかりになっていました。
チケットが紙切れになった人の慟哭が、私の世界から色を奪っていくようでした。

いつしか私は、自分が針を持つ意味が分からなくなっていました。

こんなのんきなことを言っていられるなんて、自分が恵まれているからだというのはわかっています。
いち早く完全在宅勤務を許される職場環境もあるし、家族はみんな平穏無事で誰も体調を崩していないし、食べ物のお取り寄せが気軽にできる程度には経済的に安定していました。

あんな社会情勢の中、わがままだとは思います。
けど私には華やかなエンタテイメントと、それを愛するお客様が必要でした。

そして私はだんだん眠れなくなっていきました。
眠れずに朝を迎え、ぼうっとした頭でPCに向かい、休み時間にただYoutubeでゆきりんの衣装フィッティング動画を垂れ流す日々が続きました。

再会は逞しい新聞売り(或はYoutubeアルゴリズムの陰謀)

私の様子がおかしくなって数か月後、Twitterの雪組担から
「ニュージーズの動画、100万再生を目標にしています!」
というつぶやきがRTされてきました。

そうか、2020年に中止になった公演が再演できたんだね。良かったね。
しかもあのエリザベートに出てた子が主役なんだね。おめでとう。

ご祝儀のつもりでリンクをクリックしました。

久々のステージの空気、躍動する出演者たち、美しい音楽に少し元気が出て動画を閉じようとしたとき
おすすめ動画にストチューブが現れました。
そう、「おまえ女子ドル動画見てるんだからジャニーズだっていけるやろ」という
Youtubeアルゴリズムにまんまと引っかかってしまったのです。

「ってあなた」

いくつか動画を見た中で気になったのは、MVを見ながらあーだこーだ言っている動画でした。
自分たちのMVを見ながらあんなにキラキラしたまなざしができるなんて、いい子だなぁ。
お互いのカッコいいところをこんなに普通に褒められるなんて、可愛いなぁ。

その中で一番気になったのは「ってあなた」でした。
この曲をフルで聴きたい。このMVをフルで見たい。でももう音色盤は売ってない。

このグループには課金しなきゃいけない。初回盤をちゃんと発売日に買って集めないと後悔する気がする。

そう。課金は推しの始まりです。
そこから坂を転げ落ちるようにCDを集め始め、それと並行するように私は元気になっていきました。
睡眠導入剤を手に入れるためにメンクリに行く勇気も出ましたし、
少しづつ針を持てるようになってきました。
(一番ひどいときは娘の服の繕いもまともにできなかった)
FCに入会し、雑誌を購入し、MVを再生するためのマクロ(手が汚れている料理中も流せるように)を作り、スペースでできたお友達と一緒にうちわを作り、ツアーに一度だけ参加し、毎回ラジオを聞きました。

今では新作の図案を引ける程度には回復しました。

そして2023年10月2日。

このnoteを書いている日、ジャニーズ事務所の廃業が発表されました。
そんな日に私の手元には、2回目のFC更新のお知らせメールが届きました。

私は自分が弱っているときに、SixTONESに支えてもらったと思っています。

だから迷わず更新手続きを取りました。
私を助けてくれた人たちに、これからもよろしくねの気持ちを込めて。
SixTONESと、それを支えてくれるマネージメントチームの皆様に私の更新費が少しでも足しになりますように。
(たったの4140円だけれども!)

私の星が、いつまでも6つまとまってキラキラ光ってくれるといいなと思っています。

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