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お寺の掲示板、その著作権とお金の話

今、寺院の中では掲示板は、熱い。

タモリの「お寺の掲示板大賞2018」にまで出ているくらいなので、どれだけインパクトがあるかは計り知れない。

1.掲示板って著作権で保護されるの?

一般的に短い場合スローガン、キャッチフレーズの多くは保護されないと言われているが、たとえ簡略あるいは短くても俳句のように著作物性が認められる場合がある(中山信弘「著作権法」有斐閣 第2版 85頁-86頁)。

よって、一概には言えないが、著作権が認められるケースもある。

以上は、「コロナよりも怖いのは人間だった」というフレーズは、それ自体は判断は難しいものの(おそらく否定に傾きやすい)、その総体を見た方がよく、筆跡と相まってみると、思想・感情の表現と認められる部分があり、その筆跡そのものを安易にコピーをすることは差し控えておいた方が良いだろう。

コロナよりも怖いのは人間だった表現自体については先ほど記載した通り、使用頻度が高いシンプルで重要な言葉を組み合わせたものであり、ありふれたものとして、権利行使してもその権利行使は消極的に捉えられる可能性が高い。

2.無制限に他の人の著作権は使えるの?

著作権として認められる場合、著作権の制限条項がない限り、使えないというように考えた方が無難であろう。

しかし、近しい人たちに使ってもらいたいというお寺の要望もあり、複製をしたり利用することについて、常に著作権侵害を主張することは考えられない。また、引用など著作権の制限条項に該当する場合も、特に問題はない。

これに対して、自分が考えて表現したものでもないのに恰も自分が表現したと称したり、商品などを売り出すような便乗商法や風俗などあまりにお寺に関連性がなく評判を傷つけかねないものについては、著作権者においても黙っていないだろう。その場合は権利行使をする場合も想定される。

こうしたキャッチフレーズは、まずは創作した著作者を褒めたたえ、広告の趣旨を理解し、拡散をすることを望んでいる状況を考えて(いわゆる空気を読んで)、取り扱うことになるだろう。

訴求力がある場合は、お寺とその利害関係者が寄り添って、町おこし、コミュニティの盛り上げのために、著作権者とチームを組んで広めていくことも考えられるだろう。一般的には著作権者を尊重することが望ましい。

3.勝手に商標登録していいの?

商標法に関しては、著作権者に無断で商標として登録出願する場合、たとえ登録自体ができたとしても使用自体が著作権侵害になる。

(他人の特許権等との関係)
第二十九条 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。

このように無関係な第三者が勝手に商標を出願することは望ましくない。場合によっては、かかる狡猾な第三者は、自分が著作者であると言い始め、他の者の使用を阻害する可能性もある。

ケースバイケースにもなるが、場合によっては著作権者は早いうちに商標登録を行い理不尽な制限を他の第三者から課されないようにしておくことが望ましい。そして、先に、無関係な第三者から商標出願等された場合、特許庁に情報提供し、かつ、登録異議の申立てや無効審判など適宜していくことも必要であろう。そうした戦い方については、弁理士や弁護士と相談の上で、戦略を決めていく必要がある。

4.基本はバズるときには商標出願をして、メディア戦略をしてみましょう。

お金の話が出てこなくて、イライラした方もいるであろう。ここからがお金の話である。

筆者は、町おこし、お寺関係の法律相談、ブランディングなども従事している。そこで気づいたことは、商標のみでお金儲けすることは難しいということである。商標は寧ろ第三者から使われないように必要な措置をとること、そして不心得がいる場合に差止をしたり、損害賠償をすることになるもので、キャラクタービジネスの様にならない限り、それほど利益になるものではない。

寧ろ、何を自分で売り、著作権者その他の関連者が知名度を上げていくかという信頼の積み上げが必要になる。

現在は、様々な拡散機能を有するSNS(ユーチューブ、Tiktok、その他の動画配信機能、ブログ、Facebookなど)があり、信頼の蓄積は過去と比べて格段に容易になった。

インターネットを使い、お守り、朱印状その他のグッツを販売することも可能になった。勿論、特商法、不正競争防止法、景表法など様々な法律を守る必要はあるが、そうしたものを遵守することができればマネタイズなどが可能になっている。その点は新たなゆるキャラ、vtuberなど作るなども考えられる。

以上、必死で掲示板を考えつつ、商標登録の可能性を検討し、その上でグッツなどを販売するために配信を考えておく。そうしたマネタイズ時代が新しい寺院の在り方で来ている。

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角田進二 sumida shinji
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