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私の想いを代弁する本に出会えて_0717

サヨナライツカを読み終えた。

沓子は孤独だった。ただ思い出だけが彼女に寄り添ってくれた。肉体と心を分離させて、心のどこかで誰かを思い続ける。二人は事実上は結ばれなかったから、豊は沓子の中で永遠になった。沓子は自分の中に豊を死ぬ間際まで存在させることができた。

人を愛するのにもはや言葉も必要ないのかもしれない。愛撫で相手の愛情を確かめることだってできる。見つめ合って、お互いの愛を感じることができれば、それだけで充分。

忘れられない自分を受け入れて、開くことのない奥深くの引き出しにしまっておいて、一人の時にそっと取り出して記憶を辿る。貴方を思い出せなくなったら、私の一部が欠けてしまうような、そんな気がする。

だけど、思い出を大切な宝物として化石にして、過去の自分を捨てて新たな自分に光を当ててくれる人を探す旅にいつか出られたらいいなと、心のどこかで思っている。

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