外為法とVCの事前届出義務

投資の判断は、LPが判断するでもなく、GPが判断を行います。
皆さんがご想像されている通り、内国法人が外国投資家になる場合は沢山あると思います。
LPになる最初の時点においては、対内直接投資を規定する26条において別の要件である「会社の株式又は持分の取得」として、組合の持分は該当しないと思われます。
次のステップである各ベンチャーへの出資レベルでは、確かに投資事業有限責任組合の形として、共有として、ベンチャーの株式を共有することは理解できます。これを取得と言えるように見えます。

もちろん、VCとしては解釈などという曖昧なものよりも、リスクがある場合30日と述べて届出をするのが良策であり、念のためにそうした方が良いでしょう。現にそのようにしているでしょう。
これに対して、財務省外国為替室は、「禁止期間につき30日だが5日で判断」と気になる発言をしています
通常30日だが2週間に短縮されることもあります。しかし、これよりも短縮するのは例外的な場合で、グリーンフィールド(注1)、ロールオーバー(注2)及びパッシブインベストメント(注3)の場合で、4営業日を経過した日とされています。

今回の場合、財務省外国為替室は、パッシブインベストメントに該当すると判断し、5日で判断されるとしているように思われます。

VCの場合に、LPが重大提案行為をするなどは考えられず、早期に政府は対応をすべきと考えております。

注1:対内直接投資等のうち、完全子会社(届出者の出資比率100%の本邦にある会社)の新規設立等に関するもの。

注2:過去に届出をした案件で、届出書に記載した株式等の取得時期の経過後も引き続き同じ取得目的・経営関与の方法の下、同じ発行会社の株式等を取得する予定があり、過去の届出日から6ヵ月以内にその届出と同様の届出を行うもの。
対象となるロールオーバー案件は、直近の届出時において5営業日の審査終了がなされていない案件で、かつ、届出における「取得後の出資比率」が過去の届出における「取得後の出資比率」を上回らないものとする。

注3:外為法27条1項に基づく届出内容の一部として、当該投資が重要提案行為等の実施を伴わないことを明記する案件。
具体的には、届出書中「取得に伴う経営関与の方法」欄に「発行会社に関し、金融商品取引法第27条の26第1項に規定する重要提案行為等を行わない。また、他者の重要提案行為等に対して当該他者と予め合意の上で賛成する行為を行わない。」旨記載された届出であって、届出者や発行会社に係る審査実績等を踏まえ、事業所管大臣が短期間の審査を行えると判断したものとする。

2019年10月10日変更

新しく改正法案ができましたね。

問題のない投資の⼀層の促進策として、事前届出免除制度の導⼊がされそうです。対内直接投資案件の大半(90%)を占めるポートフォリオ投資等(※過去3年間重要提案⾏為等を⾏った実績のない投資家によるものが該当)は、免除の対象。なお現在は5営業日で完了・

国の安全等を損なうおそれのある投資への適切な対応については、上場会社の株式取得の閾値引下げ(現⾏10%→1%︓会社法上の株主総会における
議題提案権の基準)

さらに投資組合(ファンド)からの対内直接投資等に関連する外為法に基づく事前届出の対象について、会社による投資の場合に合わせて、届出義務者を組合に⼀本化し、届出の事務負担を軽減。

詳しくは以上のリンクにて分かります。



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