起業家の不安に向き合う シンプルルール2 儲ける法務その27
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起業家の不安に向き合う シンプルルール2 儲ける法務その27

起業家は、常にランウェイ(投資を受けたり貯蓄を食いつぶすまでの期間)に追い詰められ、生きている。ランウェイを長くするのは簡単で固定費を如何に削減するかだが、どうようにチャンスをつかまなければいつまでも浮かび上がらない現実がある。

1.計画編

顧客サイド (1)

①起業にあたっての思考(仮説思考と論点思考による分析)

仮説とストーリーがない限り、人は動かない。いや、自分の意思をもって動けない。単に指示によって動くだけになってしまう。

しかし、仮説及びストーリーはあっても、その読みが間違っていたら(芯を食っていなければ)、やはり効果はでず、そして、人々は消耗してしまう。

供給サイドと顧客サイドがある際、供給サイドについてはプランニングとその用意を整えておく必要がある。その際、デマンドサイドに既存のサプライサイドがある際は、10倍のバリューを供給サイドとして提供しなければならず、それはホスピタリティ、供給の早さ、プレゼンテーション、PR、マーケティング、セールス、立地の良さ、ポジショニングの良さ、教育の早さなどがある。ともあれ、後行者は、先行者よりも戦略的には恵まれている。なぜなら、ニーズは見つけており、如何に覆すか、オペレーションから見破っていけばよいからだ。かつ、ホスピタリティ、製品の良さ(安全性と使いやすさ)は、かえってユーザーの満足度を超えない、つまり、これ以上やってもうまく訴求できない場合もあるので、気をつけるべきである。それは利益率を下げる要因になり、それほどバリューを出すものではないこともある。業者の期待値とデマンドサイドの期待値とはそもそも、異なるため、ユーザーサイドから見ていく方が良い。

論点は、沢山出てくる。論点をすべて検討する必要はないが、何が本当の論点となり、課題の炙り出しをしていかなければ優先順位も決めることができない。

優先順位が決まると、無駄な作業に悩まされることは少なくなり、効果も出やすくなるので、メンバーが活性化しやすい。

その際に、まずやるべきことは、デマンドサイドの不満、ペインを探し当てることである。しかし、万が一、メンバー自身及び自分自身が疲れている場合は、無理をしない事である。無理しないことの大前提としては、コストを下げて、できるだけやらないことを作り上げていくことである。つまり、供給サイドはoutsourcingにして、すこしずつ内部の方を整えて、儲けるというよりも、被害を最小限に留めるように持っていくことである。

ペインポイントが明らかの場合、先述の通り、MVPを作ればよいので、それにより、過去の10倍のバリューを作る構成にしていけばよいだけある。


②ビジョン(将来の見立て)、バリュー(価値観、意味合い)、ミッション(使命、やるべき事項)

組織が複雑になればなるほど、指示できない場合もあり、マニュアルとこれらの価値観で動く必要がある。

自分の裁量で動く事ができる幹部は、ビジョン、バリュー、ミッションをベースに自分のやるべきことを考えていく必要がある。

なお、幹部候補生でも、そうした能力を有さない場合、不幸になることが多いので、できるだけ異なる仕事についた方が良い。不平不満が溜まり、結果的に組織を分裂させる危険性があるからだ。

そして残りの人は、大体指示をされると動くが裁量として時期を決めたいという人が多いので、マニュアル等の整備も必要になる。

ここまでは、機能的な話だが、このやり方では3か月で自分のやりたいことが見つからなくなる可能性と、会社が何をやっているのか理解できない人も出てくるだろう。

そこで、内部のための意味付けが必要になる。組織は、調子が良い時のために存在するものではなく、寧ろ外部的な環境とメンバーの意識のずれがあるときにこそ、存在価値を持つものである。5年、10年と、メンバーの意識と外部的な環境とにはズレが発生する。

トップは、そのズレを補正しようとするが、どうしても、人間には、現状維持バイアスが発生するので、反発が大きくなる。

そこで、以下の人の心12特徴を意識しておくべきだ。

①人は一貫しないもの

②感情欲求はなくせない。

③人はそれぞれ、正義もそれぞれ

④人は変わらない、成長しない

⑤しかし、人は変われる。←人は理屈ではなく体験で変わりやすい。体験、経験、習慣

⑥人の言動、反応にはそれなりの理由がある

⑦人は物語を見つけ安心したい

⑧人はエネルギーを使いたくない

⑨人間関係のトラブルは当たり前

⓾人は他人をコントロールしたがる

⑪人は自分を責めやすい

⑫人は過去の記憶と将来の不安に囚われやすい

これを見れば、反発するのは合理的で(②、③、④、⑥、⑦、⑧、⑨、⓾、⑫)、寧ろ反発しない方がおかしいことに気付くだろう。

特に感情が一番大事で、論理などは二の次と理解した方が良い。

しかし、鍵は、⑤人は経験、習慣によって変わることができることだ。そして⑦の物語により、⑫将来の不安を乗り越えることができる。

仮説が必要なのは、それをベースに物語を作ることができるからだ。顧客サイドにおいては、そのイメージをもって今まで我慢していたペインについて解決できる夢を与えて、供給サイドにおいてはいままで我慢していた顧客の不満の解決、そしてそれに伴う喜びを共有できるイメージ(かつ、労力等の軽減)などがある。なお、供給サイドにおいては、まず大事なのは、手元にある不満がスーッと消えていくことだ。これにより、変化をすることができるものというイメージが上位者につき、さらに小さな成果が発生するときに自分の手柄になることで、より大きなカスタマーサクセスを希望するようになり、利益につながることが喜びにつながる。これをせずに、大きな負荷をかけ続けていれば、人心掌握は不可能である。

2.実行編

戦時の経営とうまく行っているときの経営は異なる。うまく行っているときの経営は誰でもできるので言及する必要はない。寧ろそれらはゴールとしてのイメージであり、足らない事の方が多い。

ビジネスと軍隊は異なる。ビジネスは、自分の強みを如何に活かして、市場で生き残るかを考えるのに対して、軍隊は均質なサービスを如何に供給するかというものが多い。しかし、それでも、人間は疲れてしまい、人間不信になる構造は変わらない。

人間は調子が良い時には何をやってもうまく行くが、寧ろ、人間が疲れて、人間不信になりやすい時ほどビジネスではちゃんとした経営者が必要となる。

人間の蓄積疲労は3つの段階がある。

1倍疲労モード(通常疲労)

2倍疲労モード(同じ出来事でも回復に2倍かかる)

3倍疲労モード(仕事をやめたい、いなくなりたい、死にたい)

調子が悪いときこそ、経営者は自分自身も苦しみ3倍疲労モードになりやすい。

今回は2倍モードの状況のマネジメントを考えていくこととする。

①体調が崩れる

②ストレス解消のための行為が増える、ストレス解消行為をやらなくなる。

③仕事に積極性が無くなる

④指導を受けるのを嫌うようになる(反抗する、言い訳する、嘘を言う)

⑤仕事のスピードが遅くなる、ミスが増える、残業が増える

⑥人間関係が悪くなる、言い争いが多くなる。

⑦不公平感に敏感になる

⑧派閥ができたり、スケープゴートができたりする。

⑨口が増える、笑顔、笑い声が減る

⓾悩み事が増える

⑪転職を考えるようになる。

⑫噂が横行する

⑬リーダーに対する不満が多くなる。

残業が80時間程度になると2倍モードになりやすい。

筆者のところは、残業が10時間にも満たないのに、以上のケースがあり、突発的に仕事をやめたケースもあり、非常に悩み、この本に行きついた。その人はコロナで入院して神経的に疲れていたのだろうと思う。

なお、人間関係が殺伐とした場合、疲労のコントロールを優先すべきであり、修正、教育はそれほど奏功しない。筆者も、「本音」を話すように話しかけたが、2倍モードの場合、それらは奏功しなかった。まず疲労状況を適切に把握する必要があったのだ。

経営者の場合、大きなプロジェクトが終わり、これから楽になると思った際に不調感が出やすいことに注意を要する。アドレナリンの終了とともに今までの溜まった疲労を認知し、日々の生活などを含めて負荷を感じ、体調を壊し、仕事への意欲も急激に低下させるからだ。

休憩は予定としてとっておく必要がある。

経営者はそうした状況下でも、経営をしなければならない状況になりやすい。自分の事も大事なのに、他のメンバーのケアもしなければならないのは辛いことだろう。しかし、疲労状況を無視して士気をとると、リーダーは信頼を失ってしまう。

まず、経営者がやるべきことは、8割経営である。8割の力でも、終了できる程度の仕事をとる。そうしておけば、1倍モードで留まるので、創意工夫することが可能である。120%モードなどありえないのである。

ア.組織の戦力を把握する

注意するべきところは、①明らかに戦闘力が落ちているメンバーに対して、辛く当たることは、避けた方が良い。疲労2倍モードのチームにおいては自分の事だけでも必死な状況だ。他人を支える余裕もない。チームが崩れ落ちる可能性が出る。

②チームの稼ぎ頭が2倍モードになってしまう危険も配慮しておく。

こうしたときに仕事の割当は、健康状態、疲労度、集中力、業務のボリューム、進捗状況、トラブル、プライベートのトラブルなどは把握してから割当した方が良いだろう。業務に関係ないようでかなり関係がある。かなりの実力者でも、2倍モードの場合戦闘力は相当落ちる。期待ではなく現実として把握しておく必要がある。

イ.トータルの戦力にあわせて仕事を切る

①仕事を丸ごと切る、②仕事の完成度を下げる、③一定の時間で切る、④延期するなどの方法で、適切な業務ボリュームに変化させる。これはベンチャーでは成長が要求されるため、イメージと現実でずれに悩む可能性がある。しかし、3倍疲労モードで誰かが死んでしまっては意味がない。とにかく休ませることの方が先決である。

ウ.情報伝達手法

2倍モードの際は、意欲が低下し、自分で何かを見つけて改善していこうという気力を失い、指示待ちになりやすい。また、十分に考えないで行動することもある。よって経営者が戦闘のために必要な情報を頻繁にアップデートし、何をすべきかを思い出させる必要がある。かつ、同人らは感情が過敏になり、偏った情報処理を始める。不安、焦り、怒り、不公平感などの感情を大きく持つ。

情報伝達が難しい理由

①疲れると誤解が発生しやすい

人の集中力や理解力は低下するので、言い間違えなど増える。

メモを取らせ、メモを取るしかない。そして、A4一枚程度にまとめるて、置く必要がある。

②リーダーも疲れる。

リーダーも情報を取りに行き、それを分類整理し、自分なりに理解し、伝える相手の立場を創造し、相手が今どんな情報を欲しがっているかを考え、最後に相手の理解力に応じて、伝える量や質、タイミング、方法、言葉選びなどを考慮して伝えることになる。これを疲れているなかでやらなければならない。

③リーダーだけが情報を得て安心してしまう。

④間違った情報を伝えて非難されたくない。

指示をする際は、①全体状況(外部的な状況)と見通し、②チームの任務と行動方針(何のために、なにをするか)、③個々人の役割、④生活関連事項、⑤質問、確認、⑥シュミレーションのパッケージを伝える必要がある。

②については総合的な視野が欠けているので、目的をちゃんと共有する必要がある。

③時間と料など具体的なKPIを出し、言い切る必要がある。

全員に伝達することで、不公平感をなくす必要がある。

④生活関連事項なども不公平感などを無くすために必要であったりする。

⑥により具体的なイメージをもち、支えられているイメージを持たせることで不信感を無くすことができる。

曖昧な指示については、疲労が2倍モードになってしまっては通用しなくなるので注意が必要だ。平常時のリーダーが役に立たないのは、これらを疎かにしているからである。

エ.個々の人間の能力を上げる(感情のシェア)

ゆっくり休むためのミーティング

①各メンバーから今回の活動についての報告を受ける

②リーダーがフィードバックを与える

③メンバーの困っている点を聞く

④メンバーの身体状況をチェックする

⑤メンバーの意見を聞く

⑥リーダーの前向きなコメント

考え、行動の理由、価値観、本音など内面情報は、2倍モードの際は引き出すのが難しい。疲れがたまると自分のパフォーマンスに対して自信がなくなり、なんとなく人から攻められたり仲間はずれにされたりするのではないかちう不安が発生し、かつ、警戒心が高まる。そうしたものを如何に合理的な理由等をみつけて誤解を解くかということに留意をしなければならない。

指標としては、体の調子電池●%、心の電池●%などオープンにしておくと分かりやすい。これによって、疲労度がどの程度が分かってくる。

そして、そうしたシグナルを放置しておくと不安の種が大きくなり、チーム全体に影響を及ぼすことになる。

オ.まずはリーダーの疲労度を回復する

これまでのリーダーシップを諦めて、現実解を見つける必要がある。

しがみつきは誰でも発生する。激務を当然としてしまう。結果的に疲れていることもあって、怒りなどに直結することもある。

不安を持つこと自体は否定しないが、抽象的な不安から具体的な危機に置き換えると大したことはないことも大きい。

その上で何を切るかから判断していくと、仕事はしやすくなる。


3.やはり人間は感情

①なぜ、これをやるか

自分が継続できなければ、他のメンバーはついてこない。その意味で本質的な課題を自分で設定することは大事だ。

そして、信頼関係をもつには、共感が必要になり、それぞれのペインをケアしていく必要がある。

自らの課題を持ち、共感し、精神的な疲れが感じないように持っていかなければ、これからの会社は成立しない。SDGsやESG投資関係は、社会が要望することである。

顧客サイド (1)

なぜ頑張っていくのはの合理的な意味がなければ、人は頑張ることはできない。

リーダーが経営者でないこともある。その際に、手元に、何をやるべきなのかが手元になければわからない。

①将来像などビジョンがあり、②将来像と現実との隔たりを解決するミッション、③バリュー(その価値観)が共有されていると、優先順位がつきやすい。8割の稼働で済む状況を作るには、かかる価値観について染みつくようにしておく必要がある。

そして、そうした価値観を支えるのがカルチャーであり、経営者の態度、企業としての態度、行動指針とマニュアルである。

広報は、社外に対して現在対応しているが、もっとも気にしているのは、そのメンバーであろう。

前記の通り、人々は座りの良いストーリを聞き、それを話し合う場が必要である。それらを繰り返すナラティブな場こそが、より強固な関係を作る。そして、そのナラティブは、顧客とメンバーとの強固な関係を作り始める。

これらをまとめて、コミュニティと呼ぶのがふさわしいだろう。コアになる会社は利益を得てサステイナブルにならないといけないが、そのパートナーとして購買者というコミュニティがあり、それらが行き来できる関係でなければ(説明責任を果たさなければ)、直ぐに世の中に排除されるだろう。

経営者の心は、共感と行動に移すメッセージとして伝わる必要がある。そして、これが顧客に伝わると共感によって行動が促される。同様に、メンバーにも同じ行動が促される。

いまいち、弁護士が記載された第三者委員会が評判を呼ばず、不祥事が繰り返されるのは、論理は正しく、再現性あるものとして記載されているが、感情として共感を呼ばないため、評判を上げるほどの底上げができていないからであろう。結果的に、第三者委員会の意見書があったとしても、その該当の会社は、静かに情勢が落ち着くまで待っていなければならない。

実際には、ブランドが毀損して苦しむのはその企業のメンバーであったりするのだが、それらの気持ちは配慮されておらず、なおざりになってしまっているのが現実であろう。

ブランドは、人の気持ちから成立するものであり、論理だけでは難しく、自信を再構成し、自らを支える土台を再度作り直す必要がある。そして、これらをまずは社内的な広報活動により、植え付けて、文化として刷新する必要がある。

こうした尽力もなく、第三者委員会で終わらせることになる企業は、あまりに無力としか言いようがない。2の実行編で尽力するリーダーの気持ちをないがしろにするものであろう。

2での苦痛を考えると、そのベースになる行動軸は、そのヒエラルキー維持というものではなく、将来を描き、変わる希望を社内に与え、かつ、その社内が変わった姿を社会的にインパクトを与えることで社外に広報していくことであろう。

話は逸れたが、人の心を支えるのは、人である。そして、観念ではなく、かつ、ブランドでもなく、周りにいるメンバーである。そして、周りにいるメンバーにとって大事なのは、抽象論ではなく、具体的なメリットと辛さを抜け出せる具体的な期間とその対応が難しくない事である。

メンバー及びリーダーは疲れている状況で、リーダーは指示をする際は、①全体状況(外部的な状況)と見通し、②チームの任務と行動方針(何のために、なにをするか)、③個々人の役割、④生活関連事項、⑤質問、確認、⑥シュミレーションのパッケージを伝える必要がある。かつ、信頼関係が双方になければならない。

そして、ここで導かれるシンプルルールは一つである。メンバーは必ず疲れる。疲れると嫌な人になる。それらが不祥事になりやすい。

よって、無理をさせない仕組みづくりと最悪をベースとして対応策を予め作っておかないと、危機状態で対応できる組織にならないということである。


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角田進二 sumida shinji

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