ROCK READING 『幸福王子』

こんぴもぽんさんも、めちゃくちゃ綺麗だった…………。本当の幸せとは何なのか?ツバメにとっての幸せとは?王子にとっての幸せとは?人間はお金があれば幸せ?愛とは?色々と考えさせられるような内容でした。2公演入ったけれど多分1日じゃ足りなかったし、何公演か入ってもっと考えていけるようにしたかったな(遅い)

広場に立てられた「幸福な王子」の像と空を飛び回るツバメが、貧しい人々の為に自分の身を削ってでも、他人のためを思う姿を描いた本作。
舞台ではより人間的なキャラクターへと昇華させ、その世界観や道徳観、オスカー・ワイルド特有の”美しさ”を、ロックバンドによる生演奏と、音楽の朗読を組み合わせた新しい形で描く――。(公式サイトより)

ROCK READING『幸福王子』は、ミュージカルとは違う、普通の朗読劇ともまた違う、今まで自分が抱いていた舞台のイメージとは全く異なる、新しいタイプの舞台でした。朗読劇とロックバンドという組み合わせが全然想像出来なかったけれど、実際に行って見たらこういうことか、と納得しました。最近、肌で感じてみなきゃ分からないことが沢山あるなと実感することが多いです。まだ幸福王子行けていない方は是非に。多分、まだ買える。京都に美味しいものが沢山あるよとぽんさんに言われてしまったので、正直私もめちゃくちゃ京都に行きたかったです。行けるものなら行ってた……😭


ぽんさん演じる王子。行く前に電車でサラッと『幸福な王子』を読んできただけだったのでなんとも言えないのですが、原作よりも王子の人間的な部分が出ているなと思いました。ぽんさんの演技のお陰(お陰?)なのだろうか!とっても迫力がありました。
王子は生前宮殿暮らしで、何不自由なく過ごしてきました。快楽が幸福だと言うのなら自分は確かに幸福だったと王子は語っていました。死んで銅像になってから、この世には貧しい人や苦しんでいる人が沢山いることを知りました。誰かの成功は誰かの失敗。1人裕福な人がいたら、その何倍もの貧困な人がいる。世の中はそういうものになってしまったけれど、そういう世界においての本当の幸せとは何でしょうか?王子は貧しい人達の為に、自分の身を削ってでも助けようとします。しかし、自分の足は台座に固定されて動けないので、ツバメにお使いを頼むことにします。

そして、こんぴ演じるツバメ。ツバメは、仲間達とエジプトに向かう道中、薔薇(原作では蘆)に恋をします。そもそも薔薇は植物なので、話すことは出来ないのとずっと地面から離れられないのですが、ツバメはそこをあまり考慮せずに、薔薇に愛想を尽かします。そこで良い寝床を探して、幸福な王子の銅像の足元で眠ることにしました。翼の下に頭を入れようとした時、上からポツンと水が落ちてきました。王子の涙でした。

はじめは王子のお使いを仕方なしにやっていたツバメですが、1回目のお使いで「寒いのに、暖かい気持ちになった(ニュアンス)」と話して以降、少し心境が変わったのではないかと思いました。自分の身を削ってでも他者を助けようとする王子に感化されたのかもしれません。個人的には最初のツバメから成長したようにも感じました。薔薇に対しては一方的に「弄んだ」と非難して離れていきましたが、王子といるようになって他者を心から想う気持ちが芽生えてきたのかな……。そして、ツバメは王子の事を「心から」愛していたと思います。もうこの街を越えられないと悟ったツバメが、この冬は王子と一緒にいると決めた場面少しうるっとしました。

ツバメは王子のお使いをする中で、幾つか疑問を持ちます。「あの人は得をしたかもしれないが、王子は片目を失った」「価値が分からない人にあげるのは本当に良いのか?」王子はそれで誰かが幸せになるのであればそれで良いとするのですが、ツバメは独善的ではないかと言います。貧しい人達は、王子のルビーやサファイアによって一時は幸せな気持ちになるかもしれないが、それがずっと続くとは限りません。それでも本当に良いのでしょうか。しかし、王子は結果だけではなくてその過程(だっけ?)や何故その行動をするかの方に重きを置いています。正直、世界があるから自分がいる、とか自分がどうの………という部分は一回で咀嚼しきれなかったので、もう何度か見たかったなと思いました。知識不足……!ツバメと王子って考え方や価値観に差があって、口論する場面もあるけれど最終的にはまあいいかと笑い合って(ふふっと微笑み合って?)終わるのがかわいかったです。コンカツ愛おしい。
私の解釈になってしまいますが、王子は独善的な一面を持っているのではないかなと思いました。確かに貧しい人達の為に何かをしようという気持ちや自分の身体を犠牲にすることは王子にとっては良いことです。(ツバメもそういう面に惹かれたのかな………)しかし、実際に行動に起こしているのはお使いのツバメでした。王子が貧しい人達の為に尽くすのは、生前の反省や贖罪のような気がしたり、しなかったり。ある種王子の自己満足だったのかもしれないとも思えました。

それでも、ツバメが王子に惹かれていたのは事実だし、王子もツバメのことを大事に思っていたでしょう。2人の関係性は、すごく美しかったです。ツバメが死ぬ前、王子にキスする場面も感動しました。めちゃくちゃ切なくて、正直しんどかったです。ツバメが死んでしまうと、王子の鉛の心臓も真っ二つに割れてしまいました。

やっぱり、王子の最後の「バカかお前らは」という台詞が印象に残っています。めちゃくちゃ衝撃的でした。ツバメと王子は捨てられてしまいますが、天使はツバメと王子の鉛の心臓を"美しいもの"として神様の元に届けます。神様は彼らを蘇らせ、ツバメは歌わせて王子は自分のもとに仕えさせます。その後の「バカかお前らは」。2人は本当に幸せなのでしょうか?神様は幸せを履き違えていたのかもしれません。王子の思い描く「幸せ」とは程遠かったと思います。本当の幸せとは何なのか?ツバメにとっての幸せとは?王子にとっての幸せとは?

それぞれ捉え方や感じ方に違いがあると思います。正直まだよくわからないところが沢山ありますが、とりあえず私はこんな感じで考えました………。とても考えさせられる舞台でした(小並感)

そして、東京公演無事完走。本当に本当にお疲れ様でした。こんぴもぽんさんも演技がとっても上手だった………2人とも顔の造形が美し過ぎて双眼鏡で舐め回すように見てしまいました。演技とは関係ないですが、お水を飲んでいる時の横顔が綺麗過ぎました。こんぴは可愛くてなんだか癒されたし、ぽんさんが想像以上に男前でした。また2人に会えたら良いな。とっても素敵な舞台をありがとうございました。京都・残り6公演。何事もなく駆け抜けられますように。

【公式サイト】
https://koufuku-oji.com 


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